上五中七の措辞が分かりにくい。衣の紐を口で解いていたら日が暮れてしまったということだろうが、杉田久女の句「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」を連想し、花衣を脱ぐ女のけだるい午後のひとときを思い浮かべた。西行忌は旧暦二月十五日 […]
竜安寺と前書きがある。方丈とは寺院の建物のこと。この句はさまざまな読みができる。例えば、この句を三次元のパースの中においてみれば、方丈の大庇のゆったりとした流線と、蝶の不規則に上下する小刻みな曲線が奏でる音楽のようにも見 […]
舞台は大空。その周りの景色は、読者が思い思いに想像できる。二羽の鳶が大きな円を描きながら、近づいては離れ、離れてはまた近づき、そうしてゆっくりと空の高みへと上っていく。おだやかな春の時候もあいまって、ゆったりとした心地の […]
ふと夜空を見上げると、今にも手の届きそうなところに潤んだ春の月。その美しさに驚きを思わず口にして家人を呼ぶ。「外にも出よ」という言葉に、素直で若々しい感性があふれている。(斉藤真知子) 出典:『花影 […]
この句には、流火草堂より備前の古壷を譲られ二句、の前書きがある。古壷には焼成時からのか、傷があったのだが、それはちっとも醜くはなくかえってあたたかみを感じさせたのだろう。この句が、おぼろとは対極にある流火草堂安東次男氏に […]