2024年2月句会報告

ZOOM句会


深川句会(14日/17名)

大谷主宰  選

【特選】

寒泳や風よりぬくきけふの潮      上 俊一
寒泳や浜の焚火を遠見して       上 俊一
踏む勿れ姫の羽衣山霞        谷村和華子
ふるへたる初音や「は・る」と聞こえくる 神谷宜行
老残のいのちよ春の枯尾花       臼杵政治
手にうけて菩薩のひかり桜餅      篠原隆子
如月や花を待たずに失恋す       仲田寛子
水菜はりはり今年も野球応援す     間宮伸子

【入選】

皸は勲章ささくれは親不孝      長野いづみ
建国日応と祝へぬ我のゐて       園田靖彦
鶯の一声ありて世はまどか       園田靖彦
東風吹きぬ天神さんへお頼みに     園田靖彦
下萌えや膝折りて聞く水琴窟      菅谷和子
寒鴉なじみの俺に糞をひり       上 俊一
野に飛ばんわれらいづれも春の塵    越智淳子
君となら地獄めぐりも春の旅     谷村和華子
店先へもう砺波からチーリップ     臼杵政治
身籠りし人のしづけさ春の潮      篠原隆子
絵馬堂は雪解の風にさらされて     篠原隆子

第二句座 席題   (北窓開く 飯蛸 雪崩)

【特選】

北窓をどんと開きてやりなほさん    園田靖彦
飯蛸のどこまで頭どこが腹       城田容子
新しき職へ北窓開きけり        城田容子
飯蛸のもの言ひたげな口うごく     菅谷和子
炉火に煮る鯉や雪崩を聞きながら    篠原隆子

【入選】

飯蛸や奴になりて干されをり      上 俊一
とどろきて遠き雪崩かはた地震か    上 俊一
介護部屋北窓開けて薬の香       越智淳子
北窓の開いて梁ある頼もしさ      仲田寛子
飯蛸や升ですくうて朝の市       園田靖彦
煮てゐたり子が釣つて来し飯蛸を    菅谷和子
青笹の踏んばつてゐる雪崩あと     城田容子
 
(篠原隆子記)


鎌倉吟行句会 (4日 荏柄天神社 7名)

第一句座 (7句出句5句選)
着ぶくれて天神訪ぬ子と母と  淳子
山笑ふここは鎌倉八幡宮    益美
梅が香や打ち重なりて絵馬千枚 美津子
春雨や雛道具めく薬味入    道子
梅咲くや母の忌まづは墨磨らな 侑子
我が息にふつとほころぶ梅の花 英樹
白梅のそつと触れたるみ空かな 和華子

第二句座  (席題 子猫、沈丁花 3句出句3句選)
佐田啓二住みしあたりや沈丁花  道子
仔猫抱くあえかに尖る爪よ歯よ  美津子
鎌倉に古き字あり沈丁花     英樹
猫の子を貰って来たと差し出しぬ 侑子
沈丁の香よ若き日を連れ来るな  淳子
なき声のかはいい子猫選びをり  益美
沈丁や香が強すぎと母の言ふ   和華子
(谷村和華子 記)


東京ウェブ吟行句会(18~22日、夏雲システム、23名)

吟行地:池上本門寺と梅園
兼題:春の月、建国日、種芋

種芋を植ゑてその夜の長湯かな 金澤道子
和の国に和の憲法や建国日   神谷宣行
梅一輪老いの背骨を伸ばしけり 石塚純子
日の丸がうなだれてゐる建国日 安藤文
種芋のかたちに乾き新聞紙   関根千方
ラーゲリを生き抜きし父建国日 松岡伴子
きらめきて雪解しづくの鎖樋  神戸秀子
百段の果ての堂宇や鳥帰る   臼杵政治
水琴窟早春の音奏でをり    石川桃瑪
種芋や選りわけられて捨てられて 大場梅子
日蓮のこころのままに梅開く  上村幸三
敗戦や皇居の庭に薯の種    服部尚子
生ゴミに群るる鴉や建国日   萬燈ゆき
南座に「河庄」かかる春の月  大平佳余子
妻の忌の目に春月の溢れけり  片山ひろし
諍いて家飛び出せば春の月   岡村美沙子
べつの道行きて出合うて梅の園 原京子
被災者が被災者助け春の月   那珂侑子
をさな子の母になろふて絵踏かな 園田靖彦
インド人鼻高々と梅を嗅ぐ   藤英樹
雪とけて水ほとばしる鎖樋   菅谷和子
こゆるぎの浜にぽつかり春の月 越智淳子
本門寺見上ぐる石段陽炎へり  長野いづみ

(関根千方記)


埼玉句会報告(25日、埼玉会館、5名)

諍いの絶えぬ人の世雛飾る       市人
花を待ち人を待ちゐて西行忌
大谷のグローブなでる春炬燵      靖彦
春暁や意識不明の指動く
春天へ響け旋律タクト置く        宣行
水温む女神の舌が頬に触れ
明日知らぬ命ふたつや春炬燵    つねお
うららかや生くるも死ぬも大仕事
東京に雪降る予報桜餅          ゆき
職退いてよりの友だち桜もち

(萬燈ゆき記)


愛知吟行句会(8日 藤前干潟)

まだ浅き春の海を眺めたり、野鳥観察館の望遠鏡で鳥を探したりした後、稲永ビジターセンターに集合、句会。

ぷかぷかと胸で波のる春の鴨    恵美子
どんよりと曇るも春の兆しかな   春日美智子
望遠鏡の先に鳥の目春の浜     楓 
鳥つどふ干潟は春よ天国よ     正博
春の鴨光のなかを泳ぎけり     通江
そんなにもこの国よいか残る鴨   雄二
(稲垣雄二記)


岐阜句会(岐阜市西部福祉会館 22日)

第1句座 兼題(苗札、亀鳴く、豆まき)

苗札に引きつけられて牡丹買ふ   上松美智子
苗札に絵文字くつきり雨しとど   春日美智子
子と語るエスデイジーズ春の宵   沙羅
ばあばを描くまつすぐの線亀鳴けり 通江
亀に似ぬ亀石ありぬ亀鳴けり    恵美子 

第2句座当季雑詠

脱いだり着たりの続く四温かな   上松美智子
水溜りここそこにあり木の芽時   春日美智子
春のバラとしばし一緒に暮らしけり 通江
片付かぬ瓦礫の山や春の雨     沙羅
つたなき字ならぶ苗札小学校    恵美子
(梅田恵美子記)


京都句会

古志京都句会2月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。 
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。
 
2月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(梅)、古志R5年12月号の主宰のインタビュー記事の一部(AIに関するもの)、そして竹下米花さん作の絵手紙(一の午)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。18名参加。

人を呼ぶほどでなけれど庭の梅    美那子
詠愛と名のりありけり花の闇     忠雄
水音のまだ整わず猫柳        英二
雪うさぎ一夜の命もらひけり     雄二
円空の粗き彫あと花のゑみ      恵美子
どんどこどん輪島和太鼓春を待つ   りえこ
春眠の姿そのまま納棺す       みさ子
AIに夫婦は居らず猫の恋       杳平
AIと句会もせんや朧の夜       淳子
アナログは最高の武器風光る     美恵子
息ふかく一枝撓めん寒紅梅      久美
AIに進路相談雪の夜        (木下)洋子
紅梅や吉祥天の頬丸く        悦子
幼子がしやがんでのぞく黄水仙    嘉子
うららかや生きながらへて八十四   初男
春障子上を向きそな小商い      佳澄
四月馬鹿心も読めるAIよ      一爽
何もかもAI任せ山笑ふ       茉胡

対面句会は、2月21日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座8句出句(席題「啓蟄」「なんて」「孕み鹿」「亀鳴く」「水温む」「春の鴨」)7句選。4名参加。

裏金の弾けて消えてしやぼん玉    りえこ
訳ありの番に候ふ残る鴨
そこここに伽藍をなして仏の座    いほり
啓蟄の命無尽や土の中
AIは人類の果春の雪        一爽
山笑ふ思ひ通りや婿二人
絵踏ふと修道院の丘登る       茉胡
修道院横目に残る番鴨

通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:mako10himu6@nifty.com    
(氷室茉胡記)


奈良句会(27日 ZOOM 12名)

青饅青饅や息子の作る夫の味     正子
春泥やあと一段と一段と       一爽
人生のほとんどは闇内裏雛      雄二
二月堂氷の月を上げにけり      久美
たおやかな母のひらがな雛の箱    まち 
春風やはちきれさうなクリームパン  豊
MRI検査終へ蒸鰈         まこ
夢違観音白鳳の春の雨        忠雄
海暮れて灯りに透ける蒸鰈      淳子 
緊張の一瞬途切れ草の餅       美那子
復興の人労はん草の餅        りえこ
美吉野のよもぎ香し草の餅      悦子
(きだりえこ記)


大阪句会

メール句会   雑詠7句出句5句選

着ぶくれて待つパソコンの立ち上がり  歌子
様子見を決め込んでをり懐手      美那子
冬木立向こうにコンビニ灯りおり    泰子
どつぷりと昭和の中へ日向ぼこ     陽子
七分粥黄身隆々と寒卵         洋子
いのち分く蒲団ありけり嫗還る     美栄子
山焼や大和の神の跳ねをどり      豊
みちのくの果て雪折れの匂ひかな    誠
四千歩歩けば一句四温かな       百合子
一冊のための寄り道日脚伸ぶ      みつこ
震災も戦もはらへ追儺式        りえこ
幾筋かは恋の通ひ路田螺道       茉胡
春潮の龍が龍呑むしぶきかな      久美

Zoom席題句会  席題(冴返る・金)3句出句3句選

七転び果ての息災冴返る        美栄子
抽斗に眠る裏金春寒し         りえこ
滝音のなほ冴え返る古道かな      陽子
冴え返る柱の陰に老い一人       誠
束の間の仮寝にも余震冴返る      美那子
立春や金粉ほのと和紙に透く      みつこ
いつもなら避けし金色お守りに     泰子
金閣の金こぼるるや春の水       久美
金継の猪口のだいじや寒造       百合子
金輪際戦せぬ国はだれ雪        洋子
かの時の金のボタンの色褪せず     豊
(木下洋子記)


松山句会(18日 メール句会 9名)

兼題:暦果つ、大年、初御空、破魔矢、若菜摘む 5句出句5句選

孫のやうな巫女より受くる破魔矢かな  伊都夫
無残なや家族そろひし時の地震     紫春
大年や妻に今年も有難う        博山 
すれちがひざまよ破魔矢の鈴の音    陽市 
いづこより恋は来るなり若菜摘む    真樹子 
静寂の東の茜初美空          夕未子
折角に受けし破魔矢や置き所      まさし
ベッドから両手を合わす初御空     薫
子には子の昔のありぬ大晦日      まこと
優しさも笑顔も消しぬ春の地震     伊都夫
富士山の裾野にメモや古暦       真樹子
初御空今年の希望ここにあり      博山
老いた手よ今もむかしも若菜摘む    陽市 
がん腫と戦い続く大年かな       薫 
破魔弓を受くる間も無く大地震     真樹子
捲られること無きままに暦果つ     まさし 
孫のやうな巫女より受くる破魔矢かな  伊都夫 
うらうらと海にさそはれ若菜摘     まこと
(木下まこと記) 


福岡句会(アクロス福岡 14名)

大谷弘至主宰選

第一句座              

【特選】
古雛その歳月の揺るぎなき       矢田民也
せせらぎの方へ歩めば芹の中      加藤久子
贐てふ淋しき言葉はるの雪       矢野京子
加賀繍の針のいろいろ針供養      ももたなおよ
春の雷天の吉事を触れ回り       山下充子  
あたたかやタクトの先にある世界    坂口和子
大いなる指揮者送らん囀らん      ももたなおよ  

【入選】
春光のまばゆき方へ機首を上げ     木下まこと
春一番吹かれて我も春の人       斉藤真知子
春一番高層の猫地を知らず       山下充子
回復や景気も病気も二月尽く      周龍梅  
紅白の葱の谷間に葱植ゑて       矢野京子
蒲公英やいつも明るさ失なはず     加藤久子
生まれきし春いざなはん猿田彦     木下まこと  
春泥や尻尾忘れて馬疾走        山下充子
飛梅や空にひとひら觔斗雲       大橋修
春来たる香炉の煙をまづ頭       斉藤真知子
乗り違へ枯れ木林の中にをり      前田悠
こんにちは博多那珂川春の鴨      矢野京子  
不眠の夜不眠のままに春惜しむ     周龍梅
生き物の目覚むる匂ひ春の野良     加藤久子
春宵にかをるは炙り明太子       木下まこと  

 第二句座(席題、、恋の猫、鶯、チューリップ)

【特選】
チューリップ開くをを待たず転校す   矢田民也
恋猫に行っておいでとささやきぬ    坂口和子
失恋や猫にも悪女をるらしき      矢田民也
かみしめる含蓄の二字チューリップ   木下まこと
恋の猫野見宿禰も手に負へず      木下まこと  

【入選】
うららかや犬長々と小屋の外      坂口和子
気に入りのおさがりの服チューリップ  斉藤真知子
夢の中恋猫のやうな恋をして      大橋修
帰る家忘れてはゐぬ恋の猫       斉藤真知子
鬣のあらまほしきと恋の猫       矢田民也
のびのびと心ひらきし恋の猫      周龍梅
かけひきがなんて下手なのチューリップ ももたなおよ
鶯や般若心経うろ覚え         ももたなおよ
(斉藤真知子記)


長崎句会(22日 メール句会 9名) 

当季雑詠

送電線絡めてゆきし春一番       睦美 
春近し撫でて背負いてランドセル    順子
鬼やらひイワン大帝化けて出づ     弘美
春節や肩車の手ランタンへ       玲子 
ハートチョコ半額になる寒戻る     なおよ
女先生紅のきりりや卒業式       美智子
山畑に寝ればすなはち春の塵      瑠衣 
龍年の夫よ励めよ春動く        まり子 
白梅や蕊ほやほやぞ蜂よ来よ      文

題詠 猫柳、風光る

猫柳振り振りながら通学路       睦美
風と来て頬に優しき猫柳        順子
風光る征爾昇天E・Tと         弘美
西海をのぞむ隠れ家風光る       玲子
任期終え後にする島風光る       なおよ 
逆光の君の写真や猫柳         美智子
風光る新制服の紺深し         まり子 
母に見すもうこんなにと猫柳      瑠衣
風光る明日は合格発表日        文 
(ももたなおよ記)


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題:茂吉忌、下萌  7句出句5句選

亜紀さんの描きし土手よ蝶生るる    北野沙羅
料峭や日本に絶えぬ被災の地      若松節子
茂吉忌や夜行列車は大河越ゆ      佐竹佐介
下萌や猪が崩せる一所         加藤裕子
(加藤裕子記)

    

  

  

  

        

    


                            

     

         

                          

                                                      

         

                                                         

       

     

          

 

 

 

 

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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