現生人類が現れてから凡そ20万年といわれるが、地球誕生以来の時間と比べれば僅かなもの。ましてや人ひとりの命の時間など語るにたりない。悠久の大地につぎつぎと人は生まれ死んでゆく。それをひとりの命で捉えれば儚いが、生命のリレ […]
まだ寒さの残る早春の朝のこと。凛と咲く白梅の根方に勢いよく一晩の灰をあける。一瞬、白梅がぼんやりとしてしまうほど灰が立った。やがて灰かぐらがおさまれば白梅はいよいよかがやきを増してくる。(松本邦吉) 出典:『猿蓑』
紺青色をぐっと濃くしたような闇に白梅が浮かび上がっている。戸を閉めているはずだが、昼間の名残だろうか、ふっと匂い立つ。梅は匂いを確かめようとそばに行っても匂いがしない。匂いの塊と運良くぶつかると嬉しい。(藤原智子) 出典 […]
光堂は中尊寺金色堂。平安後期、奥州藤原氏によって建立された仏堂で、国宝、世界遺産。句は早春の光堂での吟行句か。豪華絢爛の光堂から流れてきた雪解水も金色を帯びているかのようだ。芭蕉の「五月雨の降残してや光堂」に呼応した朗人 […]
朝、薄く積もった雪の上に、猫の足跡がある。作者はそれを猫の家の外で見ている。猫は家に戻り、のこされた猫の足跡のもとに作者がいる。もどるところのない、放浪の詩人らしい句である。猫が素足なのはあたりまえだが、それをあえていう […]