古志会員による一句鑑賞

陸上競技の槍投げの練習風景だろう。ひとりの若者が力かぎりに槍を投げては、しずかにその槍を拾いに歩み寄ってゆく。その孤独な姿を、春という季節が、せつなく、また、あたたかく包み込んでいる。槍投げに打ちこむ若者の情熱と、それにともなう哀しみが、見事に詠まれている。
作者の代表作の一つとして、名高い句である。(岡崎陽市)
出典:「枯野の沖」

§3642 · 3月 31, 2012 · 今日の一句(2011年) · · [Print]

1 Comment to “春ひとり槍投げて槍に歩み寄る 能村登四郎”

  1. 石川順一 より:

    「沖」創刊主宰だった人ですね。勉強になりました

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