古志会員による一句鑑賞

飯田龍太が過ごした甲斐の国を巡ったとき、運よく桃の花盛りに出会った。ゆるやかな傾斜地に広がる陽光の中で特に花桃の紅は目をひいた。掲句においては雨の日。「紅が甘えて」という表現で、いまにも雨に溶けだしそうな花桃の色が描かれる。木々をぬらす「山の雨」も、この花のそばを通るときは格別に柔らかく優しい。 (渡辺竜樹)
出典:『遅速』

§3648 · 3月 5, 2012 · 今日の一句(2011年) · · [Print]

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