四国合同句会のご報告

三月四日、高松サンポートホールに於いて四国合同句会が行われました。

特選、入選の句は以下の通りです。

第一句座(当季雑詠)

特選

行く先を忘れてここへ落椿    神蛇広

城ひとつ春の霞にのまれゆく   丹野麻衣子

海城の高松さまへ春の潮     元屋奈那子

琴電のゴトゴトゴットン桜の芽  矢野京子

人のこと踏んでゆく猫水温む   木下まこと

石鎚の雲に入りゆく遍路かな   曽根崇

大瀬戸の風よ光よ若布干す    矢野京子

御大師の故郷の山水温む     澤田美那子

入選

地酒買ひ草餅を買ひ妻のもと   木下まこと

おほかみや秩父の山に帰りけむ  齋藤嘉子

春なれや跳ぶやうにゆく観光船  齋藤嘉子

ものの芽の祈るかたちに膨らめる 豊田喜久子

弘法の山々笑ひ声たてて     齋藤嘉子

つちぐもり方舟に似し遠屋島   藤本遊

春眠の覚めていま生受けしごと  辻奈央子

竹林を突き抜けてくる初音かな  曽根崇

殿様は波を枕に朝寝せる     藤目名月

風流にも根性が要り燗熱し    甲藤卓雄

波の上玉藻のお城かぎろへる   矢野京子

たをやかな玉藻の水や城は春   田中紫春

揚雲雀モーツアルトの空となり  田中紫春

春の潮引いてお堀は鯛鮃     木下まこと

潮みちて御堀の鯛も桜鯛     丹野麻衣子

春の闇魁夷の青となりにけり   藤目名月

風読んでひらりひらりと凧あがる 元屋奈那子

つるし雛うさぎも亀もつるされて 藤本遊

女木島のうしろ男木島かぎろへる 矢野京子

荒東風や花びつしりと絵天井   豊田喜久子

讃岐野は池また池や鳥帰る    曽根崇

穢土なれどかくも明るき春障子  木下まこと

きらきらと城に鯛くるのどかさよ 丹野麻衣子

祖父と餅搗きし石臼牡丹の芽   甲藤卓雄

佐保姫の衣触れけん讃岐富士   神蛇広

初蝶の溺るるごとき翅づかひ   曽根崇

潮引いて春の渚のごとき堀    矢野京子

啓蟄やあばるるままに土を出で  辻奈央子

玉藻城桜鯛来るめでたさよ    丹野麻衣子

山の子のカラに負けるな寒すずめ 三浦順

天神さま履脱がれませ梅の香に  田中紫春

第二句座

特選

かち割りて春の色なす海胆すする 木下まこと

春疾風水仙の茎折り伏して    藤本遊

鳥帰る秩父の山は黙り込み    木下まこと

春疾風痩骨の君攫ひけむ     齋藤嘉子

春はやてここは讃岐ぞおしづかに 元屋奈那子

はやりたつ心抑へて雲丹すすぐ  辻奈央子

入選

大瀬戸の潮を掬ひ海胆掬ひ    丹野麻衣子

海胆のごと眠つてゐたき余生かな 曽根崇

海胆割つて大瀬戸の潮したたらす 丹野麻衣子

浮きかごに雲丹ひとつ入れ海女消ゆる 藤目名月

今日あたり鳥引くらしき騒がしき 曽根崇

瀬戸大橋春の疾風となり渡る   丹野麻衣子

 

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