古志会員による一句鑑賞

屋外の能舞台に嵐が迫っているのだろう。初嵐は台風の前触れのような風のことで、秋を告げるもの。飯田蛇笏の〈なきがらや秋風かよふ鼻の穴〉という句は、もはやその鼻の穴には息がないということに気づかせる秋風だが、この句の初嵐は、そこに生きた表情を見ていたはずの能面が、穴の空いた面でしかないことに気づかせる。むしろ、初嵐のほうが何ものかの息のようにも思える。(関根千方)

§2278 · 8月 29, 2010 · 飴山實の一句 · · [Print]

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