1月句会報告


東京句会(江東文化センター/27名参加)

8投句(席題3句以上)/5句選句
席題「乾鮭」「カリフラワー」「氷柱」

◎主宰特選
ありがたうこゑのかたちに凍てにけり 和華子
凍鶴の夢明か明かと氷るらん     幸三
故郷の山動き入る初湯かな      祥子
雪五尺かの世の雪も積りきし     明法
大火事や水の地球に赤き肌      千方
煮凝や骨も目玉も鯛の味       ひろし
雪を呼ぶ紙漉唄となりにけり     秀子
傘あげて傘を通せり成人日      皓大
ひとさしに小町となりぬ初鏡     和子
息といふ白き花吐く地獄変      千方
○主宰入選
花野菜もりもり食べて花となれ    梅子
乾鮭の身を歪めれば濤の音      千方
大寒やかがとで歩く寺の廊      京子
→上五を変更したい。
水よりも青空が好き花キヤベツ    幸三
鑑真がまぶたに透かす冬日かな    皓大
乾鮭で茶漬や今日も寝坊の子     菊江
ひと晩の愛の積もりし氷柱かな    直子
貝の蓋とれば桃いろ胼薬       秀子
乾鮭や氷見にゆかりの万葉歌     祥子
海老蔵と踊る勸玄春を呼ぶ      ひろし
初泳ぎまだ見ぬ未来かき寄せん    菊江
センター試験窓に氷柱や雪国は    明子
乾鮭をくぐり主人を探しけり     直子
寒空に腹見せて歯を見せて羅漢    京子
もこもこと春をはぐくむ花野菜    節子
花道をはづむ盗人初芝居       寛子
春小袖ホームの母の今朝の頬     いづみ
古き世の鏡出でけり池普請      秀子
やはらかな水脱いでゐる氷柱かな   千方
天平の氷柱に音のありさうな     皓大
乾鮭の真白き歯錆び吊れをり     いづみ
→「乾鮭や歯から錆ゆき吊れをり」
寒稽古雪の大富士蹴立てゆく     伊豆山
江東に師あり友あり初句会      かよ
企業戦士拓きし国のうそ寒し     いづみ
籠り髪くるくる風邪の髪とゐる    皓大
すこやかな赤子の寝息春を待つ    梅子
きんいろのまなぶたとぢて冬眠す   和子
無頼派も浪漫派もみな着膨れて    千方
樹木葬われらこぞつて花の贄     美沙子
乾鮭といふ思ひ出も乾びけり     順子
風雪を泳ぎ乾鮭真紅         伊豆山
→「泳ぎ」を「生きて」に。
(関根千方記)


深川句会(1月8日、26名)
*一部直しが入っております

(第1句座、自由題、5句出5句選)
◎特選句
にこにこと破魔矢の鈴を鳴らし来る  梅子    
死ぬまでに読む書崩して読み始む   遊歩
遠き世のかくかくしかじか読み始め  和子       
寒鴉好きなものだけつつきをり    はるみ
歳月をくべて出直すどんど焼き    宣行
猿曳が天を仰げば猿もまた      隆子
銭湯の富士に抱かれ初湯かな     逸郎
ぽつぺんを吹けばあたりの晴れわたり 秀子
○入選句
千両や水かへて実の目減りせり    節子
太箸や余生まだまだ夢多し      順子    
黒饅頭いくつも松へ寒の肥      桃瑪    
涙壺ならぬぽつぺん吹きにけり    秀子
妹山を守りて背山眠りけり      ひろし
去年今年造花は同じ顔をして     伸子
白髪にすつかり馴れて初鏡      道子
初湯して世界の渦の真中に      和子
旅立ちしかの人の打つ初鼓      梅子
白息や始発電車は今日を乗せ     和華子     
雪晴れのいづれの山も母に似て    隆子
里神楽笑ふ女神に泣く男神      隆子
ほどほどに宝積み終へ宝舟      靖彦
小豆粥息でさまして母の口      宣行
熊よけの鈴聞いてゐる子熊かな    和子
しろがねの体温をもち掛大根     桃瑪
見馴れたる顔なつかしや初句会    道子
七草のひとつ箒の下にかな      京子

(第2句座,席題「砕氷船、鏡開、嫁が君」3句出、3句選)
◎特選句
船室の家族写真や砕氷船       はるみ
轟音の頼もしきこと砕氷船      伴子
わだつみの氷よ永久に砕氷船     隆子
ひと声のうひうひしさよ嫁が君    秀子
〇入選句
砕氷船大海原を生き生きと      節子
初場所やご贔屓開く大鏡       伊豆山
君の胸へと砕氷船の舵をとる     秀子
帰る子に鏡ひらきて持たせやろ    直子
鏡開稽古終へたる顔ならび      道子
斧持ちて父の開くや鏡餅       いづみ
手を添へて上ぐる大槌鏡割      隆子
真白なはつか鼠や嫁が君       和子
鏡割世界に福を分かたんと      和子
嫁が君茶碗の銘は命乞ひ       伸子
木偶坊と呼ばれ続けて砕氷船     俊一
国盗りのむかしは知らず嫁が君    梅子
合掌の家知りつくす嫁が君      ひろし
(鈴木伊豆山記)


東京・神奈川吟行句会(25日、上野不忍池、15名)

○第一句座
鷽替の鷽のまつ赤な喉かな   美津子
広重の月の松より春のぞく   千方
鷽替の人に揉まれてをりにけり 道子
春を呼ぶ母の足踏みミシンかな 梅子
寄せて来て春の匂ひや塵芥   宣行
水仙や切れし鼻緒の恋ありて  純子
うそかへの人かきわけて梅探る 京子
天神の絵馬の幾万風光る    ひろし
この杭が仮寝の宿か都鳥    和子
北斎の娘の廓火影寒      伊豆山
都鳥みんな違つてみんないい  明子
雪吊の暇さうに垂るこの冬は  侑子
都鳥品評会の如杭に      菊江
山茶花の花をくはへて鵯たてり 順子
枯蓮や鳥の形に先が枯れ    美沙子

○第二句座 (笹鳴、鬼やらひ、春隣)
笹鳴や次のバスまで一時間   道子
住み着きしわが鬼たちに豆を撒く 順子
松明の音響きくる追儺かな   千方
まち針の玉の色いろ春隣    純子
笹鳴や上野の山をなつかしみ  美津子
こんぺいと赤青白と春隣    伊豆山
手のひらにふくらむ春の隣かな 宣行
のれそれをつるりと啜り春隣  ひろし
(神谷宣行記)


鎌倉句会(1月12日)

席題=大寒、水鳥

【大特選】
一花また一花と鶴が夢の中   美津子
白鳥は水の花なり争へる    伸子
そのひとり胸にをさめん年賀状 順子

【特選】
水鳥は水をまぶしみむかう岸  美津子
この庭の薄日の氷る水仙花   美津子
寒の水飲めば我が身は水の琴  秀子
沈丁の怒りの蕾はじけけり   秀子
猫ならば太祇が庵の炬燵猫   菊子
湯豆腐や差し向ふこの朴念仁  菊子
大寒や腕組みほどく謀りごと  邦紀
鎌倉や小さき山の初日の出   尚子
目の前に流れゆふべの浮寝鳥  光枝
大寒や口遊んでは六百句    梅子
初詣ふだん通らぬ段葛     侑子
冬薔薇一輪といふ見事さよ   京子
ほのかなる福藁の香や門に入る 怜
よぼよぼと来て朗々と謡初   英樹

【入選】
寒牡丹おのがこころを映すべく 秀子
母の杖挿さば芽吹かん花の春  秀子
ときめきや二つに折つて花びら餅 秀子
夢の世や岸辺にとほく浮寝鳥  秀子
一碗の雪を沸かして大福茶   光枝
雪片のマチスのダンスダンスダンス 光枝
水鳥のひとつとなりて流れけり 光枝
しづかさの湯気もたもたと葛湯かな 順子
庭楽し大地の色の初雀     順子
しづかなる三日の海と大富士と 侑子
水鳥のいろいろ居りて争はず  侑子
へうたんに紐色々や花の春   麒麟
揺れ揺れて数万本の福笹よ   麒麟
かけ声のはや負けてをり寒稽古 道子
モノレール初春の海見にゆかん 道子
読初や秘すれば花の世阿弥の書 ひろし
何を待つこころの色の七日粥  ひろし
初鴉声もさすがの隅田川    英樹
三越の母大好きな福袋     英樹
ぺたぺたと何の足跡沼涸るる  美津子
鏡餅くだかるる日を待ちしづか 怜
凍鶴の慟哭しんと雪の中    宣行
寒椿晴れてさみしき喉仏    一郎
追羽子や空の中から花一つ   幸三
はろばろと来て曾良眠る波の花 靖彦
初春の朝日に透くや猫の耳   伸子
アフガンへ破魔矢の鈴をりんりんと 邦紀
(藤英樹記)


金沢句会(14日 慶覚寺 8名)

兼題(「飾」「火」)当季雑詠
地に足を詩に翼を初句会      こまち
飾頭舳先ならべる船溜り      早苗
背伸びせず輪飾り掛ける帰省孫   妖子
明けてゆく能登見はるかし飾臼   きよみ
春の雪人待つひとの髪飾り     まさみ
飾り気のなき暖冬の夕ごころ    淳
とほき世の火の色ならん落葉焚   早苗
消火器の錆に気付けり年の暮    妖子
去年今年胸の火種は絶やさずに   薫
打ち返し背骨をあぶる焚火かな   まさみ
炎ゆる首里城あまりに美はしき   繁
初旅は語源辞典の広野へと     薫
初詣会社辞めると子は言へり    繁
すつきり目覚め初夢を見たかしら  きよみ
雪起しかくも空爆誤爆かな     こまち
金色の五輪や閏初日出       淳
(花井淳記)               


愛知吟行句会(9日、名古屋市熱田神宮)

昨日の嵐が嘘のような青空の下、本殿の前に集合。まだまだ初詣の多き中、社の裏を一周する「こころの小径」を散策・吟行。「清め茶屋」でカレーを食べ、熱田図書館へ移動し句会。

初山河掃き清めをり竹箒        恵美子
冬の鵯飛ぶとき小さき口開けて   春日美智子
ごの上に花びらのせて冬桜      沙羅 
大楠の紙垂は大振り大旦       楓
かつてここは七里の渡し鳥総松  正博
冬帽子ま深にかぶり旅心     通江
熱田社に裏口のあり初鴉      雄二
(稲垣雄二記)


名古屋句会(25日 愛知芸術文化センター 13名)

持ち寄り五句出句五句選

何であれひとつはさびし寒卵     歌子
一合の米を洗ふに寒の水       歌子
葉牡丹の渦が緩んできて夫婦     瞳
九十の底より光る花の春       竜樹
中学の恩師のやうな干大根      正博
淑気満つる巻頭の一句『古志』来たる 尾燈子
蓬莱へのしのし歩むおむつかな    雄二
大寒の大樹は傷を晒し立つ      一水
思春期の黙の主張や青木の実     瞳
大欠伸のどちんこまで日向ぼこ    雄二
あきらめず話しかくるや日向ぼこ   一水
寒鯉の時をすり抜け静かなり     雄二
ポケットに入る小さな日記帳     妙
一睡の一年廻り初明り        ひろ古
ペチカ消えペチカの歌の残りけり   すみ子
お雑煮は丸餅母の掌のかたち     比嵯代
煮えきらぬ返事は待たぬ榾を足す   楓
鬼やらふ豆大福を大口に       竜樹
大神の遠吠えを聞け我が地球     瞳
どうなろとゆず湯に浸り死後の事   信子
胸高に二十才の春の帯結び      ひろ古
惜しみつつ松などはづす七日かな   尾燈子
聴くしぐさ幼なにもあり虎落笛    歌子
廻りくる光も少し寒すみれ      一水
見えぬ程きざむはこべら粥炊けり   すみ子
手をそへてさいころに切る寒どうふ  ひろ古
木守柿花のごとくに残りをり     歌子
ジレなんて居心地悪しちゃんちゃんこ 瞳
あらたまの鬼ころしてふ御神酒かな  楓
吾も逝けば光となるぞ寒すみれ    一水
とは言へど季節の実り枯れ芒     尾燈子
掃初や吾の足跡のまだ確か      妙
踏まるるを知っているなり名草の芽  妙
明日あると皺の命や竜の玉      雄二
大寒の苺を食ぶ生きてをり      歌子
(渡辺竜樹記)


岐阜句会(23日 西部福祉会館 7名)

第一句座 兼題(虎落笛、水仙、久女忌)
水色の帯締めきりり久女の忌     雄二
捨て芋の花も清楚や水仙花      上松美智子
虎落笛魚拓はがるる島の宿      誠一
鳥たちのつむり逆立て虎落笛     春日美智子
けいたいと口紅ひとつ久女の忌    之子
もがり笛を胎児と聞いてしづけさよ  通江
虎落笛波立つ湖をさすらへり     恵美子

第二句座 当季雑詠
枯れ葦の川枯れ葦を流しをリ     雄二
死者生者魂の寄るどんどかな     上松美智子
歩き出さぬ影のひとつに大枯木    誠一
春なれや伊吹は今日も雲の中     春日美智子
菜洗ふ井水に湯気の湧き立てり    之子
あたたかき闇をかかへて妊婦かな   通江
深閑と月の光に眠る山        恵美子
(梅田恵美子記)                                 


京都句会(26日 こどもみらい館 5名)

第1句座(7句出句6句選)
第2句座(席題「春浅し」「雀の子」「魚氷に上る」「剪定」「蓬」を含み7句出句6句選)

東西の鬼の集る初句会        まき子
雀と顔見知りなり鬼瓦
白梅はひたむき紅梅は気まま     幸子
魚氷にのぼり野球ボールは屋上に
鮭買はむ豆も揃へむ初弘法      りえこ
孔子恋文を書き魚氷に上る
一銭もいらぬ気散じお山       美栄子
乳呑み子は父のひざの上初電車
薄氷や夢を追ふ日は短くて      茉胡
売地札隠るるほどに蓬萌ゆ
(氷室茉胡記)


奈良句会(11日 奈良県文化会館 10名)

ミサイルに自由な空や初鴉        雄二
意気込みの空回りして初句会      茉胡
それからの海月をしのぶ海鼠かな    瑳楓
床鳴らす音も淑気や二月堂        りえこ
おぼろげに粥柱ある命かな      美那子
海鼠食ふてまだまだ生きるつもりかな  久美
初乗りやハイシドウドウじいじ馬    正子
初乗りやみづうみに立つ伊吹山      豊
初飛行富士の火口の広きこと      悦子
しづかさや机の上の初昔        忠雄  
(上田忠雄記) 


大阪句会(5日 大阪市立中央公会堂 11名)

中央公会堂で初句会を行いました。
今回、古志の一月号で古志五賞の発表があり、「題詠賞」(飛岡光枝選)を、澤田美那子さんが受賞されました。
姿見もともに古りたり更衣   美那子
年年、四季折々、日々の姿を姿見に映してこられたのでしょう。更衣の題詠で時間の流れ、作者の人生まで感じられる味わい深い一句を詠まれました。光枝さんの選評にある俳句のリズムの見事さはさすがだと感心します。
美那子さんと句会を共にできるのは私たちにとって幸せなことです。
句会に先立ち、皆で美那子さんの受賞を祝ってランチを共にしました。
昨年は、私の俳論賞を祝って久美さんが幹事をしてくださってランチをごちそうになりました。これからもうれしいランチが続くといいなと思います。
よき句友とたのしく句会できることに感謝です。

百歳の花もあるらん花びら餠    美那子
われもまた赤子のごとし初湯かな  久美
嘴太の声に展がる初景色      歌子
書初やいらぬ力をぬく力      瑳楓
桃源の路地にこもりて読初む    陽子
箱蓋の繕うてあり歌がるた     みつこ
迷ひつつわが道ゆけば恵方かな   豊
心のまま足向くところ恵方かな   洋子
空海のまなこ見開く冬落暉     百合子 
小正月そろそろ新芽出るころか   可奈
一つづつ片づけ正月しまひけり   泰子  
(木下洋子記) 


岡山句会(26日 倉敷公民館)

席題「初相撲、春隣」
老の坂一つのぼりて松飾る     有里子
初凪の瀬戸の島々高鼾       嘉子
身仕舞も華やぐ小兵初相撲     崇
初戎宝の鯛をはや落とす      広
(神蛇広記)


広島句会(25日)

第一句座 当季持ち寄り 
水々と水請ふ裸修正会       忠保
御狐も鼠に見えて初詣       秀也
落葉掻き分けて寒肥打ちにけり   京子  

第二句座 題詠 (菜の花 たらの芽 蛇穴を出づ 春泥 金)
蛇出づや舌であたりを確かめて   忠保
菜の花や雲に隠るる恐山      秀也
蛇穴を出づれば御世の変はりゐて  京子
(矢野京子記)


松山句会(11日 ホテルサンルート松山 9名)

兼題:初のつく季語、福寿草、雑煮、寒稽古 
席題:白鳥、春隣

6句出句 5句選
黒髪をきりりと結び寒稽古      崇
思ひ出のシャネル一滴初鏡      紫春
嫋やかに年重ねたし福寿草      圭子
福寿草となりの庭に咲きにけり    和弘
初みくじ大ひだまりのなかにいま   陽市
一段と声高くなり寒稽古       真奈美
待針の光まぶしき春隣        喜久子 
白鳥をつつむ日差しのやはらかし   眞喜子 
ふんわりと鯉動きをり春隣      崇 
ふくしまといせのみたまの雑煮かな  紫春  
踏みひらく一歩いつぽよ初詣     陽市 
白鳥の千の眼と逢ふ瓢湖かな     喜久子 
クルーズの資料手に取る春隣     圭子
白鳥の息を染めたる茜かな      まこと
(木下まこと記)


福岡句会(25日 あいれふ 9名)

第一句座(自由題 7句出句5句選)
素となりし己が心や春立ちぬ    和子 
冬の夜ずんずん一人になりてゆく  桃潤  
寒晴や先の先まで青信号      祥子  
未来へと放つ少女の弓始      真知子  
ささやかな懐炉の暖や一夜航    博人  
細雨の一日止まず梅白し      国光  
廻る独楽すつと手に載せ夕空へ   久子
鰭酒やとことん身の上話して    龍梅 
初雪はまだかまだかと鬼瓦     緑

第二句座(3句出句3句選) 席題「東風、梅、節分一切」 
探梅や恋の神社を通り抜け     真知子  
豆撒くや投げて拾ひて一人住む   桃潤  
墨の香の匂ふがごとく梅真白    和子 
東風吹くや西からの風押し返し   龍梅 
焼き立てのパン買ひ戻る東風の街  祥子  
飛梅や大宰府越へて大陸へ     博人 
神の名は覚へがたきや野梅咲く   国光 
白梅の香の深深と櫓跡       久子  
鬼やらひしばらく経つて父戻る   緑 
(吉冨緑記)


長崎句会(24日)

当季雑詠 持ち寄り5句
冬帽子散歩に杖の頼もしき      弘美
初稽古雄叫び響く卓球場       まり子
小言など云はず白菜真二つ      直代
手間減らし数減らしゆく御節かな   順子
帰省待つ母の干し柿頃はよし     あや
死んだふりがいつしかまこと冬の蠅  瑠衣

題詠2句(寒施行・春隣)
春隣澱む流れに渦いくつ       弘美
いつぞやの狸なりしか寒施行     まり子
迷ひ猫さがすポスター春隣      直代
上京の地図に見入るや春隣      順子
寒施行傍にも飯の残る岩       玲子
鶴を待つ翁のまなざし寒施行     あや
どの穴も同じむじなや寒施行     瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会 (8日 南阿蘇珈琲ギャラリー 4名)

第一句座  
弥次喜多といはるる二人御慶して   裕子
忘るまじ座敷童の雑煮膳       戌彦
肥後弁の語尾柔らかく御慶かな    茉莉子
田作りや脇役なれど晴舞台      榾火   

第二句座 席題(初場所、歌留多)
法師より内侍がよけれ歌加留多    裕子
付人が一人増えけり初相撲      戌彦
小さき者美しき者初相撲       茉莉子
剣となる細き指先歌留多会      榾火
(今村榾火記)


熊本あふちの会句会(21日 三城宅 4名)

第一句座(当季雑詠 四句)
月冴ゆる赤いベストのサキソフォン     節子 
客船の接岸の音初茜           沙羅
春隣カーブ曲れば潮の香         和子
十年の介護終へたり寒の梅         佳代子

第二句座(兼題 成人式、春隣、香)
天守閣成人式の借景に        節子
天草の凪に浮く舟春隣        和子
買初や誰が袖といふ香袋         沙羅
旅の荷にベスト一枚春隣        佳代子
(三城佳代子記)


大分句会

やけどするなら触れてみる冬夕焼け   裕子
輪飾りを指でなぞりてはずしたり    裕子
初鶏に答ふるもののなかりけり     裕子
木鶏の初声強き山河かな        桃潤
竃猫世界のことは何もかも       桃潤
黒染めの雪の中より念仏が       桃潤
(山本桃潤記)


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