ふと風が止むと、白藤の花房がうすみどり色に見えてきた。白という無垢な色、うすみどりという新鮮な色。深まった春に、風を通して感じる色の変化、夭折した不器男の繊細な感性を感じる一句。(斉藤真知子) 出典:『芝不器男句集』
京都壬生寺では陰暦3月14日、疫病退散を祈る鎮花法会を狂言で修する。人々に念仏の奥義をわかりやすく教える為である。「云はで」は壬生狂言が無言劇であることを寓している。壬生狂言の洒脱な面白さに日暮れを迎えてしまうのは、蕪村 […]
中学校教師を経て東京文理科大学に入学した三十代前半の作。若芝に腰を下ろし、傍らにノートを置けば風がぺージをめくっていく。若芝なので大学の講義が始まってまもなくの頃だ。ノートの半分はまだ白紙だろう。春光を浴び、ひるがえる白 […]
信州から来る信濃川と奥会津から来る阿賀野川。この二つの大河が果てるのが新潟市である。越後でもっとも広大な穀倉地帯蒲原平野は、この二つの川が拓いた大地。なかでも、最後に新潟市内の中心部を流れる信濃川はまさしく流れを急がず、 […]
春がいよいよ終わってしまう。風に戻された柳絮があっという間に去ってしまう。それは同時に、春が瞬く間に過ぎ去る淋しさである。春は、古来より日本人が愛でた儚いものの一つ。そして、季節の移り変わりに逆らうことなく柳絮を風に戻す […]