2024年6月句会報告

ZOOM句会


深川句会(12日/16名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

酒くさき父が横たふ蚊帳の青      園田靖彦
井月さんけふもどこかで冷し酒     大場梅子
磐座の小さきもまた迎へ梅雨      篠原隆子
亀の子の泳ぐ手のパー足のパー     仲田寛子
冥途への旅に一息かたつむり      神谷宜行
ざぶざぶと清水で締めて山の蕎麦    西川遊歩
神々の崑崙はるか雲の峰        菅谷和子
古井戸に飼はれハレの日洗ひ鯉     上 俊一

【入選】
手になじむ要のゆるき扇かな      篠原隆子
いちはつや昼間は鳴かぬ山の鳥     篠原隆子
葛菓子を御幸と名付け夏の山      篠原隆子
げじげじや人より悪くあらねども    越智淳子
古家族やや新鮮よ旅浴衣        越智淳子
軽鳧の子を丸呑みしたる鷺の顔     臼杵政治
蜘蛛の子や机の上の大冒険       臼杵政治  
梅雨出水大亀抱へ学校へ        臼杵政治
何某の顔禍々し立版古         臼杵政治
団塊の闘ひし日々旱星        長野いづみ
点滴の音に身じろぐ夜の新樹     谷村和華子
花束のバラはまんかい誕生日      吉田順子
夏の空術後はじめて乗るバスよ     吉田順子
狩行逝く麦の秋なるただ中を      吉田順子
箱庭の主となりて富士仰ぐ       菅谷和子
村ぢゆうの蝶も出でたる田植かな    城田容子
香水の減る減らないを立ち話      石川桃瑪
縄の束どさと積みあり祭前       金澤道子
鮎解禁待つや仕掛けの一くさり     西川遊歩
仏壇の火の影揺るる梅雨入かな     神谷宜行

第二句座 席題(梅雨入 日傘 紅の花)

【特選】

あをあをと雨の瑞穂の梅雨入かな    篠原隆子
旅の身の翁を慕ひ紅の花        石川桃瑪
さあ妻の日傘を借りて吟行よ      臼杵政治

【入選】

梅雨に入る白寿の母の爪を切る    長野いづみ
追ひつかむ日傘の内はかの人ぞ     臼杵政治
けふからはどこへゆくにも日傘かな   城田容子
どかどかとどぶ板通り梅雨に入る    大場梅子
早々と刺身割引く梅雨入かな      西川遊歩

(篠原隆子記)


東京句会 (29日 江東文化センター 19名)

大谷主宰 選

第1句座

【特選】

マンゴーをたつぷり啜り国境へ    イーブン美奈子
ふるさとを探しひらひら熱帯魚     菅谷和子
外で犬飼ひたる頃の蟻地獄      仲田寛子
龍となる杉を支へて清水湧く      丹野麻衣子
涼しさや紀寿を生きたと知らで母    長野いづみ
大岡と酒ほがらかに重信忌       越智淳子
まとひつくべこもろともに冷しけり    園田靖彦
拝聴す扇子全開耳に当て        仲田寛子
お六櫛挿して誰待つ吊忍        大場梅子
思ひつ切り青空吸つて泳ぎ出す     臼杵政治
どつぷりと梅雨の帰国も母国かな    イーブン美奈子
友眠れ眠れば癒ゆる青葉木菟      菅谷和子

【入選】

捨て石は要石へと沖縄忌          城田容子
少年は槍の構へを補虫網          上 俊一
国境は大河メコンや蛍とぶ          西川遊歩
真清水を汲んでこの杉龍となれ       丹野麻衣子
新札は箪笥の中へ蝉時雨          奈良 握
カメラ手に線路見つめる草いきれ      大場梅子
蠅払ふ我も持ちをる愚かな手        谷村和華子
夏痩せと言ひて静かに見開きぬ       菅谷和子
風呂敷の鞍馬天狗や水鉄砲         西川遊歩
夏風邪やごぼごぼ今日は下の子が     臼杵政治
妹の守るふるさと岐阜提灯          わたなべかよ
浜木綿や丸石一つ猫の墓           上 俊一
神さびの道を歩けば泉湧く           丹野麻衣子
石まどか信濃は栗の花ざかり         仲田寛子
スコールを待たせ飛び乗る帰国便      イーブン美奈子
沖縄忌父は摩文仁に眠りたまふ        吉田順子
紫陽花の中予備校を早退す          臼杵政治
わが庭は浜と地続き浜万年青         上 俊一
かちわりがとけるも忘れ応援す        菅谷和子
昼寝する海亀のうへシュノーケリング     吉田順子
汗の肩確と抱き合ひ一位二位         原 京子 

第2句座   席題 (夏休み、山蛭、茄子の花)

【特選】

荒塩を持ちて蛭降る谷に入る         金澤道子
居酒屋に蛭つけしままどかと脱ぐ       長野いづみ
蛭おそろし瀉血おそろし父病めば       菅谷和子
走るなと言つても走る夏休み          臼杵政治
大き蛭煙草で焼いて落とさんと         イーブン美奈子
蛇が出て蛙がとんで蛭の山           丹野麻衣子

【入選】

腫れ物で泣く子に蛭を張り付けて       わたなべかよ
まづ父が分け入る一歩蛭の山         イーブン美奈子
山蛭の太りに太るまで落ちず          金澤道子
山蛭やバスはいよいよ廃線に          奈良 握
不良血なれど味はへ山蛭よ           上 俊一
モップ持ち夏は休まぬプール番         西川遊歩
地図帳を何度も繰りて夏休み          西川遊歩

(大場梅子記)


東京ウェブ吟行句会 (16-19日 夏雲システム 21名)

吟行地:横須賀、三浦半島
兼題:風鈴、海鞘、パセリ

狩行逝くしんとパセリの雫かな 上村幸三
水兵の腕の巻毛や大南風    金澤道子
閖上が読めて哀しや海鞘を噛む 稲垣雄二
横須賀の路上のジヤズや夏に入る 石塚純子
いまもなほ軍港都市や夏怒涛  大平佳余子
一振りのパセリの香るスープかな 安藤文
雲の峰はるかな冲に黒船来   菅谷和子
もう誰も褒めてはくれずパセリ噛む 臼杵政治
海鞘食うて冷たき肌の海女を抱く 神谷宣行
モノクロの軍艦三笠梅雨深し  神戸秀子
人間に余生皿鉢にパセリあり  片山ひろし
失はれし森の欠片のパセリかな 関根千方
風鈴に耳を預けて昼の酒    岡村美沙子
海鞘食ふたびに酒臭き父思ふ  藤英樹
南部富士ごつと風鈴鳴りにけり 大場梅子
飛び散るやJAZZはパセリの微塵切り 松岡伴子
うたひ出し決めかねてゐる蟇  園田靖彦
迷彩の軍艦無言夏の潮     越智淳子
パセリまで食べてよい子と言はれし日 那珂侑子
考ふることやめてより海鞘脳の無く 原京子
弟のうなじに葉かげ車椅子   服部尚子

(関根千方記)


鎌倉吟行句会 (2日 長谷寺 6名)

第一句座  (7句出5句選)
水音の奥も水音滝しぶく  英樹
観音へ振舞水乞ふわが乾き 淳子
老鶯や筧を山の水走る   美津子
ほととぎすひと声今日はそれつきり 道子
あぢさゐに囲まる胸に如来さま   侑子
あつたはずの駄菓子屋探す梅雨間近 和華子

第二句座   (席題 雨蛙/バナナ 3句出3句選)
かんたんにバナナとミルク一人の昼  侑子
バナナバナナ尊ぶ心今もなほ     淳子
雨蛙雨雲呼んでゐるやうな      道子
東京へバナナの匂ふ後部座席     美津子
沖縄の悲しきバナナ剥きにけり    英樹
目が合うてまばたき忘る雨蛙     和華子

(谷村和華子 記)


埼玉句会(23日 埼玉会館 5名)

身を捨つるほどの祖国か青あらし       市人
分断と対立煽る暑さかな
一日に三行の稿河童の忌           靖彦
心電図今日はおだやか梅雨晴るる
議事堂に半夏の雨の降りしきる        宣行
病み老いて女ひとりの半夏かな
ゆり椅子に妻の居眠り半夏生         つねお
すててこや大東京の大地主
俳句みな追悼の句なり河童の忌       ゆき
滅びゆく国に生きゐて河童の忌

(萬燈ゆき記)


愛知吟行句会(6日 名古屋市笠寺観音六の市)

いよいよ夏らしくなった眩しい空の下、名鉄「本笠寺」駅に12時に集合。ほとんどの露店が店じまいする中を、店主の目を気にしながら吟行。二十ほどの露店を見ているのは、私たちだけ。近くのコミュニティセンターへ移動、句会。

六の市涼しき花緒ならべをり     恵美子
良寛の手鞠のごとき四葩かな     春日美智子
涼風を蓄へてゐる大夏木       沙羅
六道の汗にまみれむ途上かな     すみ子
濁世とて泰山木のかぐはしき     肇
すつぽんが右往左往や梅雨催ひ    尾燈子 
亀の子へ泥の洗礼一歩かな      楓
寺の市物見遊山の日傘かな      正博
六の市木陰におはぎの店出して    通江
風に掛けあつぱつぱ売る露店市    雄二

(稲垣雄二記)


岐阜句会(27日 岐阜市西部福祉会館)

第1句座 兼題(雨蛙、苔の花、水泳)

井戸水のさらしを待てず子らプール   春日美智子
二十代百七十三センチプールかな    上松美智子
背泳ぎでバタバタすすむ十メートル   沙羅
雨蛙小さきまなこで世界みる      通江
石仏つらなる山路苔の花        恵美子 

第2句座

子かまきり身より大きな餌を咥へ    春日美智子
隣の子ジューンブライドお嫁入り    上松美智子
夏至の日や傘光らせて下校の子     沙羅
夏の香の朝を歩くのうぜん花      通江
石仏に父の俤麦の秋          恵美子

(梅田恵美子記) 


京都句会

古志京都句会6月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。 
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定ですが、7月は恒例の祇園会句会があります。今年も櫂先生をお迎えして、7月17日(水)に実施しますので、対面句会はありません。8月以降は、対面句会、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。

 6月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(夏の花)、喜田りえこさんのエッセイ「ふるさと歳時記6月」、そして竹下米花さん作の絵手紙(海芋・カラー)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。15名参加。

ぼうたんの蝶を引き込む大火口     雄二
水打てば通天閣の灯りけり       美那子
瞑想の空海に出す夏料理        悦子
復興の一苗一苗田植せん        忠雄
箱庭に人の声する籬かな        英二
蕗折れば青き土の香しぶきけり     恵美子
青鷺や声よく通る狂言師        りえこ
薫風や旅立つ母に紅をさす       久美
AIの世をよく考えよ葦茂る       美恵子
海鮮丼すず風の席拭き抜かれ      みさ子
打水の路地ぱたぱたと漫才師      淳子
由布岳映し老いがひとりの田植ゑかな  初男
皆勤賞この頃聞かぬ茄子の花      佳澄
青田風かほ欠けてゐる地蔵様      杳平
長子とは抜かれゆくもの立葵      茉胡

 対面句会は、6月19日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句5句選句、第2句座8句出句(席題「飛魚」「円座」「梅雨晴間」「竹皮を脱ぐ」「田草取」「百合」「蚊」「蝉」)7句選句。4名参加。

夏潮の寄せて広がる磯の灯       欣也
家中は田草取りなり庭の鶏
発心の一日一生沙羅の花        いほり
庭師来て庭明るくす梅雨晴間
夕暮や団扇であほぐ東山        りえこ
ブルースリー明鏡止水と蚊を射止む
潜るとき草の匂ひの茅の輪かな     洋
子蝉の穴がらんどうなる夕べかな

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。   メルアド:mako10himu6@nifty.com   

(氷室茉胡記)


奈良句会

冷奴墓の話で盛り上がり        洋子
冷奴いつまで角の取れぬ夫       まこ
人生きて行き着くところ冷奴      忠雄
真夜中に踏ん張る音や冷蔵庫      雄二
冷蔵庫隠したる物見付からぬ      悦子
退屈をたつぷり入れて冷蔵庫      りえこ
夜の雲涼しく高く大仏殿        淳子
宇治川の水面掠めて夏つばめ      豊
緑陰や待ち人来ても来なくても     美那子
ふるさとの草の匂ひの茅の輪かな    久美
一匙のゼリー過ぎけり母の喉      正子
楚然たる山並映し金魚の田       まち

(きだりえこ記)


大阪句会

メール句会(雑詠7句出句5句、5句選)

初夏や初孫生まれし自転車屋      泰子
新緑を西に走らす新快速        頼温
柏餅心の旅の歌仙かな         洋子
燕の巣一軒のこる呉服店        みつこ
ずたずたの日本列島卯波寄す      りえこ
禍の傷を舐めつつ蟻の列        百合子
衣更へ母に掛けやる花模様       久美
夜も更けて迎へくれたり牛蛙      美栄子
夏蝶の風を自在にあやつりて      豊
人心も国土も荒れて梅雨の月      歌子
月涼し夏目雅子の自由律句       茉胡
衣更へていつも豆腐のある暮らし    美那子
きのうが父の日家族皆で大笑ひ     誠
白日傘くるり回して捨てる恋      陽子      

席題Zoom句会  席題(田植・走馬灯)3句出句、3句選

でこぼこの地震の跡ある田植かな    みつこ
プランターにたった三束の田植かな   頼温
田植機をじっと見てゐる家族かな    豊
紀ノ川紀の水を力に田植かな      陽子
リズムよき自作の唄で田植かな     洋子
田を植ゑて今年の雨を祈りけり     百合子
田植機の行きも帰りも日を返し     久美
田植機は泥を曳きつつ帰りけり     歌子
清潔な景色広がる田植終へ       泰子
幸ありて今日は早足走馬灯       誠 
この世からかの世へ逃げる走馬灯    美那子
永遠に追いつけぬ影走馬灯       りえこ

(木下洋子記)


松山句会(22日 メール句会 10名)

兼題:時鳥、白玉、噴水、天道虫、夕立  5句出句5句選

白玉や話弾みし老姉妹         喜久子
あかい空あかい噴水夕広場       陽市
みづうみに高く空あり時鳥       真樹子 
許可局の天辺翔けたかほととぎす    まさし 
子に見せて天道虫を放しけり      薫 
噴水は途切れず愛も常しなえ      紫春 
一人碁を打つ手を休む大夕立      伊都夫
白玉をそっと一口汗の引く       博山
見る見ると夕立ふりだす野良仕事    夕未子
ほととぎす殉死の墓の苔むして     まこと
大夕立日向の匂い残し去る       喜久子
指の先飛べばわかれの天道虫      陽市 
出勤のホーム山から時鳥        紫春 
風神と雷神揃ふ大夕立         まさし 
夕立中遠き小島は陽の差して      伊都夫
噴水やみず七色によぢれつつ      真樹子 
みずからを光につつみ白玉よ      陽市 
一日を遊び疲れて夕立かな       まこと
かりゆしの肩より飛びし天道虫     まこと

(木下まこと記)   


長崎句会(28日 メール句会 8名)

当季雑詠

素潜りの君の腕前海鮮料理       弘美
陽に翳すラムネの輪郭線青し      玲子
鱰(シイラ)との力比べや海男     順子
万緑や愛と知溢れ師は百寿       まり子
紫陽花やあの日此処からきのこ雲    なおよ
本棚の奥に清張五月闇         美智子
ピカドンに余生黙して楠若葉      文
缶ビール空けて供えんきみの墓     睦美 

題詠:田植え・水馬

天と水の隙間をスイと天馬       文
田植終えただ青々と青々と       睦美
水馬やモダンダンス舞ふごとし     まり子
曲線の棚田に沿ひて田植かな      玲子
水面の空掻き分けて田植えかな     順子
雨粒にあめんぼ足を踏ん張りて     美智子
水馬や池の表を拭き掃除        弘美
水馬跳ねてくすぐる逆さ富士      なおよ 

(ももたなおよ記)  


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題(沖縄忌、アマリリス)7句出句5句選

三線で弾けぬ君が代沖縄忌       佐竹佐介
沖縄忌少女コーラを一気飲み      若松節子
鴇草の群れやそぼ降る湿原に      北野沙羅
声楽の発声練習アマリリス       加藤裕子

(加藤裕子記)

 

 

 

                       

           

                                               

                                                            

         

                                                         

       

     

          

木下まこと 記

                   

 

 

 

 

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