天地は炭墨でも敷きつめたかのような、漆黒の闇だ。と、突然、西の空に白熱色の稲びかり。たちまち、縦に斜めに、横ざまにさえ、何本もの稲妻が京の空を遊ぶようにもつれ合いながら、東へ向かって移動してゆく。驟雨も来ない、雷鳴も聞こえない。稲妻が行き過ぎれば、ますます闇は深く厳しくなる一方。(松本邦吉)
出典:『菊の香』
天地は炭墨でも敷きつめたかのような、漆黒の闇だ。と、突然、西の空に白熱色の稲びかり。たちまち、縦に斜めに、横ざまにさえ、何本もの稲妻が京の空を遊ぶようにもつれ合いながら、東へ向かって移動してゆく。驟雨も来ない、雷鳴も聞こえない。稲妻が行き過ぎれば、ますます闇は深く厳しくなる一方。(松本邦吉)
出典:『菊の香』