2月句会報告


東北合同福島句会(2/16、エル・パーク仙台、12名)

長谷川櫂先生
〇特選 ・入選(一部直しあり)
第一句座
〇濁流の泥そのままに春の泥   英樹
〇龍太また討ち死になりき梅真白 英樹
〇一枚目めくれば速し初暦    夏生
・壺の碑氷の如し春の風     英樹
・笠島やここかぐはしき芹の水  英樹
・冬の虹九十八で母信女     けいこ
・乙女の足足湯に揺らぐ春隣   けいこ
・アネモネの好きな訳など語るまじ 律子
第二句座
〇裸木に鳥来て遊ぶ日和かな   けいこ
〇春愁の猿春愁の我を見る    英樹
〇みちのくにこの一本の野梅あれ 英樹
〇傾きつ一歩一歩や麦を踏む   光枝
〇乾電池入れてゆつくり春動く  律子
・あこがれの空の静けさ花こぶし 光枝
・新しき階段のぼる春の家    雅子
・裸木も又をかしかり並木道   けいこ
(武藤主明記)


東京句会(2/16 東大島文化センター 28名参加)

8投句(席題3句以上)/5句選句
席題「北窓を開く」「独活」「涅槃西風」
*矢印は大谷主宰によるおなおし

◎大谷弘至主宰特選
黒髪のはたち北窓開きけり    皓大
病弱の我より白き山独活よ    靖彦
北窓を開き点検山道具      圭滋
眠りから覚めしひひなよ黒髪よ  和華子
ロボットに春を教へてゐるところ 順子
声いくつ炬燵の中や猫の産    千方
椿あかあか絵踏の前もその後も  秀子
いまごろはみんな昼飯鞦韆こぐ  一郎
大きくてすぐ開く鍵や春の蔵   遊歩

○大谷弘至主宰入選
春たけなは山を越え来る大花粉  雅子
春満月志功の女下ぶくれ     京子
独活食つて猪は秩父の神の子よ  秀子
古絵馬の仔馬の見やり春の月   皓大
パラグライダー芽吹き震はせ離陸せり 美沙子
大木となりし独活見た人ありや  いづみ
連衆は変人ばかり山笑ふ     かよ
 →連衆のわれも変人草の餅
軍馬には決してなるなよ春の駒  あけみ
くれなゐの日差ざしを孕み春の泥 宣行
涅槃西風山田洋の咳払ひ     一郎
恐ろしき一〇〇歳時代朝寝して  伸子
正座して父は優しき雛の客    和子
ふんはりとたたみてタオル春めける 寛子
大男室出で独活を横抱きに    昌子
山笑ふ部活なまけてその山へ   伸子
 →春の雲部活なまけて裏山へ
春障子蜥蜴はいまだ卵の中    伸子
ひと鳴きにはるの孔雀は羽根ひろぐ 有紀
春の服もう一枚を決めあぐね   圭滋
ふらここを捨てて飛び込む母の胸 いづみ
飯蛸やひしと取りつく小さき壺  俊一
囀りは金銀の色地にそそぐ    伸子
 →囀りや金銀の色地にそそぎ
恋猫の足跡斜めボンネット    かよ
佐保姫やあらそふ恋を知らぬらん あけみ
 →佐保姫の恋をあらそふ空ならん
山の田の泥鰌を追うて涅槃西風  ひろし
不知火忌一色足りぬ春の虹    伊豆山
(関根千方記)


深川句会(2/5、森下文化センター 25名)

(第1句座、自由題、5句出5句選)
◎特選句
おろおろとただ柊を挿すばかり    寛子
大いなる魚拓にかなふ紙を漉く    寛子
佐保姫は水を鏡に船を待つ      伸子
春眠の曾良を揺するや翁の手     靖彦
声つかひきつて落ちくる雲雀かな   道子
佐保姫が映ればとけて薄氷は     隆子
豆撒いて分かつこの世の内と外    逸郎
親を追ふ人を見てゐる子鬼かな    和子
それからの夜の華やぎ雛飾る     和華子
たたき出す正月気分鬼は外      宣行
○入選句
喉あめの要らぬ陽気やふきのたう   京子
魴鮄は乙姫の使者気飾りて      和子
春を酌む細徳利や沈寿宮       東久
雪解の水ごくごくと欠茶碗      梅子
熊撃つな心やさしき月の子よ     俊一
今朝はまう香つてくれぬヒヤシンス  はるみ
新たなる春二千年縄文杉       東久
次の世は妻に優しく寒昴       逸郎
暖冬や眠れぬ熊は出て撃たれ     秀子
雪とけて一茶に早もそぞろ神     ひろし
流氷原どこかにきつと直己生き    伊豆山
かの森の主のやうなる根榾かな    靖彦
沈寿官のひねり出したる永遠の春   東久
春の泥うまくかはしてゆく猫よ    順子
水仙の伐り口に湧く水も春      桃瑪

(第2句座,席題「ぶらんこ、蠅生る、菜の花」3句出3句選)
◎特選句
宿題はまだ途中蠅生まる頃      桃瑪
菜の花や泥にまみれし絵踏板     伊豆山
たましひを翔ばす翅もち蠅生る    遊歩
ふらここをこげば客船見えかくれ   京子
熟れてゆく甘さの中に蠅生る     伴子
ふらここの鉄の匂ひの手を母に    いづみ
〇入選句
おひたしの余りの菜花母へ供花    和子
もの錆びてゆく匂ひせりふらここは  寛子
あかあかとこの世に落ちて蠅生る   遊歩
菜の花や宇宙をめざす発射台     宣行
蝶よ来よ出来立ての蜜菜の花に    伸子
漕ぎすててブランコのこと忘れをり  はるみ
蠅生るる如く殖ゆるや武器商人    隆子
 (鈴木伊豆山記)


東京神奈川吟行句会(2/22 巣鴨とげぬき地蔵尊、8名)

風神の春の袋のひもをとく    靖彦
草の餅江戸雲雀野の草摘まん   伊豆山
猿田彦一茶も来たれ草の餅    梅子
鷹鳩と化して巣鴨に来る齢    ひろし
良き人の住むらん梅の香りくる  和子
金柑のはみだしてゐるわらぼつち 美津子
春の風邪人もまばらな巣鴨かな  京子
炎立つ大樹の梅の盛りかな    寛子

<席題 (野焼・田螺・春泥)>
鹿はもう谷駆け降りし野焼かな  美津子
野焼して火星の如き秋吉台    ひろし
あまてらすみずほの国の野焼かな 靖彦
栄螺いま田螺となりて春の田に  伊豆山
春泥を踏んで少年恋初めし    梅子
春泥に落すうみ立て卵かな    和子
横向いたり上を向いたり田螺かな 京子
猫の尾の先に春泥乾きをり    寛子
 (大場梅子記)


鎌倉句会(2/2 深沢学習センター 30名)

兼題=龍太忌、席題=薄氷、豆撒き
長谷川櫂先生選

【特選】
花探す如くに選や春の人     麒麟
朝きたる春の鳥こそ龍太の忌   麒麟
鬼強き世の懐かしき追儺かな   麒麟
平凡な日々のこころに薄氷    ひろし
雪山のいまだ動かず龍太の忌   ひろし
龍太忌の沈黙といふ大きな死   英樹
龍太忌やそこに龍太のゐる如く  英樹
龍太百歳山廬に春の立ちにけり  かよ
身中の鬼も呆けたり年の豆    道子
山河はや花と香れる龍太の忌   美津子
豆撒や美貌一層大女       じろ
たからかに初音聞かせよ龍太の忌 梅子

【入選】
スワンボート湖の春光分かちゆく  和華子
いつせいに風のなだりへ野水仙   和華子
浄らかな光よ二月龍太の忌     和華子
龍太忌や一日富士の雪けむり    光枝
裏山の竹かんかんと龍太の忌    光枝
寒鯉の棒ばらばらと水の底     光枝
遊女らは裾ひるがへし絵踏かな   靖彦
鳥たちのつつきしだくや紅椿    靖彦
ものの芽や地球の殻をつき破り   靖彦
父死んで癌も死にけりヒヤシンス  かよ
龍太忌の川きらきらと谷の中    かよ
胸赤き鳥は何鳥探梅行       秀子
薄氷や眠たき鳥をたなごころ    秀子
朝とれの鯥は煮付けぞ目の光    遊歩
越の国どかどか降れよ春の雪    遊歩
春暁の瀬音新らし甲斐の村     伸子
慰霊祭十年で終はる余寒かな    伸子
雪吊が退屈さうに立つてゐる    侑子
鶯餅ほど柔らかなこころ持て    ひろし
明神の亀が遊べり薄氷       順子
青白く輝く山や龍太の忌      麒麟
夜明けの歌うたひ薄氷溶け始む   宣行
晴々と鴨ぶら提げて来たりけり   千方
そこに鳴きそこにはゐない雲雀かな 一郎
暁の水のみし夢薄氷        幸三
もみくちゃにされて湯島の鷽替へ  梅子
山廬へと朧の道の続きをり     美津子
替へ切れぬ噓また一つ女かな    伊豆山
うつくしや雛に眉のありやなし   英樹

※4月は19日(第3日曜日となります)深沢学習センター   
 (田中益美記)


鎌倉吟行句会(2月9日 荏柄天神社、宝戒寺)

第一句座10句出句5句選
よき人の願ひ叶へよ梅の花     梅子
さかしまに小鳥蜜吸ふ光悦忌    振昌
大いなる鳶の輪寒のもどりけり   琅太
水ぬるむ河童づくしの絵筆塚    秀子
水仙のしなだれ落つる日差しかな  はるみ
紅梅や背中ぽかぽかしてきたる   道子
春寒の地網にかかる光るもの    宣行
福寿草見つけて一と日幸せに    侑子

第二句座、麦踏み、鳥の巣、東風3句出句3句選
大足は父祖よりのもの麦を踏む   秀子
夕東風や母の歩みを押してやれ   宣行
ひしめきてをりし鳥の巣けふ静か  はるみ
(那珂侑子記)  


金沢句会(4日 慶覚寺 8名)

兼題(「立春」「安」)当季雑詠
いざ声を春引き寄する地引網     きよみ
春立ちて名も浮きたつや桜橋     まさみ
御荷川の鬼を祀りて春立てり     こまち
立春の陽をまねき入れ句会場     早苗
立春や斜光の帯に浮くほこり     妖子
立春の野畑黒々笑ひけり       徹
水仙の佇ひこそ世の安寧       こまち
立春大吉烏賊の皮すいと剥ぐ     きよみ
背も首も一直線に春を待つ      薫
節分や心に飼ふは鬼ばかり      徹
鬼は外わが鬼いかに外になど     繁
髭を剃る春の気配につつまれて    薫
寒明けや安南焼の一服で       早苗
楽々と寒の明けたる不安かな     まさみ
雪国の雪なきままに春立てり     妖子
足もとの危なも良けれ雪まつり    淳
(花井淳記)                 


愛知吟行句会(2/3 愛知県一宮市真清田神社・節分祭)

 新型肺炎の不安が世を覆い始めている中、全員マスクしてJR尾張一宮駅に集合。徒歩で尾張国一之宮である真清田神社へ向かった。特設ステージの上から、ゲストの紺野美沙子さんの他十数人が太鼓を合図に一斉に小袋に入った福豆を撒いた。我々も、群衆の中に入って、頑張って拾ったおかげで、全員福豆を手に入れることができた。その後、駅に戻り昼食後に句会。

鬼やらひ鬼はどうやら腹の中     春日美智子 
福豆を掴まんとして空つかむ     沙羅
鬼の面かぶせし犬と豆を撒く     尾燈子
つくづくと鬼は佳きもの春はそこ   楓
豆撒けど鬼の気配のなかりけり    正博
今年また拾ひそこねし福の豆     雄二
(稲垣雄二記)


徳川園吟行句会(8日 旭丘コミュニティセンター 20名)

大谷弘至主宰選 特選○ 入選無印 ()内原句 
○寒牡丹ゆるびに任せ大いなる    瞳 
○づかづかと人来てがうな貝になる  正博
 (がうな買ふ人来てがうな貝になる)  
○なよやかな囲ひ破りて牡丹咲く   竜樹 
○のどかなる顔を合はせて貝合せ   麻衣子 
○焙烙にはじくる春や雛あられ    嘉子
 (焙烙にはじくる春野雛あられ) 
○まんまるの一茶まんぢゆう雪つぶて 通江
 (一茶てふ菓子やまんまる雪つぶて)
○貝合せ春の山河を閉ぢこめて    麻衣子
 (貝合せ春山春野閉ぢこめて)
 人好きで人に好かれし草団子    通江 
 逆しまやちぎれし網に冬の蜘蛛   恵美子 
 揉み合ふて裸まつりも佳境へと   比嵯代  
 煮凝りになりかけてゐる目玉かな  正博 
 (煮凝になりかけてゐる命かな) 
 咲かされて頭重しと寒牡丹     瞳 
 若き日の母の写真を雛段に     雄二
 (雛段に母の写真を置きにけり) 
 風が吹く鷹狩の鷹鳩と為り     麻衣子 
 鬼やらひ後に残るは何者ぞ     雄二
 英彦山も雪つむ頃か久女の忌    恵美子 
 いつの間に猫が戻りて雛の家    楓 
 (猫がまた戻りてきたる雛の家)
 さくらより梅がいいねと逝き給ふ  百榮
 風邪の熱いよよ帽子にこもりけり  一水 
 (風邪の熱帽子にこもる徳川町) 
 次郎左衛門雛丸顔ももの花     沙羅 
 よきことばたんと覚へよ孫の春   雄二

◆大谷弘至主宰御句  
いま春を目覚めし顔か犬張子 
梅早しかの世の雪をおもかげに  
耳ぴんと春を呼びけり狐面 
永遠の春の姿を花鳥図に 
曼陀羅の春やゆらりと花鳥図に  
めでたさや二つの春を合貝 
奥美濃は残雪のころ狐面 
人間の春をいぶかる犬張子
饅頭の一茶は白し春浅し
世に遠く雛の鏡に映る顔 
(梅田恵美子記)


岐阜句会(27日 西部福祉会館 5名)

第一句座 兼題(梅 春の海 亀鳴く)
すれ違ふ風も旅人梅日和       誠一
引き返す怒濤の波に亀鳴けり     上松美智子
桃色の影ふはふはと梅林       春日美智子
独り身の男のあくび亀鳴けり     之子
あかときの波きらきらと春の海    恵美子

第二句座 当季雑詠
春の風鏡に映る理髪店        誠一
虫食ひに姿変はりし君子蘭      上松美智子
梅が香の色濃くなりぬ雨の朝     春日美智子
葉の陰の淡き蕾や薮椿        之子
春の雪この世の光あふれをり     恵美子
(梅田恵美子記)


京都句会(23日 こどもみらい館 4名)

第1句座(5句出句5句選)
第2句座(席題「草の芽」「春」「東風」「残雪」を含み5句出句5句選)

草の芽や踏んではならぬ泣き所    美栄子
二ン月の国旗消防団分署
決断はいつも一人や東風の中     一爽
妻ありて我があるまた山笑ふ
風雪のうねりとどめて梅の園     幸子
原木を積んでトラック春浅し
学よりも遊び充実卒業す       茉胡
コーヒーに渦巻くミルク春兆す
(氷室茉胡記)              


奈良句会(8日 奈良県文化会館 10名)

早や本命園児のバレンタインの日   茉胡
立春の若草山は夭夭と        まき
犬ふぐり手押し車の過ぎゆける    瑳楓
ならさかのはるのゆうひの地蔵かな   りえこ
蓬餅母の怒りはすぐ解ける         美那子
バレンタインデー紅の蝶結び     久美
ミケとトラじやれて蹴散らす犬ふぐり 正子
句会ありていただく愛のチヨコレート 豊
犬ふぐりやはらかき暈ひろげをり   悦子 
人類へじわりと寒のもどりかな    忠雄 
(上田忠雄記) 


大阪句会(1日 大阪市立総合生涯学習センター 14名)

午前中、大阪天満宮を吟行しました。
梅で知られる天満宮です。白梅。紅梅、枝垂れ、二分咲きから満開までいろいろ見ることができました。梅見茶屋では、「すべらんうどん」が人気です。菅原道真公にちなみ「学問」の力を授かろうと受験生が多く訪れます。「落ちる」「すべる」は受験を控え縁起が悪いので、うどんに切り込みが入っていて、箸でしっかりつかめうどんが滑り落ちない「すべらんうどん」は受験生の味方です。
境内の隅では、猿回しの猿の芸に人垣ができていました。しっかり鍛錬してきたのでしょう。猿と猿回しの掛け合いが絶妙で、拍手が起こります。
吟行では、この猿の芸のような思いがけない出会いがあり、その感動を即吟できることだと思います。
午後1時からは大谷弘至先生をお迎えしての句会でした。
風邪や体調不良などで当日来れなくなった方が多かったです。手洗い、うがい、マスクなどで、体調管理に気をつけましょう。

大谷弘至先生選

第1句座、雑詠7句出句、5句選
特選 
白は姉紅は妹梅の花        一爽
猿まはし梅の花咲くころにまた   麻衣子
梅咲くや悩む真似する猿の芸    洋子
春隣きつねはみでる饂飩かな    みつこ
猿曳きも猿も春待つ顔となり    麻衣子
切り込んですべらんうどん梅の席  可奈
猿曳や何処の幸を曳き来しか    雄二
梅見茶屋花のなにはの花の餠    久美
探梅行黄泉は勝手にやつて来る   雄二
救民の旗立ちし地や梅探す     雄二
梅の空エイとでんぐり返る猿    洋子
入選
掘り出され震へる命寒蜆      雄二
菓子包む紙に翁句春近し      茉胡
不登校の子を送る母春を待つ    泰子
菅公に恋も願ひて春を待つ     みつこ
猿曳の猿のやる気や春隣      麻衣子
曳猿や幕間は目をそと閉ぢて    茉胡
山茱萸の花に母訪ふごとく寄る   瑳楓
梅二月すべらんうどん食べに行こ  洋子
天満で会ひ北野で会うて梅見行   可奈

第2句座 席題3句(草餅・春の雪・初音)出句3句
選特
選桃源のかの草餠をことしまた   瑳楓
幾万の命つつきし初音かな     雄二
草餅やよもぎ色濃き紀州から    泰子
寝過ごして夢のつづきか春の雪   みつこ
菅公のたどりし道や草の餠     美那子
草餠やまだやはらかき子の歯形   久美
耳遠き母だけが聞く初音かな    美那子
菅公をよろこばせんと初音かな   麻衣子
入選
淡海の雪のにほひの草の餠     麻衣子
春の雪夫と選びし天満筆      洋子
草餅やうみのむかうに伊吹山    豊
もう人に聞かせるほどに初音かな  瑳楓
外つ国へ娘は嫁ぐ草の餠      百合子
推敲の力湧きくる草の餠      洋子
(木下洋子記)


岡山句会(23日 倉敷公民館)

席題 「地虫穴を出づ」「入学試験」   
甲板の風かぐはしや春の旅      一雄   
靴の紐確と結び入学試験      有里子   
剪定やたちまち光る桃の脂    嘉子   
御朱印を乾かしをれば初音かな     崇   
春日受く身体ありけりありがたし  広
(神蛇広記)


広島句会(29日)

第一句座 当季持ち寄り 
蛇穴を出づるや遥か壇ノ浦     秀也
人も家も春の時雨の香の中に    秀也
二月閏まはる地球の余白かな    京子
厳かに古鷹山は笑ひけり      京子   

第二句座 題詠 (闘牛 屋根替 病)
闘牛や後鳥羽に多き恋の歌     秀也
一病を持ちて息災草の餅      京子
(矢野京子記)


松山句会(16日 ホテルサンルート松山 5名)

兼題:春の雨、鶯餅、猫柳、白魚 
席題:春雷、春ショール、浅利または蛤
7句出句 5句選

遠目にも明るき色や春ショール   喜久子
明日こそはと思ふことあり春の雷  紫春
春ショール天香具山とおく見え   陽市
春雷や欠航便の深き夜       アリー
くろがねを伝へし民よ春の雷    まこと
昔とはまぶしむものよ猫柳     陽市
この川の幼き記憶猫柳       喜久子  
白魚のはねてまほらは闇の中    紫春 
川べりのせせらぐ小石猫柳     アリー 
二本目はぬる燗にして春の雨    まこと 
(木下まこと記) 


唐津句会(23.24日 国民宿舎虹の松原ホテル)
長谷川櫂先生選  

☆2月23日
[特選]  
一息に運ぶ筆先春の風        りえこ  
叱られてこの世に戻る朝寝かな    りえこ  
菜の花や湯船のやうな唐津湾     緑  
梅一輪素焼きの皿に咲かせけり    真知子  
花烏賊や墨吐くこともなまめかし   真知子
[入選]  
夜咄や遺作の茶盌月明かり      京子(唐津)  
みつつ買ひふたつ食うたり桜餅    真知子  
捨るべき陶片も又落椿        和子  
殿山の唐津茶碗の朧かな       酸模  
ペンタツクス首から下げて永き日を  緑  
冬晴や遙か対馬の青き陸       京子(唐津)  
登り窯暮れずともよし山椿      和子  
殿山に春の音する徳利かな      酸模  
草餅や茶話西南の役となり      国光  
たんぽぽや焼いては砕く皿茶碗    光枝  
深閑と登り窯あり山椿        真知子  
ひしやげたる唐津大皿草の餅     光枝  
山笑ふ下手がよろしき絵付筆     和子  
糸遊の中からこつと馬印       酸模  
おくんちの鯛躍り出す桜かな     光枝  
囀や愚の極みなる戦跡        京子(広島)  
海風や唐津千軒かぎろへり      光枝  
菜の花や唐津街道夕ぐれて      和子  
焼きあげて唐津大皿花ふぶき     光枝  
春愁の馬を歩ます渚かな       酸模  
金色の春まぶしさよ黒茶碗      酸模  
春風や絵付三角まる四角       京子(広島)   

☆2月24日
第一句座
[特選]  
たつぷりと春ふくません絵付筆    京子(広島)  
焼きしめて花びらとなる茶碗かな   りえこ  
春潮におぼれんばかり壱岐対馬    京子(広島)
咲きみつる花の中より茶碗かな    りえこ  
春浅し掻き寄せてごに花の色     光枝  
樹木医の木槌一本花のこゑ      充子  
薄墨も漆黒も黒花の皿        りえこ  
目つむれば金の茶室の花ふぶく    酸模
[入選]  
うららかや空より来たる白き船    みほ  
窯に火の仄かに見えて初日出     京子(唐津)  
引出の陶片はみな春の音       りえこ  
かつを菜や青き香のたつ鰤雑煮    京子(唐津)  
手にとれば春の名残の茶碗かな    酸模  
しづけさや轆轤を回す春の人     光枝  
初蝶は皿から皿へ移りけり       緑  
古唐津の鯨の遊ぶ春の空       りえこ  
まだ寒き松原に掻く松露かな     光枝  
落椿樹々の喜ぶ声すなり       眞理子  
春風や煎餅に焼く鯛車        真知子  
春霞なにも映さぬ鏡山        緑  
柔らかに春日の抱く茶碗かな     りえこ  
松林を飛び跳ねてゐる春日かな    久子  
大皿の黒の変幻花吹雪        りえこ  
ものの芽に巨人の影の近づきぬ    緑  
まつぼつくりは笑ひ上戸よ梅の花   充子  
初蝶や母子で守る登窯        光枝
第二句座
[特選]  
ころびつつ千鳥のゆくや春の浜    りえこ  
薄紙に松露饅頭花を待つ       光枝  
潮満ちて白魚梁の鴎翔つ       国光  
野梅咲く李参平は胡座して      充子
[入選]  
からからとろくろの回る蝶々かな   光枝  
人しのぶことしきりなる椿かな    和子  
そのへんに蛇の眠りて蕗の薹     京子(唐津)       
(斉藤真知子記)


長崎句会(27日)

当季雑詠 持ち寄り5句
陽炎や白バイ忽とあの世から     弘美
亀鳴くや実は人恋ふ調べかも     まり子
しゃぼん玉生きるはかくも美しき   直代
深き穴飛び出すは何春小径      順子
上り坂梅ひとひらにひと休み     玲子
ソプラノの子の声借りて節分会    あや
しなやかに生きて嬉しや紫もくれん  綾子
ふらここや風ほがらかに行き来して  瑠衣

題詠2句(佐保姫・浅蜊)
よく見れば小粋な殻の浅蜊哉     弘美
をちこちに水吹く浅蜊子ら走る    まり子
浅蜊皆舌出して聴くノクターン    直代
佐保姫の吐息や風が頬を撫づ     順子
浅蜊貝ボウルの海で夢を見る     玲子
酒蒸しの浅蜊ふつくら母の膳     あや
佐保姫や転校生の片えくぼ      瑠衣
(米山瑠衣記)                


熊本句会(15日 南阿蘇珈琲ギャラリー 4名)

第一句座  
梅活けてあればこの家尊しと     裕子   
鍵盤を駆ける十指や春来る      戌彦   
空つぽの山椒の瓶春の雪       茉莉子   
鈴つきのドアを開ければ風信子    榾火

第二句座 席題(春一番、春潮)  
湖の面を一枚めくり春一番      戌彦   
タッパーにチーズケーキや春の潮   茉莉子   
春潮にさらはれてゆく己が影     榾火
(今村榾火記) 


熊本あふちの会句会(11日 三城宅)

第一句座【当季雑詠】
空港の更衣室より遍路笠         和子
飛石の真中は沈み雪解川         沙羅
朝刊を広げ言葉を探す春         和子
母の骨納めし墓の辺すみれ草        佳代子

第二句座【兼題、青き踏む、椿】
園児らの解き放たれつ青き踏む    節子
青き踏む見上ぐる城と青き空 和子
四畳半の山城のあと藪椿 沙羅
薬師堂前も後ろも落椿 佳代子
(三城佳代子記)


大分句会

卒業式終えて制服たたみけり    裕子
「ハイ」と言ふ言葉響かせ卒業す  裕子 
会へばまた別れのあるや百千鳥   裕子 
この病卒業したやシクラメン    広美
静まりし鎮守の宮に百千鳥     広美
もう少し命が欲しい虎落笛     広美
林檎割るすぎ去る日々を覗くかに  桃潤 
今日は又違う一日春近く      桃潤  
二ン月の夜押し分けて沈丁花    桃潤
(山本桃潤記)

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