芭蕉の新芽は堅く巻いたまま萌え出し、やがてその巻きがほどけて大きな若葉となる。ほどけ始めた巻葉から、その色とまがうように青い濡れ色の雨蛙が顔を見せた。梅雨のある日本だからこそ味わえる緑色。(近藤英子)
「琅玕」はここでは暗緑色の美しい若竹のこと。句は、若竹を蝸牛が這い上っている実景を思い浮かべるが、上五の切れ字「や」によって、若竹とかたつむりの取り合わせと考えたい。涼しげな色彩と質感の言葉を並べることで、初夏の心地よい […]
田椊えを終えた頃の谷あいの景色か。山々の景色も整った初夏の気配がよく伝わってくる。おおむね田畑の近くには、梅の木や柿の木が一本や二本は椊えられているものだが、それらは季節が来れば大切な食材となって生活を支えてくれる。日 […]
卯の花は、五月中旬〜六月頃に、白く清々しい花を咲かせる。「流れは鍬を冷しつゝ」は、長雨のために水量が多くなった渓川をイメージさせる。鍬をここまで冷やす川の水の冷たさや、その鮮やかな川の水の動きに、ふと卯の花のことを思った […]
卯波は、卯の花が咲くころに立つやや大きな波のこと。地上ではかなり暖かくなっているが、太平洋沿岸の海水温度はまだ二十度くらいのものである。海から上がった海女にとって、火はなくてはならないものであろうが、若布を採るころの厳し […]