陸上競技の槍投げの練習風景だろう。ひとりの若者が力かぎりに槍を投げては、しずかにその槍を拾いに歩み寄ってゆく。その孤独な姿を、春という季節が、せつなく、また、あたたかく包み込んでいる。槍投げに打ちこむ若者の情熱と、それに […]
春の陽気は人の心をそぞろにさせる。この陽気に誘われるまま学校を抜け出し裏の山に行く。春のうららかな空気に包まれ、伸びやかな開放感にひたる。(斉藤真知子) 出典:『初鴉』
立子は、干した物を取り込みに出た父の家の濡縁で、春雷を聞いた。ぽつりぽつり降りだした雨はどっと大雨になり、春雷が又鳴り渡った。やがて雨が止み、日も射し始めた。この二日後、虚子は眠るように大往生した。(近藤英子) 出典:『 […]
春は新たなスタートの季節。「闘志いだきて」になみなみならぬ決意を感じる。 春風に吹かれながら丘にすっくと立つ青年に幸あれと思う。虚子の俳壇復帰という背景を知っても知らなくてもよい。この句の持っている向日性は勇気をくれる。 […]
「かげろうてみたき」は色々な解釈が成り立ちそう。実態のない生活、しがらみにとらわれない生き様、とらえどころのない人間、半透明人間、虚像人間などなど。いずれにしても、社会人としてやっていくには中心線があいまいすぎるようだ。 […]