古志会員による一句鑑賞

およそ寺にある、もっとも大きな仏具といえば梵鐘、大鐘である。「一里鳴って、二里響き、三里渡る」というように、梵鐘の音は重厚にして余韻があり、年迎えとなれば、なおさらのこと。梵は梵語(サンスクリット)の Brahma (神聖・清浄)を音訳したもの。その釣鐘の響きは、まさに万感のこもるもの。この一年の人類の思念、回顧、内省までが大きな鐘から、まさに、いま揺らぎ出でるのである。この仏楽器の特性をきわやかに捉えた大晦日の〆の一句。(坂内文應)

 

§3333 · 12月 31, 2009 · 長谷川櫂の一句 · · [Print]

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