隠岐は中国地方山陰にある島で、佐渡と同じくかつては配流地であった。後鳥羽上皇や後醍醐天皇が流されたことでも知られる。その島をたった秋風が、年も暮れる今頃になって吹き届いたというのだから面白い。この句には前書きがある。すな […]
冬になると藪柑子のつぶらな実は赤く熟し、光沢のある緑の葉との対比が美しい。古くから人々に愛され、正月の蓬莱などにも用いられてきた。句の藪柑子は、風呂場のあたりに飾られていたのであろうか。白くたちこめる湯気の中に、一年を振 […]
ずっしりとした地鶏の卵の重みを感じながら、冬の茜の中を帰ってゆくところ。卵を割ってみればその黄身の色は濃く、思わず見てきたばかりの冬茜に思いを馳せたのだろう。『果実』(丹野麻衣子)
冬の太陽が「中空で黄昏れてゐる」という。普通は黄昏れるのは太陽が西に傾いた時だから、一見矛盾した表現。しかし冬の日差しの弱々しさを思えば首肯できる。しかも前書に「二十世紀、さらば」とあり、作者が西暦2000年の暮れに詠ん […]
今日は冬至。この日からまた日足が伸びてくるため、「一陽来復」などともいう。今でも柚子湯をたて、粥や南瓜などを食べる習慣が残っているが、今日この句のような幸せな時を過ごしているお父さんは何人いるだろう。幼子が女の子であれば […]