夏の夜は短い。東の空に曙光がさしそめると、地上の万物はまだ闇のいろを纏いながらその輪郭を浮かびあがらせる。その中にあって水という物質は、かすかな光をいちはやくとらえ、撥ね返しつつ、透過させつつ、己が姿をあきらかにする。夏の夜は水面から明けてゆく。朝風に揺れるさざ波。匂い立つ水と水草。(萬燈ゆき)
出典:『流寓抄』
夏の夜は短い。東の空に曙光がさしそめると、地上の万物はまだ闇のいろを纏いながらその輪郭を浮かびあがらせる。その中にあって水という物質は、かすかな光をいちはやくとらえ、撥ね返しつつ、透過させつつ、己が姿をあきらかにする。夏の夜は水面から明けてゆく。朝風に揺れるさざ波。匂い立つ水と水草。(萬燈ゆき)
出典:『流寓抄』