田の土を鋤などで畦に壁のように塗り付けているのだろう。低く拡がった畦を正し、灌漑水の漏出を防ぐのである。作業の最終段階にきて、水の落し口を丁寧に仕上げる作者。水をオーバーフローさせるための重要な部分。単に眺めるだけの句で […]
雲雀の声、もしくはその姿があたかも高空からこぼれてくるかのよう。今年、初めて遭遇したのである。雲雀が天から遣わされたもののように感じられる一瞬である。「虚空から」という上五に神韻とした空気さえ感じられる句。(坂内文應)
まだ目も開かず母猫に寄り添う子猫だろうか、母猫のまわりでころころと遊んでいる子猫だろうか。猫の親子を見ていたら、そこに吹いているやわらかな風が子猫を連れてきたように思われたのだろう。淡海からの風は慈しむように、子猫のふわ […]
手際よく薯を椊える農夫の手を「ひらひらと」と表現した点に句の大きさを感じる。それは手という身体の一部を詠んでいながら、広大な農村風景が鮮明に浮かぶからだ。農夫の手が「ひらひら」していると同時に、その手に写る暮れなずむ夕陽 […]
濁世は「じょくせ」。仏教で濁り汚れた世のこと。戦争などの社会悪、思想の乱れ、煩悩など「濁」にはいろいろある。春から夏の風物詩、蛙は、求愛、縄張り宣言、敵や雨雲の接近など、濁世を映すさまざまな理由で鳴く。春昼、ちびちび酒を […]