2024年3月句会報告

ZOOM句会


深川句会(13日/14名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

今ゐたらどんなであらう震災忌    谷村和華子
古びひな吾と嫁入りの幼な顔     谷村和華子
大島の良く見ゆる日や白子干      金澤道子
潮引きて遍路の道のあらはるる     金澤道子
階に沓飾り了へ御殿雛         越智淳子
かつをぶし仔猫の一生幸あれと     菅谷和子
風船は自由よたよりなきものよ     臼杵政治
春宵の二合半明日は子犬来る      臼杵政治
花菜漬みむろの酒を人肌に       篠原隆子
奥能登の千枚の田を打てぬ春      大場梅子
春かすみ一茶にかくもおならの句    園田靖彦
春炬燵窓開け放ち五七五        水津房子

【入選】

オフィーリアの髪の乱れや和布寄す   神谷宜行
摘み籠のどれが草やら土筆やら     神谷宜行
君の夢入れて掲ぐる巣箱かな      神谷宜行
つくし摘む空の母へとゆきつくまで   神谷宜行
涅槃西風花巡礼のはじめかな      城田容子
初蝶や止まりて翅で息をせり      上 俊一
紙風船サーブのやうにひつぱたき    上 俊一
オキザリス親ガチャの世に親になる   臼杵政治
僧兵の口上凛と薪能          水津房子
この道は祖母とそば屋に彼岸西風    水津房子
いつかくる卒業までの供白髪      水津房子
ぬけ殻も蜂の巣もみな宝物      長野いづみ
秩父けふ春の大雪母の葬        大場梅子
強東風やペンを一本はなむけに     篠原隆子
大寺を出でて雪解の風のなか      篠原隆子
もろびとの癒えよと温む小石川     篠原隆子
はらはらと桃散らしては雛納      越智淳子
手にのせて日に日に重き仔猫かな    菅谷和子
あざらしのひとり児を乗せ流氷来    菅谷和子
おほかたは父母にたむけて草の餅    園田靖彦
バス遍路杖も白衣も真つ新な      金澤道子

第二句座 席題 (浅蜊 遍路 下萌)

【特選】

殻ごとにうぶすなの景大浅蜊       篠原隆子
天上へ続きてはるか遍路笠      谷村和華子
徳利をぶらさげ花の遍路かな      神谷宜行

【入選】

寅さんが帰るころかや土手青む     城田容子
あさり入れ菜飯たちまちご馳走に    大場梅子
下町や夕苞にせん浅蜊飯        越智淳子
励ましの寄せ書き見ゆる遍路笠     西川遊歩
空を飛ぶにはか遍路やロープウェイ   西川遊歩
はるか来し韓のあさりも親しけれ    篠原隆子
波音もあさりの殻も夕暮れて      篠原隆子

(篠原隆子 記)


東京句会(30日 16名)

大谷主宰選

第1句座

【特選】

くしやくしやにまるめて春のコートかな 藤原智子
錦絵を脱け出す力士春の宵    わたなべかよ
手をついてただただ眠き蛙かな  菅谷和子
よく笑ふ巨勢の乙女よ椿餅    神戸秀子
鴉鳴く野太きこゑも恋の歌    菅谷和子
富士の峰包んで楽しシャボン玉  長野いづみ
いづれこの墓から花見考妣と   臼杵政治
鳥の巣の枝より強き雛の嘴    丹野麻衣子
またここでこの木囲まん卒業す  神戸秀子
ぐつすりと眠つてけさの桜かな  藤原智子
こてこてと畦塗り上げて呆けたり 上 俊一
行きがけに蛇をつかまへ入学す  神谷宣行
スリッパで父の帰りを待つ子猫  城田容子

【入選】

残る鴨つがひの距離の絶妙な   間宮伸子
受験子に祖母のういらうよく効いて 神戸秀子
乗つてきし風船と子に道開ける  仲田寛子
雪崩去りむくと羚羊立ちあがる  大場梅子
お遍路がしたきと阿波へ越してゆき 城田容子
おなじみの鳥をかくして竹の秋  丹野麻衣子
江東の地図をひらきて花の昼   藤原智子
ぽつきりと折れて食ひどき目刺かな 園田靖彦
老木の血の一滴ぞ桜蕊      神谷宣行
へつらはず生き光悦の里の春   城田容子
日本の朝寝が疾るのぞみ号    臼杵政治
ときどきは夫を杖とす遍路道   城田容子
世を正す獣となりて卒業せよ   神谷宣行
いくつもの電車逃して桜かな   藤原智子
鶴帰る時は引き算出水の子    臼杵政治
ランドセル置いて子どもら麦を踏む 大場梅子
エープリルフールが母の忌だなんて 金澤道子
寄居虫やつひにたびすることのなく 上俊一
プラチナ婚大いに生きて父母の春 城田容子
風と来る鳩の羽音の春めいて   丹野麻衣子
塗り畦の小さき足跡上塗りし   上 俊一
姉よ吾よ年重ねけり花薺     仲田寛子
富士を背に土筆を摘んで足馴らし 金澤道子
書き出しは桜前線あいさつ状   間宮伸子

第2句座席題(花衣、燕、春愁)  

【特選】

わが町の虫はうまいぞ初燕    城田容子
石なげて春の愁ひの水輪かな   仲田寛子

【入選】

また何かひとつくはへて燕かな  藤原智子
帯止めは母のブローチ花衣    金澤道子
なつかしや龍太の家の初燕    長野いづみ
なつかしき母のにほひの花衣   菅谷和子
燕来る月島の路地知りつくし   丹野麻衣子
姿見に母現はるる花衣      神戸秀子

(大場梅子記)


東京ウェブ吟行句会(17-21日、夏雲システム、20名)

吟行地:小田原城(小田原周辺)
兼題:雪崩、雛祭(雛全般)、蜂の巣

遠足に乗つ取られたる天守閣  神戸秀子
古雛の愛なき二人かもしれず  関根千方
海の香のかまぼこ通り吊るし雛 石塚純子
雪崩れより白熊のごと生還す  松岡伴子
荒れ果てて蜂の巣太る故郷かな 藤英樹
蜜蜂や愛らしき妻翔平に    神谷宣行
雛明り遥かになりし子らの声  上村幸三
熊鍋のぐつぐつ煮立つ遠雪崩  安藤文
国盗りや早雲釣りし桜鯛    大場梅子
朧夜や幻庵の吹く一節切    菅谷和子
満州に置いて来たりし雛かな  萬燈ゆき
折りあげて似合ひの男雛女雛かな 金澤道子
目覚むれば一夜のうちに花の城 臼杵政治
狩衣に染みひとつなき雛かな  片山ひろし
初花や小田原提灯高うせよ   園田靖彦
雪崩打つ日本の劣化いかにせん 大平佳余子
春なれやあらめも足して米曲輪 原京子
失いし帽子野原の地蜂の巣   服部尚子
蜂の巣やバベルの塔をしのぐかに 石川桃瑪
雪崩なきシベリア凍土哀しけれ 越智淳子

(関根千方記)


鎌倉吟行句会(2日 鎌倉古民家ミュージアム 5名)

第一句座  (7句出句5句選)
紅絹の海老ちりめんの鯛吊し雛  道子
つるし雛こぼれおちたる幼き日  恵美子
水盤の藻の濃き水にメダカかな  淳子
吾も小さくなりて遊ばん雛道具  美津子
ひんやりと華やげるもの雛の間  和華子

第二句座  (席題 遍路、苗札3句出句3句選)
苗札のそこは小鳥を埋めし場所  美津子
苗札の筆記体優雅イギリス庭   淳子
苗札のカナクギ流の楽しけれ   道子
苗札に書かれし言葉永遠の愛   恵美子
天上へのぼりゆくかに遍路杖   和華子

(谷村和華子記)


埼玉句会(24日 埼玉会館 5名)

俳諧はわがよりどころ目刺焼く     市人
廃炉への遠き道のり陽炎へる
五十年後ここで会はんと卒業す    靖彦
むかしむかしではじまる話鳥雲に
貧乏を味合ひつくす目刺かな      宣行
地震の句にまたもざはめく椿かな
花を見て人見て春の愁かな      つねお
ミサイルをかはしかはして鳥雲に
五歳児に姉の風格鳥雲に        ゆき
独裁者納める国へ鳥帰る


愛知吟行句会(7日 岐阜市梅林公園)

快晴の空の下、暖冬でほとんど散った白梅、まだまだがんばっている紅梅などをのんびり見て回り、すぐそばの老舗の「植東」で田楽の定食を食べ、句会。

池の鯉梅の花びら吸ふて吐き    恵美子
湧水は美濃の誉れや豆腐田楽    春日美智子 
人去れば栗鼠も猪も来よ梅花苑   楓
好晴に浮かれ梅見のバスを待つ   尾燈子
啓蟄や老舗の床に軋む音      正博
満開の梅千本のしづかなり     通江
白梅や競輪予想ひそひそと     雄二

(稲垣雄二記)


岐阜句会(28日 岐阜市西部福祉会館 5名)

第1句座 兼題(桜餅、日永、朧)

永き日や雀のつつく庭の土     沙羅
桜もち桜を待ちて買つてみる    通江
朧月空の色して西空に       上松美智子
幕尻の力士優勝桜餅        春日美智子 
晩年の日永のんびり山歩き     恵美子 

第2句座 当季雑詠

我の毒うすまりたるや春の雨    沙羅
やはらかな色になりけり笑ふ山   通江
先がけて彼岸桜の紅や濃し     上松美智子
荒るる日々たまの日和よ種蒔かむ  春日美智子
城山に遠足の声登りくる      恵美子 
(梅田恵美子記)


京都句会

古志京都句会3月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。 

 3月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(雛壇)、越智淳子さんの「きごさいBASE」の「今月のお菓子」欄の「蓬餅」と「菱餅」、そして竹下米花さん作の絵手紙(椿&春コート)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。17名参加。

さわらびの光を籠に摘みためて    久美
このあたり百戸ばかりや草の餅    忠雄
汀さんとめぐりし京のさくらかな   初男
人の世の遥かを見てる内裏雛     雄二
如意輪寺塔の先だけ花の上      嘉子
百千鳥しきりに山をくすぐるや    美恵子
亡骸の顔動かして髭剃る春      みさ子
老も死もなき雛壇のさびしさよ    美那子
春コート手に印象派展めぐる     杳平
復興の力となすや草の餅       りえこ
かたむきて水音聞きぬ座禅草     恵美子
春愁を包む風呂敷寸足らず      佳澄
お茶室に椿一輪宇宙かな       悦子
梅が香に免じて通す富樫かな     米花
雨粒はベージュを濃くす春コート   淳子
鳥交む塩津菅浦寂れたり       英二
草餅や話自づと里のこと       茉胡

 対面句会は、3月20日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座6句出句(席題「車」「焼野」「余寒」「磯巾着」「花冷え」「スイトピー」)6句選句。3名参加。

彼岸入父に負けずに生きてみる    一爽
少年の日のスィートピー赤かりし
ぼけ封じとつとこ歩く彼岸かな    佳澄
末黒野や果ての果てまで夢広げ
行春ややつてみやうか生前葬     茉胡
末黒野は落胆捨てに来るところ

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:mako10himu6@nifty.com  
(氷室茉胡記)


奈良句会(27日 夏雲システム 11名)

舟運の往時の波止場水草生ふ     正子
銀鼠にけぶりゆく人春時雨      淳子
春の泥夜中に付きし爪の痕      まち
地下足袋が小股で探る春筍      雄二
賑はひを遠く落柿舎竹の秋      まこ
修二会の竹空ゆるがせて来たりけり  豊
鼓打つ手よりこぼれて桜貝      忠雄
ひく波に拾ふむかしの桜貝      久美
奈落から雉子の鳴く声吉野建     悦子
雉鳴いて吉野の里の朝ぼらけ     美那子
はぐらかす答弁上手四月馬鹿     りえこ
(きだりえこ記)


大阪句会

メール句会(雑詠7句出句、5句選)

弧状列島ふるへ止まざる竜の春     百合子
春たつや水滴ことごと光りをり     泰子
ひしひしとほうけおそろし雪解水    美栄子
春寒や暗き廊下の時計鳴る       歌子
紅梅の大輪なれば蕊もまた       みつこ
竹生島一つ残して霞けり        豊
円空の鑿より春の仏かな        りえこ
はるかなる俳句の道やうまごやし    洋子
父の辺に母在し日や春ショール     陽子
四月馬鹿なかなかやめぬ俳句かな    一爽
供花の無き清盛の塚冴返る       茉胡
木瓜の花開けっぴろげは母譲り     誠
生まれ落つるかなしみに濡れ猫の子も  久美
千代萩ならばと貰ふ根分けかな     美那子

Zoom席題句会席題(卒業・若鮎)3句出句、3句選

卒業の子のネクタイを締めてやる    美那子
卒業式また能登に戻ってこいと     豊
ばあちゃんの晴着譲られ卒業す     頼温
卒業やよき思い出も悲しみも      泰子
卒業やよく擦りむきし膝小僧      みつこ
避難所の友と一緒に卒業す       洋子
卒業歌我らに歌う応援歌        誠
若鮎の母は木花之佐久夜毘売      りえこ
若鮎や少年の日の湖に         一爽
み吉野の若鮎ならむ反り強し      陽子
石苔も鮎の子もまだととのはず     久美
鮎の子の跳ねて早瀬へ去りにけり    百合子
(木下洋子記)


松山句会(15日 メール句会 10名)

兼題:風光る、朝寝、畦火、熊穴を出づ、春の闇 5句出句5句選

退院の妻と一緒に朝寝かな       薫
棟方志功けずる乳房に光る風      真樹子
熊穴を出づいつか仔別れ親離れ     伊都夫
朝寝こそわがながらへるひけつなり   紫春
春の闇我を手招く見えざる主      博山  
大朝寝すべて目覚めてからのこと    陽市 
熊穴を出でて未踏のバンコクへ     真奈美 
鍬打ちの確と手応え風光る       まさし
人形の瞳にこもる春の闇        まこと  
神々のつくりし島に朝寝かな      真樹子 
窓の外見上ぐ青空朝寝かな       博山 
風光る銀座見守るライオン像      薫 
朝寝して淋しき一日始まれり      伊都夫 
学ランの波駆け抜けて風光る      真奈美 
勝ちつぷり悠々聡太風光る       まさし 
今朝はるか天空への道風光る      紫春 
生きるてふ罪にまみれて畔を焼く    まこと 
(木下まこと記)  


福岡句会(23日 あいれふ)

第一句座
 
微笑みも言の葉となる花ミモザ     和子
生きること夜半を水噴く大浅蜊     久子
娘今お転婆ざかり春一番        龍梅
入学試験鉛筆のみな尖る        國光
闇を裂き闇を深めるおたいまつ     悠
騎馬族の黄砂を運ぶつむじ風      博人
野遊びのつづきを夢に遊びたる     民也
一望の菜畑懐かし帰郷かな       真知子 

第二句座(席題、仔猫、日永) 

もの十日あはれ仔猫の野良暮らし    國光
もう文字は読めぬ遅日のアドバルーン  民也
隣より貰ふ子猫をエプロンに      和子
立ち読みの客増えてくる日永かな    龍梅
あかあかと空美しく暮れかぬる     久子
舟ゆらぎ潮もゆらぎて日永かな     博人
空き箱を開かれ目覚め春の猫      悠
永き日や阿吽の像の鼻欠けて      真知子
(斉藤真知子記)


長崎句会

当季雑詠

三輪車急に停まりてタンポポよ     美智子
担任へ黒板埋めて卒業式        玲子
れんげそう消えた田圃や春の風     文
この春を見ず君逝きて四十九日     睦美
春の陽に向かひ歩行のリハビリよ    まり子
花衣縫はん吉野に行くならば      なおよ
花便り新橋デビューの謝恩会      弘美
被災地は雪解け水も役立ちて      順子
菜の花や我とわが身を愛しみ      瑠衣

題詠 卒業、磯巾着

呼名する声震えるや卒業式       美智子
冴返る子がいくつとて母は母      玲子
磯巾着蒼き宙へと背伸びする      文
卒業の袴はきりり帯高に        睦美
初恋も一緒に卒業証書かな       まり子
卒業やもう洗はないラガーシャツ    なおよ
卒業や運転免許をせかされて      弘美
主婦業に卒業は無し新メニュー     順子
卒業やがらんと広き寮の部屋      瑠衣
(ももたなおよ記) 


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題(清明、ミモザ)  7句出句5句選

花瑠瑠に南十字を仰ぐ春        若松節子
雨もよひ雪となりけり利休の忌     北野沙羅
草の芽や土地の境はなほ不明      佐竹佐介
暖流に島点々と花ミモザ        加藤裕子
(加藤裕子記)

 

 

                   

 

 

 

 

 

 

     

                              

        

                                    

                                                         

         

                                                         

       

     

          

                    

 

 

 

 

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です