ZOOM句会
深川句会(9日/15名)
大谷主宰 選
【特選】
昨夜の雨紫式部白式部 金澤道子
風は北鷹の渡るに良き日かな 金澤道子
退治せん名は愛らしの稲子麿 菅谷和子
渋柿を宝と育て渋を搗く 菅谷和子
名水にあらねど今朝の新豆腐 篠原隆子
まほろばの柿のゆかしや禅寺丸 大場梅子
【入選】
わが丈も屈むや秋のにじり門 越智淳子
着せ了へて菊師どこにも姿なく 篠原隆子
あかときや秋蚕に桑をたんと足し 臼杵政治
おいこつちに来るな来るなと囮鳴く 臼杵政治
能登やいま色なき風の吹きわたり 神谷宜行
味みてと母に供へて栗ごはん 菅谷和子
校正の鬼の赤ペン生身魂 西川遊歩
かまきりが食ふかまきりやガザの闇 城田容子
天高く飛べよ農民ロケットよ 大場梅子
紅葉且つ散りてやぐらの百八つ 金澤道子
かりがねよ我が亡き夫もつれて来よ 吉田順子
みすずかる信濃まばゆきマスカット 仲田寛子
第二句座 席題 (秋時雨 南蛮煙管 松茸)
【特選】
阿闍梨餅秋のしぐれを聴きながら 大場梅子
足柄の松茸をわが歌枕 篠原隆子
松茸は見えねどけふの月見膳 篠原隆子
膝つきてこれが南蛮煙管とや 金澤道子
【入選】
南蛮煙管牧野が描きし図を見たき 西川遊歩
秋時雨傘はささずに杖代はり 臼杵政治
うつむいて夢二の女思ひ草 大場梅子
(篠原隆子記)
東京ウェブ吟行句会(27-30日、夏雲システム、23名)
吟行地:山廬(飯田蛇笏・飯田龍太の居宅)
兼題:火恋し、栗羊羹、鹿
切り分けて月の宿れる栗羊羹 菅谷和子
後山からたれか下りくる秋日かな 上村幸三
露めける後山めぐれば我も露 藤英樹
夜遊びの鹿わたりゆく大路かな 金澤道子
伐り捨てて冷たく重く鹿の角 神谷宣行
色変へぬ松が迎へる山廬かな 稲垣雄二
火恋しわけても国栖の夕焚き火 石塚純子
ドアぎいと牽きて一人よ火恋し 臼杵政治
鹿の鳴くことも書き添へ旅便り 神戸秀子
着流しの黙す縁側秋日濃し 大平佳余子
炉火恋し炉火を囲みし人恋し 岡村美沙子
火恋し佐渡の夜空に億の星 安藤文
刈られたと知らで鹿角突き合はせ 長野いづみ
見送られ決意新たに山蘆秋 原京子
懐手一句ものせん蛇笏の眼 園田靖彦
百目柿吊す山廬の日和かな 大場梅子
いさかいに猫しらんぷり柿日和 松岡伴子
おほ空に誇らしきかな木守柿 谷村和華子
松手入れ松の香高し屋敷庭 越智淳子
火の恋し故郷のはなし聞く夜は 片山ひろし
大空に横たふ松の手入かな 関根千方
羽織るもの今朝はあれかし火恋し 石川桃瑪
(関根千方記)
埼玉句会(27日 埼玉会館 5名)
豊年といふといへども米高し 市人
仲間ゐて俳句がありて小春かな
ゆく秋や戦力外といふ知らせ 靖彦
スカウトの三顧の礼や今朝の冬
老境の蛇や鍵かけ穴に入る 宣行
たそがれて秋ともなれずゆく秋よ
今日もゐる念仏堂の穴惑 つねお
今朝の冬妻の名前が出てこない
露の世の露のひとつに総選挙 ゆき
期日前投票といふ露ひとつ
(萬燈ゆき記)
鎌倉吟行句会 (6日 極楽寺 7名)
第一句座 (7句出5句選)
天高しサーフボードを並べ干す 益美
ひと粒の水滴重し白芙蓉 美津子
海の色変はり鎌倉秋となる 道子
白萩をこぼしつ遠見由比ガ浜 淳子
秋立つや風はおほらか黄色い帆 恵美子
江ノ電が秋連れて来し鳥居かな 健
秋の海坂道下りて見に行かん 和華子
第二句座 (濁り酒 / 南瓜 3句出3句選)
母の言ふかぼちゃは吾の離乳食 淳子
薄味は母の教へやかぼちゃ炊く 恵美子
目と鼻とあとは口なり大南瓜 健
どぶろくや数へ切れない星の下 美津子
どぶろくや座敷童が出るといふ 道子
酔ふまでは仕事の話し濁り酒 益美
よべの星ひとつ浮かべてにごり酒 和華子
(谷村和華子記)
愛知吟行句会(10日 名古屋市東山動植物園)
まだ少し暑さは残っていたが、秋晴れの空の下、園内を散策。コモドオオトカゲ(日本初上陸)を中心に、カバ、クロヒョウ(ゴリラのシャバーニはお休み)等を見て回った。園内のレストランで昼食、その後千種図書館へ移動して句会。
若冲の動物たのし草虱 春日美智子
坂登りいづこへ行かん秋日和 沙羅
秋園の坂はくねくね色めきて すみ子
秋天や白く動かず犀の角 肇
好きな花さがす目となる白秋忌 楓
のそり出でコモドドラゴン秋舐める 正博
カバカバカ、カバカバカバカ、水澄みぬ 通江
初めての秋を憂ふかオオトカゲ 雄二
(稲垣雄二記)
岐阜句会(24日 岐阜市西部福祉会館)
第1句座 兼題(石蕗の花、柿、鶺鴒)
石蕗の花この株くれし人逝きぬ 上松美智子
こんな日は遠出したいな柿日和 春日美智子
世の隅で明るく生きるつはの花 通江
補陀落の浄土はるかや石蕗の花 恵美子
第2句座 当季雑詠
早稲蜜柑ポロポロかめ虫こぼれ落つ 上松美智子
菊芋の味噌漬匂ふちちろかな 春日美智子
縄文の家屋虫の音よく聞こゆ 通江
方丈や白また白の萩の花 恵美子
(梅田恵美子記)
京都句会
古志京都句会10月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。
対面句会は、句会場の都合でいつもの第3水曜日ではなく、第2金曜日の11日に実施しました。結果は次のとおりです。
第1句座6句出句6句選句(うち1句特選)。第2句座席題(「秋の声」「土瓶蒸し」「落花生」「草の絮」「蓑虫」「桐一葉」)6句出句6句選句(うち1句特選)。参加者5名(うち1名ライン参加)。
リモコンのてんと動かぬ夜長かな りえこ
鳥声の落としてゆくや桐一葉
先頭はどうぞどうぞと芒道 佳澄
蓑虫や株の天上見えぬ人
本丸へ鬼皮渋皮栗を剥く いほり
宇宙より地球に落ちし桐一葉
うそ寒や列が人呼ぶ蛸焼屋 欣也
房総の潮の香恋ひし落花生
きらきらと木肌舞ひ散る松手入 茉胡
蓋取りて香と量確と土瓶蒸し
来月の対面句会も、句会場の都合で第2金曜日の8日開催です。12月は、第1土曜日の7日に、主宰指導の句会を知恩院和順会館で実施しますので、通常の対面句会はありません。
10月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(秋の花)、喜田りえこさんのエッセイ「ふるさと歳時記10月」、そして竹下米花さん作の絵手紙(チャルメラ・後の月)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。16名参加。
曼殊沙華むかし飛鳥に謀 忠雄
名月を畑にのこして仕舞ひけり 初男
十三夜挿して小さし土手の花 雄二
鑑真の御廟にさすや後の月 久美
後の月ゆつくり山襞畳みけり 和華子
宰相の顔不愛想案山子捨つ 佳澄
夜顔のかをる月光浄土かな 恵美子
振り向けばすべて良からん秋夕焼 美恵子
ゆうづつや白ひときはの貴船菊 りえこ
歌は世に世は歌につれつづれさせ 米花
曼珠沙華天上天下照らしけり 悦子
稲妻や比良より垂るる雨柱 英二
漆喰の白壁に秋そよぎけり 美那子
傾ぎたるくの字が二つ鳥わたる 杳平
母が炊くうづら豆の香後の月 淳子
秋の声逝去後届く巻頭句 茉胡
11月以降も通信句会、対面句会の二本立てで行う予定ですので、12月の主宰指導の句会を含め、参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。メルアド:mako10himu6@nifty.com
(氷室茉胡記)
奈良句会
図らずも吾上座とや敬老日 正子
秋風や大谷さんをリスペクト 一爽
さつと降る雨もにぎはひ村祭 久美
一筋の道一面の芒原 美那子
深みゆく秋さながらや黒茶碗 りえこ
小走りの体育係鰯雲 まち
集はずに済ます句会やそぞろ寒 まこ
白手袋振る選挙カーそぞろ寒 雄二
そぞろ寒よろづの神の旅支度 忠雄
奈良漬を噛みつ茶漬けや秋時雨 淳子
御堂筋の賑わひのなか銀杏散る 悦子
(きだりえこ記)
大阪句会
メール句会(雑詠3句出句、3句選)
畑蔬菜統べて高みの皇帝ダリア 頼温
風立ちて一葉の秋を狭庭かな 百合子
秋の日や螺鈿の文箱ふと欲しく みつこ
残業の娘迎へに月の道 茉胡
こそばゆき飛蝗の命掌の中に 美那子
虫の音のいや増してゆく夜明け前 泰子
乳もとめむずかる赤子大根蒔く 誠
播州の大夕焼や新酒酌む 陽子
新走りわが相槌を肴とし 美栄子
良夜かな笛は敦盛書は良寛 りえこ
腹からの言葉で詠まん今日の月 洋子
千秋の祈り月下に塔ひとつ 久美
翔平の案山子大事と捨てられず 歌子
席題Zoom句会 席題(紅葉 葛嵐 水)3句出句、3句選
志望校絞り込む日や初紅葉 洋子
今年はや紅葉散りそむ陸奥路かな 頼温
丹念に水換へ栗の渋皮煮 美那子
錦秋の名残の彩が水底に 百合子
落鮎や水やはらかに宇治の堰 りえこ
能登の秋呑み尽したり夜叉の水 陽子
国道のやがて名も消え葛あらし みつこ
葛嵐ざわめく心持っていけ 誠
葛あらし誰が棲む庵とも知らず 久美
(木下洋子記)
福岡句会 (26日 あいれふ 11名)
第一句座
博多口筑紫口にも赤い羽根 民也
しんがりのそれもよいかと秋遍路 和子
ため息の出るほど秋が短かくて 修
寝ころべば思ひが翔る秋の空 龍梅
関ヶ原土手に陣取る秋桜 博人
根のやうなものも芋掘りのお裾分け 國光
再びの猫との暮らし十三夜 幸子
稲雀一羽となりて田に来たれ 久子
秋日和写経する手をゆるめては 紀美代
畳まで日差しの届くそぞろ寒 悠
時々は手持ち無沙汰の案山子かな 真知子
第二句座(席題 芋煮会、蟷螂)
かまきりや宇宙を泳ぐ前肢かな 紀美代
川風に芋煮の鍋の燠盛る 修
気がつけば最長老ぞ芋煮会 民也
鍋底はこんにゃくばかり芋煮会 國光
芋煮会ふだん見ぬ顔ちらほらと 悠
震災に負けるな皆で芋煮会 博人
しとやかな仮面をかぶりいぼむしり 龍梅
まだ煮えぬものも混りて芋煮会 真知子
(斉藤真知子記)
長崎句会(25日 まり庵 9名、うち3名はメール参加)
当季雑詠
おくんちの掛け声つひにかすれ声 順子
父の手は木の実湧き出す玉手箱 玲子
橅紅葉石段見ゆるダムの底 まり子
ここだけの話したよな金木犀 美智子
蓑虫の孤独百年風まかせ なおよ
崩れ簗杭はしつかと残りゐて 瑠衣
鰡跳んで城下の兵を驚かす 弘美
稲架組めば子らがわらわら上りをる 睦美
古き帯断ち難くゐて夜長かな 文
席題 太刀魚、うそ寒
うそ寒やまづはうどんの寺参り まり子
うそ寒や二度寝の夢に迷いこみ 美智子
うそ寒や急がぬものを買ひに行く 玲子
太刀魚を今日こそ釣らむと日暮れ待ち 順子
うそ寒や他国へ派兵さるるとは なおよ
太刀魚や刺身になつてもまだ光り 瑠衣
太刀魚の跳ねて武士道諭しをり 弘美
太刀魚やそのまつすぐを見習はん 睦美
(ももたなおよ記)
熊本句会(15日 通信句会 4名)
兼題(新米、紅葉)7句出句5句選
老木の尽くす命の紅葉かな 佐竹佐介
四十才の笑顔に供ふ今年米 若松節子
月見へと萩の着物の解れ縫ふ 北野沙羅
湯気ほのとさみどり香る今年米 加藤裕子
(加藤裕子記)
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