2024年9月句会報告

ZOOM句会


深川句会(11日 17名)

大谷主宰 選

【特選】

伐つてきし竹担ぎ来る竹の中     臼杵政治
秋高く能登に白葱畦つらね      神谷宜行
佐渡石に松葉落としつ松手入     仲田寛子
よろめきつつまむ大房葡萄狩    谷村和華子
遊佐に来て山をはるかや菊膾     篠原隆子
大神の杉のあをさよ今年酒      篠原隆子

【入選】

それとなく周りを刈りて思草     原 京子
この秋や盗人萩に始まりぬ      原 京子
在はせれば母は百歳菊なます     那珂侑子
新大豆盛つては均す古き枡      西川遊歩
木洩れ日にゆれる熟れ桃畑仕舞ひ   西川遊歩
内掛けで勝ちぬく健ちやん草相撲   西川遊歩
水澄みて神田に山と渓谷社      篠原隆子
届きけり出雲も奥の今年米      篠原隆子
青瓢太閤はまだ日吉丸        菅谷和子
旅にあり車窓に青きみかん見て    金澤道子
月天心夜は無人の竹生島       園田靖彦
裾分けの数も見込んで新豆腐     園田靖彦
惜しむらむ秋の蛍をあと幾夜     臼杵政治
新生姜吾子の股間のごと洗ふ     臼杵政治
新走り逝きたる友に間に合はず    神谷宜行
火葬終へかなかなの鳴く声の中    上 俊一

第二句座  席題  (桐一葉 秋の蝶 枝豆)

【特選】

とほく来て丹波篠山月見豆      菅谷和子
一葉舞ふこころで嫁ぎゆく人よ    篠原隆子
我が妻や皺こそ美しき秋の蝶     神谷宜行
ふらふらと牛の塩場に秋の蝶     仲田寛子
枝豆を食はむ馬券を買ふ前に     臼杵政治

【入選】

惜しまれて人は何んぼや秋の蝶    園田靖彦
枝豆食ぶ三粒並びし真中より     原 京子  
秋の蝶子どもが植ゑし稲の上     金澤道子
しづかなる鎌倉となり桐一葉     那珂侑子
たましひの片割れさがす秋の蝶    城田容子
秋の蝶海峡わたる気概あれ      西川遊歩
桐一葉落ちゆく一葉追ふごとく    篠原隆子

 (篠原隆子記)


東京ウェブ吟行句会(21-25日 夏雲システム 24名)

吟行地:根津神社(谷中界隈)
兼題:霧、新酒、柘榴

錫杖や霧を来てまた霧へ去り   関根千方
住み着いてわれも氏子よ新酒汲む 神戸秀子
茫茫と草の墓あり霧の村     上村幸三
ともに汲む妻得たるかな今年酒  石塚純子
柘榴の実百の言葉を秘めてをり  稲垣雄二
糸瓜忌の根岸へ足を延ばしけり  臼杵政治
抱ききれぬ血をこぼすかに石榴裂け 岡村美沙子
竹伐って父母の花筒取り替へん  園田靖彦
澄み切つてほのかにみどり新走  神谷宣行
秋刀魚焼く谷中だんだん大夕焼  谷村和華子
小鳥来る谷中にいくつ残る井戸  菅谷和子
寺町の路地から路地へ赤とんぼ  大場梅子
お囃子の手練れぞろひや秋祭   藤英樹
雨にさへ名のある国の新酒かな  長野いづみ
髪濡れて声まで濡れて霧を来る  金澤道子
新酒汲む束ねないでと詩人逝く  松岡伴子
しみじみと孤独を友に新酒かな  安藤文
対馬より霧の彼方に釜山の灯   片山ひろし
実柘榴や戦争しらず生きてきて  那珂侑子
へび道は暗渠の道よ柘榴さけ   大平佳余子
朝霧や山の湯いづこ匂ひけり   越智淳子
躓きし石おもしろや秋の道    服部尚
駐在所巡査巡回柘榴熟る     石川桃瑪
濃霧より出できて村に鶏の小屋  原京子

(関根千方記)


埼玉句会(22日 埼玉会館 5名)

老いの身の力となれや新走り        市人
旅ごころすなはち秋を待つこころ
裾分けの更に裾分け今年米         靖彦
新藁でこさへし土俵神宿る
水澄める瑞穂の国のまつりごと        宣行
櫂百句抱き高きに登りけり
白寿なり水澄むこころ賜りぬ         つねお
百年を生きて高きに登りけり
百歳の翁の耳に蚯蚓鳴く           ゆき
オリンピック果ててセーヌの水澄めり

(萬燈ゆき記)


愛知吟行句会(12日 名古屋市東別院 十二の市)

 まだまだ暑さ厳しい秋空の下、境内の露店市を吟行。店じまいする店も多かったが、参拝者が少なくゆっくりと市の様子を見ることができた。近くの中華料理店でランチ、隣のイーブルなごやで句会。

オクラ買ふ売り手も我も汗まみれ   恵美子 
台風来小言いひつつ刃物研ぐ     春日美智子
中華飯囲み秋場所の話など      沙羅
み仏の功徳慕ひて地虫鳴く      肇 
身に入むや軋みてひらく廟の窓    楓 
秋暑し日影さがして影法師      正博 
ねこじやらしみんなに会ひに吟行へ  通江 
上人の正信偈待つ秋扇        雄二

(稲垣雄二記)


岐阜句会(26日 岐阜市西部福祉会館)

第1句座 兼題 曼珠沙華、秋刀魚、台風

灯点すや誕生の日の曼珠沙華     上松美智子 
泥水に抗つてゐる彼岸花       春日美智子 
季節良しさんまお店にあふれけり   通江 
能登や能登大雨降らし台風去る    沙羅 
水音の岩のあはいや曼珠沙華     恵美子 

第2句座

秋彼岸吸ふ息吐く息目覚めかな    上松美智子 
行き行きて先回りする秋の蚊よ    春日美智子 
言ひたいこと句を離れけり野紺菊   通江 
秋場所やころつと負けし大男     沙羅  
水打てばばつたとび出す庭の空      恵美子 

(梅田恵美子記)


京都句会

 古志京都句会9月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。 
 来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定ですが、対面句会については、10月から12月の3か月は、次のとおり、いつもの第3水曜日ではありませんので、ご注意下さい。
 10月:10月11日(金)午後1時からこどもみらい館。
 11月:11月8日(金)午後1時からこどもみらい館。
 12月:12月7日(土)午後1時から知恩院和順会館。
 ※主宰指導の句会です。参加希望の方は、古志9月号64頁をご覧になり、氷室茉胡まで申し込ん   で下さい。通常の対面句会はありません。

 9月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(宮本武蔵、藤の実、榠樝の実など)、喜田りえこさんのエッセイ「ふるさと歳時記9月」、そして竹下米花さん作の絵手紙(大判洋梨)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。17名参加。

蚯蚓鳴く誤植の一字が命取り      りえこ
串カツのタレが手につく残暑かな    雄二
露の世に露とどまらず草の花      忠雄
戦場の兵も仰ぐや天の川        久美
朝露の青極まりて露草に        美那子
藤は実に菩薩となりし武蔵かな     初男
邯鄲や明日香の闇の石舞台       悦子
夕端居昭和の町の新世界        恵美子
刀捨て鍬持つ武蔵秋日和        淳子
新涼や志野の茶碗を使い初む      英二
切るも食べるも家風ありたる西瓜かな  美恵子
秋風鈴鳴らぬがほどにゆれにけり    米花
産土は建屋に続くすすき原       みさ子
秋爽や発止と放つ矢正鵠に       和華子
見た目よりあかんたれやねラ・フランス 佳澄
恋風が台風のごと迷走す        杳平
これからは弾ける余生藤は実に     茉胡

 対面句会は、9月18日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座6句出句(席題「良夜」「秋湿り」「鵙」「鯊」「茸」「鰯引く」)6句選句。6名参加。

ゆく秋の雲見る癖は今もなほ      欣也
蜑(あま)の子も綱に加はる鰯引き
秋刀魚喰ひたし母の七輪とうに無し   いほり
分別のごみまとめをる良夜かな
はんざきや食ひ入るやうに株式欄    りえこ
いけないわ松茸ご飯三杯目
虫籠にいつしか虫のゐなくなり     洋子
推敲も一年越しの良夜かな
白露かな煎茶茶碗の小さきこと     佳澄
ラジヲよりボサノバ流る鯊日和
秋うらら蝶のためなる食草園      茉胡
妻の指図聞く振りをして鵙日和

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。    メルアド:mako10himu6@nifty.com                    

(氷室茉胡記)


奈良句会

星月夜心豊かに巻く歌仙      まこ
万感の思ひを能登へ九月尽     忠雄
賢治忌や夜空に雨は星となり    淳子
母の寝息聞いて嬉しき菊枕     悦子
地震の村ふたたび襲ふ秋出水    洋子
東京に馴染みゆく子ら九月尽    久美
今朝一葉舞ひ込む桜紅葉かな    りえこ
その中に死者の声あり虫の闇    雄二
カサカサと静寂の音菊枕      まち
人生の錦秋や突然の旅       正子
露の世に君の精進巌の如      美那子

(きだりえこ記)


松山句会(21日 メール句会 11名)

兼題:台風、冷ややか、曼珠沙華、葡萄、月見  5句出句5句選

もう届くこと無き葡萄一周忌    まさし
ひやひやと神威岬に星生る     真樹子
炎立て棚田彩る曼殊沙華      喜久子
六人の喉を潤す大葡萄       真奈美
病窓よりじっと見つめる月見かな  薫
光の粉纏ふ葡萄を頬張りぬ     紫春
雲はやし野にもかぜ吹く月見かな  陽市
薄日さす二百十日の波静か     伊都夫
畔に咲く燃ゆる想いの曼珠沙華   夕未子
蹄鉄の形見となりて今朝の冷え   まこと
冷ややかにまろき古代の耳飾り   喜久子
七色の雲流れゆく厄日かな     伊都夫 
父母の空は遙かや彼岸花      紫春
冷やかや終着駅は始発駅      まさし 
ははそはの母は紅曼珠沙華     真樹子
月見の日ウサギの餅つき1光秒    博山
月あかりながれてをりし川瀬かな   陽市      
白髪染のスプレー今朝は冷ややかに 真奈美 
毛氈に寂光まとふ月見茶屋     真樹子
月を見むとてベランダに椅子二つ  喜久子  
満たされることなきこの世曼珠沙華 まこと        

(木下まこと記)


福岡句会(29日 早良市民センター 14名)

大谷弘至主宰選        

第一句座

【特選】  
舟を待つ旅の芭蕉かいぼむしり   丹野麻衣子  
咲き継ぐや金印の地の曼珠沙華   前田悠  
秋暑し五臓六腑に不老水      斉藤真知子  
虫の夜の始めや卓に一書置く    加藤久子
この辺り来れば又会ふとんぼかな  高山國光  
国の月白く扶桑の月青し      周龍梅  
戦争で人は道具と地虫鳴く     大橋修  
みながゐて父ゐぬ家の秋簾     矢田民也  
雷に折れ猿酒醸す御神木      丹野麻衣子  

【入選】  
補聴器を外し台風和らげり     若松節子  
一灯に家族六人野分中       若松節子  
さても暑き秋やどすんと高気圧   高山國光  
ぽとぽととここに千年銀杏の実   斉藤真知子  
弱虫の我を励ます唐辛子      斉藤真知子  
研ぎに研ぐ新米かがやきそむるまで 矢田民也  
菊日和夫のパジャマをはためかせ  山下充子  
どこゆくも道草なりき大花野    矢田民也  
躓きの石に爪立ち林檎捥ぐ     大橋修  
どこまでが散歩どこからが秋の旅  矢田民也  
栗飯や天津人は口くどし      周龍梅  
亡き人の合羽を着せて案山子かな  今村榾火  
 障子貼るひと部屋に猫とぢこめて  斉藤真知子  
寄せて来る波は秋声子守唄     丹野麻衣子

第二句座(席題、萩の花、栗ご飯、鵙)

【特選】  
下々も王朝人も萩の露       今村榾火  
白萩を分けねば行けぬ禅の寺    斉藤真知子  
鵙鳴くや未完のホ句の置きどころ  今村榾火  
栗めしや柴三郎は札になり     今村榾火  
栗飯の何より好きな父なりき    大橋修

【入選】  
朝鵙や手術待ちゐる吾子の部屋   川辺酸模  
幾年や過ぎし栞の萩の花      城本紀美代  
御参のこれも愉しみ萩の風     加藤久子  
栗ごはん大人ばかりが喜びて    若松節子  
ビル街の廃屋の萩無礼講      前田悠  
鵙猛るわれの怒りを知れるかに   大橋修         

(斉藤真知子記)


長崎支部(27日 まり庵 9名参加、うち4名はメール参加)

当季雑詠

読破せむページも軽き夜長かな   順子
鰯雲洗濯物はひとり分       玲子
秋簾子等の戻りし隣家かな     美智子
ペンション村売り地の芒招きをり  文
朝顔の実だけとなりて絡まりぬ   睦美
落ち鮎や藪となりたる岸辺かな   弘美
乳呑児の夜泣き止みたり虫の闇   なおよ
秋の雲みんなおかつぱだつた昭和  まり子
舟になり月の光に漂はん      瑠衣

席題 野分、初鴨

一部屋に家族が寄りて台風夜    順子
散り散りや野分のあとの腕まくり  玲子
野分過ぐ妙に静かなる朝あり    美智子
初鴨やこの池旨し住みよいぞ    文
大空の標頼りて鴨渡る       睦美
初鴨や恙無きかな我が故郷     弘美
野分来る車走らせ窓被ふ      まりこ
野分前早も入り江は薄濁り     瑠衣            

(米山瑠衣記)


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題(虫、水澄む)7句出句5句選

秋の虹展望台に雨情の碑      北野沙羅
剥く梨をさくさくと食ぶ夫憎し   若松節子
湧き出づる伏流水や澄みわたる   佐竹佐介
虫の音を楽しんでゐる家路かな   加藤裕子

(加藤裕子記)

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