古志会員による一句鑑賞

ひらひらともつれながら舞っていた二つの蝶が、ふっと別れて、しずかに去って消えた。あとには春のうるんだ空が、いつまでも青々と広がっていた。
 どこか哀しく、そしてどこか希望を感じさせる、美しい青春性をたたえた句である。
「ねむりても旅の花火の胸にひらく」、「雪の水車ごつとんことりもう止むか」など、林火の代表句には、すぐれた抒情性と、洗練された言葉の世界ある。(岡崎陽市)
出典:『早桃』

§3563 · 2月 26, 2012 · 今日の一句(2011年) · · [Print]

Leave a Reply