2024年1月句会報告

Zoom句会


深川句会(10日/18名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

とは言へど去年と変はらぬ初句会    石川桃瑪
出水いま鶴に仕へてゐるごとし     金澤道子
この国の達者なる頃初荷式       田村史生
龍の目の下とは知らず初寝覚      仲田寛子
人類のはじまりはるか初鏡       仲田寛子
すずといふ美しき響きが氷りつく    仲田寛子
墨すれば余命楽しや初硯        西川東久
松過ぎて深川通ひはじまりぬ      大場梅子
夫に来る賀状あまたの吞みませう    城田容子
猿曳も猿も新米大喝采         西川遊歩
どの紙も狭くてこまる筆始       篠原隆子
ことだまのそのた走りや筆始      篠原隆子

【入選】

戦争の記憶の底の息白し        城田容子
左義長に悲しび焚べん被災村      越智淳子
能登の人なほ辛からう寒からう     越智淳子
深川に胸を借りたし初句会       田村史生
弓始答なき世へまつすぐに       田村史生
仕舞ひには箒くべたり夕焚火      上 俊一
うつくしきあぎとは無事か能登は雪   神谷宜行
糸あらば星なる君と初電話      谷村和華子
まんまるのかはゆき河豚が蟹砕く    菅谷和子
地震走る白山の雪とよもして      菅谷和子
焼餅を山へ投げこみ樵初        篠原隆子
子があれば着付けてみたき春着かな   篠原隆子
姉からの御守り胸に初句会       大場梅子
あるだけをあらひざらひや初日記    園田靖彦
初暦磨き上げたる床の間に      長野いづみ
特選の名乗り高らか初句会       石川桃瑪

第二句座 席題 (初戎、初旅、寒蜆)

【特選】

見にゆかん浪花の誇る初戎       大場梅子
大和から福笹抱へ来たる人       大場梅子
龍宮で舞ひし鯛もて初戎        城田容子
大粒や升からざあーと寒蜆       越智淳子
わくわくと心斎橋や残り福       仲田寛子
初旅や芭蕉稲荷の小さきこと      西川遊歩
赤米の与謝は小ぶりの寒蜆       篠原隆子

【入選】

寒蜆ハーンの聴きし下駄の音      西川東久
養生の玉のやうなる寒蜆        園田靖彦
初旅はネットの中の金沢へ       間宮伸子
朝市にまた買ひたしや寒蜆       神谷宜行
旅始まづは炬燵を出るとせん      田村史生
ささげばや翁好みの寒蜆        大場梅子
寒蜆地底の力身にしみて        上 俊一

(篠原隆子 記)


埼玉句会(28日、埼玉会館、6名)

答とは一つにあらず寒卵         市人
贅沢は心の肥やし春立てり
またもとの深き眠りへ寒の鯉       靖彦
立春やしこ名に富士をもらひたり
凍鶴となりたる母を荼毘の火に     宣行
母を超え父を超えんと草の餅
埋火や仮の命をいとほしみ      つねお
大寒やマグマを抱く国に棲み
議事堂は鬼の巣窟豆打たな       すみえ
立春の光ふはりと胸にとめ
ディオールもサンローランも寒の紅   ゆき
裸婦像のしろき乳房に春立てり

(萬燈ゆき記)


鎌倉吟行句会(鶴岡八幡宮、3名)

第一句座
鳩文字の篇額仰ぐ七日かな 金澤道子
真裏より覗いてみたる初神楽 那珂侑子
初句会まづは笑顔で始まりぬ 谷村和華子

第二句座 (福詣、着ぶくれ、初雀)
朱の橋を渡りこれより福詣 金澤道子
雨予報外れてうれし初雀 那珂侑子
夫と手をつなぎデートの福詣 谷村和華子

(谷村和華子記)


東京ウェブ吟行句会(夏雲システム、20名)

吟行地:武蔵一宮 氷川神社(大宮)
兼題:風花、霰餅、白鳥
8句出/8句選

盆栽の松の根太し大旦      神谷宣行
白鳥の一句大きく舞ひ降り来   関根千方
武蔵国一宮かな実万両      石塚純子
風花や塔のクルスに日の残り   金澤道子
焼け跡にはらはらと舞ふ風花よ  安藤文
大谷のグローブ届く春隣     園田靖彦
白鳥やがらがら声を天に向け   上村幸三
日向ぼこ氷川だんごをまづ食うて 大場梅子
初読や翼の如く三木清      松岡伴子
さつと揚げ能登の塩ふりあられ餅 菅谷和子
炮烙にふつくらと咲く霰餅    原京子
縁あれと丹の橋渡る旅始     神戸秀子
平らかな武蔵野の冬一の宮    越智淳子
白鳥が胸で鴨押す瓢湖かな    岡村美沙子
この世をばいかにせんとや亀が鳴く 藤英樹
風花や故郷へきつと帰り来む   臼杵政治
舞ふ風花よ楽しかろ寂しかろ   長野いづみ
白鳥は水に浮かびて開花する   那珂侑子
墨色の白鳥まじる田んぼかな   大平佳余子
まさかもう息子は五十除夜の鐘  服部尚子

(関根千方記)


愛知吟行句会(18日、名古屋市熱田神宮)

拝殿の前に集合し、小雨降る熱田の杜を散策。満開の冬桜やほころび始めた寒梅を見て、境内の店で熱いきしめんを食べ、冷えた体を温めた。その後、熱田図書館へ移動し、句会。

岩出づる寒の真水や宮の森       恵美子
踏ん張りぬ身をさかしまに寒の蜘蛛   春日美智子 
寒鯉や神の剣を護るかに        楓 
草薙の剣を抜く音悴みぬ        正博
ひかずとも吉と決めたり初詣      通江
満開はさらに寂しき冬桜        雄二

(稲垣雄二記)


岐阜句会(25日 岐阜市西部福祉会館 4名)

第1句座 兼題(寒禽、寒椿、春隣)

寒禽の声のつんざく広き空       上松美智子 
寒椿チャイナマーブルの蕾かな     春日美智子
寒禽や避難所にゐて明日みえず     通江
春隣光輝く水辺かな          恵美子

第2句座 当季雑詠
親芋の刃をはね返す緑の芽       上松美智子
一羽より群がうれしや寒雀       春日美智子
初場所や裸の心で闘へり        通江 
白きもの窓打つ夜汽車冬深し      恵美子

(梅田恵美子記) 


京都句会

古志京都句会1月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。 
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。
1月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(地震見舞)、越智淳子さんの「きごさいBASE」の「今夜はご馳走」欄の「ポトフ」と「今月のお菓子」欄の「花びら餅」、そして竹下米花さん作の絵手紙(初詣)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。17名参加。 

九十歳はなびら餅でありしかな    りえこ
この国のどつしりとあれ鏡餅     美那子
屠蘇祝ふ古りてうつくし輪島塗    久美
日本の花の初めや花びら餅      忠雄
花びら餅のごぼうのやうな夫なりき  美恵子
生涯に空白は無し古日記       英二
歌留多取負けても末に崇徳院     米花
ご機嫌な父に抱かれて冬銀河     みりん
雪降るや能登をへし曲げ大地震    雄二
浮寝鳥この世に憂さのなきごとく   嘉子
能登癒えよ花びら餅に包まれて    初男
下戸揃い酒の神へと初詣       佳澄
武隈の松を初風揺らすかな      みさ子
密やかな恋の行方を初みくじ     悦子
初鏡ほそりし眉に墨をひく      恵美子
言霊のたましひ込めむ初詣      杳平
残り福まだあるかしら我が余生    茉胡

対面句会は、1月17日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座8句出句(席題「雪女」「寒菊」「松過ぎ」「蕪村忌」「湯たんぽ」「冬雲雀」「冬ざれ」「室咲」)7句選。4名参加。

舟唄の好きな女将とおでん酒     りえこ
寒菊のあはれ一花も枯れずして
山門に仁王屹立寒の入        いほり
松過ぎのつるんとしたる人の顔
過ぎし日は眩しかりけり枯木道    佳澄
松過ぎてコロッケ求む人多し
一品ごと謂れを問ふ子節       茉胡
桃源郷まだまだ見えず冬雲雀

通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。メルアド:mako10himu6@nifty.com  

(氷室茉胡記) 


大阪句会

□メール句会(雑詠7句出句、5句選)

ごたごたを煮たるスープや十二月    みつこ
真昼時おぼつかなげに冬の蝶      泰子
風神の子のいたづらか虎落笛      歌子
やるべきはやったと言へず除夜の鐘   洋子
うろうろと戦呪ひて年果つる      りえこ
去年今年長寿の神に愛されて      美栄子
小康の窓いっぱいに初景色       久美
花びら餅一重まぶたの清しさよ     陽子
恋の道平坦ならず御神渡        茉胡
何思い抗いて飛ぶ冬鴎         誠
エンジンの冷えゆく音や流星群     百合子
小さき拳突き上げて冬木の芽      豊
包丁はまだまだ元気老いの春      美那子

□大阪天満宮吟行句会

大阪天満宮、天神橋筋商店街を吟行し、午後から中之島の中央公会堂で句会を行いました。人日でしたが、天満宮は合格祈願のお参りに来られた方が多かったのではないでしょうか。合格祈願絵馬がずらりと並んでいました。紅梅がちらほら開花していました。冬晴の一日で、天満宮から句会場へ20分ほど歩きました。メールやZoomの句会は便利ですが、実際に顔を合わせての句会のよさをあらためて感じました。

第1句座 (5句出句・5句選)

鷽替や夢にしたきは能登のなゐ     佳澄
寒梅や伏目がちなる弱法師       りえこ
能面のおとがひ尖る寒さかな      みつこ
餅花を揺らして入る繁昌亭       洋子
手をひいて母の歩幅で初詣       誠
吾老いて日向ぼこりの亀の如      美那子
白味噌の甘き匂ひに寝正月       久美
開運のせんべい置きて初句会      豊
美しき山河震へて年明くる       百合子

第2句座
席題(寒蜆・初)3句出句、3句選

むらさきの貝殻まじる寒蜆       久美
寒蜆売り来る人の手やまつ赤      百合子
地震から七日ぶりなる初湯かな     洋子
初場所や鬢付にほふ国技館       りえこ
初鏡だれよりも早く初始動       誠
シルバーシート空けていただく初電車  美那子
堂々と好きな服着よ初鏡        みつこ

(木下洋子記)


奈良句会

子ら眠り父母眠り雪解川       正子
檜屑投げ入れ杣の初湯かな      久美
大寒や集団避難中学生        洋子
冬桜女人の香り通り過ぐ       雄二
枝先に漲る力冬木立つ        美那子
歌留多切る母の手子らを釘づけに   まち
目覚むれば孫と一つの布団かな    まこ
離れたる人思ひけり蒲団干す     悦子
大樹一本あと一切は深雪晴れ     忠雄
寒紅梅庭崩れしもなほ凛と      淳子
雪晴や白山一つ抜きん出て      豊
能登の人雪後の天を仰ぐかな     りえこ

(喜田りえこ記)


松山句会(18日 メール句会 9名)

兼題:暦果つ、大年、初御空、破魔矢、若菜摘む  5句出句5句選

孫のやうな巫女より受くる破魔矢かな  伊都夫
無残なや家族そろひし時の地震     紫春
大年や妻に今年も有難う        博山 
すれちがひざまよ破魔矢の鈴の音    陽市
いづこより恋は来るなり若菜摘む    真樹子 
静寂の東の茜初美空          夕未子 
折角に受けし破魔矢や置き所      まさし 
ベッドから両手を合わす初御空     薫
子には子の昔のありぬ大晦日      まこと
優しさも笑顔も消しぬ春の地震     伊都夫
富士山の裾野にメモや古暦       真樹子
初御空今年の希望ここにあり      博山
老いた手よ今もむかしも若菜摘む    陽市  
がん腫と戦い続く大年かな       薫 
破魔弓を受くる間も無く大地震     真樹子 
捲られること無きままに暦果つ     まさし  
うらうらと海にさそはれ若菜摘     まこと 

(木下まこと記) 


福岡句会(27日 あいれふ 10名)

第一句座

鉛筆を削る木の香や初仕事       民也
大寒の鮒よく肥えて売られけり     國光
七草や茶碗の内の青き富士       幸子
絵双六行きつ戻りつゆく浮世      久子
我が船に一夜宿借る冬かもめ      博人
三尺の昔ありけり軒氷柱        伸一
大寒や登紀子の歌と翔んでみる     悠
大荒れの地球でこぼこ初御空      和子 
三寒と四温彷徨ふ父がをり       龍梅 
俳句書く真白きノート冬の梅      真知子 

第二句座(席題、春、バレンタインデー)

春めくや机の上の世界地図       久子
贈る人バレンタインの日に決まる    悠
こつそりと船長室へチョコレート    博人
春めいて農家の嫁の薄化粧       龍梅  
まどはずに子の背ののびて春兆す    國光
春めきてこころ切なき齢かな      和子 
口きかぬ父へも一つチョコレート    真知子

(斉藤真知子記)


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題:春隣、梅  7句出句5句選

児らが描く地面の線路春隣      佐竹佐介
早梅や此処等は知覧武家屋敷
百匹のこのしろ鮨を年用意      北野沙羅
寒林や罠外さんと子鹿跳ね
父と子の掃きし境内淑気満つ     若松節子
ふる里に津波情報初山河
臥龍梅一花一花の光り初む      加藤裕子
橋渡るいつものバイク日脚伸ぶ

(加藤裕子記)


長崎支部句会(26日、まり庵句会、9名[第一句座は8名])

《当季雑詠》

味噌味を今年も守る雑煮かな   順子
風邪薬母のスープの如くはなし  弘美
成人の日髷に袴の漢あり     文
初詣八百屋の父の一帳羅     美智子
初競りや九絵の登場鉦の音    まり子
敷石の際の緑や春近し       玲子
寒晴れの庭をつつつと鳥過る   なおよ
お目見得や額に皺の初鏡     瑠衣

《席題》冬菜・初夢

冬菜籠抱へシスター坂登る  なおよ
冬菜畑祖母の遺愛の鎌ひとつ  玲子
初夢のときめき今は宝くじ  弘美
初夢の寝入るまでの楽しさよ  美智子
冬菜抜きさらに寂しき畑かな  睦美
初夢やちちはは居りて子になりて  まり子
初夢のリスト枕の下に置き  順子
古希なれば鍋の主役は冬菜かな  文
清拭のヘルパー明朗冬菜漬    瑠衣

(ももたなおよ記)


 

 

 

   

                                                                  

                     

                                                         

         

                                                         

       

     

          

 

 

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