やっと雪がとけ、久しぶりの土の上で、村の子ども達が遊んでいる。元気に笑い転げる声が賑やかに聞こえ、子を背負った母親の姿も見えるようだ。子どもにも大人にも待ちに待った春である。(山内あかり) 出典:『七番日記』
「ノリクラノカナタ」。ここまで誦すれば、すでにはるかな感じがするではないか。そして「シュンセイ」と続く。「シュン」は「俊」に通じる。スピード感がある。さらにとどめは「カギリナシ」。そのまま宇宙まで飛んでいってしまいそうな […]
早春のわずかな草の芽吹が巨大な巌を持ち上げることなど、現実にはあり得ないと思うのだが、虚子に言われてみると、ときにはそんなこともあろうと素直に頷きたくなるから不思議だ。あるいは、蟻が象を倒すという類の現象の比喩なのかもし […]
おや、いまのは何? 燕だ! 町中のおもいがけない初燕の飛翔に、心はおもわずうち震える。いま、春を迎える歓びがさざ波のように押し寄せはじめたのだ。作者は、2003年から5年間「古志」の同人として活躍。2007年に58歳で死 […]
右の手も左の手も、それぞれつなぎにくる子がいるという幸せ。更にきょうだいが多いと、取り合いになるけれど、この句は子供も満足。「あたへ」とあるので、子にとってとても大きく感じられる手なのだ。三人の心の弾みが、「青き踏む」と […]