2023年9月句会報告

ZOOM句会


郵便句会

大谷弘至主宰選

◎特選

庭石も枯らすつもりか藪枯らし    上俊一
大夕焼海の底より煮え返り      山下充子
城修復松美しく色かへず       神永秀郎
秋旱早くも落葉掃く日課       北野沙羅
蟹よぎる干潟は秋の匂ひかな     小島楓
ほうとつく神のため息山の霧     山下充子
鈴虫にうつらうつらや仕舞風呂    北野沙羅
うつろはぬいのちひととき花氷    関君子

○入選

朝空になびく白雲道暑き       土筆のぶ子
渇水や群れの川鵜は何思ふ      春日美智子
水鉄砲かけてよいかと問ひし子よ   伊達公子
草いきれ土手道歩く河口まで     土筆のぶ子
敗荷や警策発止また発止       白石勉
五年日記命の終はりあるのかも    間静春
涼しさや藤井聡太の指の先      春日美智子
敬老日開き直つて白寿まで      山下充子
含羞草手を合はすこと子が覚え    春日美智子
朝戸風ジンジャーの花芳しき     加藤妙子
百里来て飯豊の深く清水酌む     神永秀郎
青空や悟空の桃も食べ頃ぞ      小島楓
柴漬や阿波の内侍もお相伴      田中尚子
秋蝉やこの胸に来て何惜しむ     西川東久
海ほほづき歌へ千尋の海のこと    関君子
川上へのぼる土手道風涼し      土筆のぶ子
天高くよくぞ残りしこの干潟     小島楓
落葉から沢蟹覗く脚湯かな      白石勉
江の島の人出の中にゐて暑き     土筆のぶ子
鵲やジュリーと我の五十年      小島楓

(氷室茉胡記)                    


深川句会(13日/18名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

今頃は誰か柿置く子規の墓      仲田寛子
宗祇水澄みて歌仙の巻きあがり    大場梅子
竹伐るや小さき人に竹高し      越智淳子
天へゆくきざはしならん猿茸     神谷宜行
遡る鮭よこれより真田領       臼杵政治
秋の蚊よ年代ものの俺の血ぞ     上 俊一
江東や波郷の撮りし水の秋      西川遊歩

【入選】

父の忌や狭庭を掃けば残ん菊    谷村和華子
子は息を吹きて消さんと露の玉   谷村和華子
辞世の句幾たび詠んで涼新た     西川遊歩
龍潜む水府の淵か句座の声      西川遊歩
けふの月曽良眠る島晴れわたり    西川遊歩
やせ細る秋刀魚尻目に太るとは    大場梅子
白居易の聞きし砧かこの遠音     菅谷和子
鳩吹けばぴんと聳つ鹿の耳      菅谷和子
撃たれたる母を探して瓜坊主     菅谷和子
竹の春庵の樋もかけ替へて      西川東久
きせわたや夫のおもひの一服を    西川東久
霧晴れて地獄の谷に卵剥く      仲田寛子
鷲掴む祝儀袋や勝ちすまふ      園田靖彦
願はくば一反四石豊の秋       園田靖彦
正成の奇策も南蛮胡椒かな      篠原隆子
壱岐は今金波銀波の秋の波     長野いづみ
かなかなや境内抜けて美容院     金澤道子

第二句座  席題 (鷹渡る 花野 新豆腐)

【特選】 

見納めの翁と杜国鷹わたる      大場梅子
豆腐屋の喇叭なつかし新豆腐     安藤 文
新豆腐はや昼酒の盛り上がり     上俊 一
鷹柱ほぐれほぐれて渡り出す     金澤道子
瑳珴面を買ふて夕べの新豆腐     西川東久
早起きの暮らし幾年新豆腐      西川遊歩

【入選】

海峡を真つ黒にして鷹渡る      吉田順子
雲中に割り入る心地新豆腐      仲田寛子
ひもすがら座つてゐたき大花野    城田容子
夢にまた見知らぬ邦の大花野     越智淳子
ミサイルの空ゆうゆうと鷹渡る    安藤 文
鷹渡る鳥なき里と思ひしが      上 俊一
新豆腐子がうれしげに買ひ来る    臼杵政治

(篠原隆子記)


東京句会(30日、江東文化センター、15名)

大谷主宰選

特選
草の花ここらに昔鯉生け簀     菅谷和子
十五夜の草よりとりて虫籠に    神谷宣行
鵜は籠に羽を休めて月今宵     わたなべかよ
賜りぬ壱岐の園田の今年米     神谷宣行
秋簾月光通しやすきこと      丹野麻衣子
酒酌みし骨よく燃ゆる牧水忌    西川遊歩
逆光の影や炎や鵙の贄       西川遊歩

入選
十六夜の舟となりたる鵜舟かな   大平佳余子
星涼し貰うひ風呂せし幼き日    上野美子
抱一の秋草を風渡りけり      長野いづみ
月まどか文豪はみな猫が好き    神戸秀子
瓢の笛吹いて国栖の子しやくれがほ 神戸秀子
水澄めるこころや母とよく笑ひ   神谷宣行
隣りあふ肘の鋭し月の宴      平野晧大
へこき虫わつくさと言ふわが故郷  大場梅子
石段に使はれ墓石冷まじや     仲田寛子
曼殊沙華岩打つて波届かざる    神戸秀子
秋の蝶愛のほつれを結ふごとく   関根千方
分別をなくした闇に蚯蚓鳴く    吉田順子
猿が来てつぎつぎと柿落としゆく  大場梅子
花野へと急ぎてかしぐ小海線    菅谷和子
わびすけの花は小さし実も小さし  丹野麻衣子
はたらきし馬に手向ける桔梗かな  大場梅子
子ら呼んでわが家の秋刀魚まつりせん 神戸秀子
烏瓜ころげて今日の月あがる    丹野麻衣子
運動会韋駄天父に母は惚れ     長野いづみ
秋の灯やわが家あるかと曲がる角  神谷宣行
麻雀の差す指白し秋の陽に     上野美子

第二句座
席題「飛蝗」「菊人形」「落花生」

特選
とんで出てきちきち曾良の墓はやす 丹野麻衣子
きちきちや掘り捨てられし芋を踏む 平野晧大
敦盛の笛吹くさまに菊人形     大平佳余子
くびれたる胴うつくしや落花生   神谷宣行
ぱちぱちと朝の身仕度菊人形    西川遊歩
菊人形禿げしところに虻止まる   平野晧大

入選
子の丈を超えてきちきち帽子まで  神谷宣行
落花生噛むやぼーんと時計鳴る   平野晧大
蔓引けばしぶきのごとく飛蝗散る  関根千方
背を飾る菊は葉だらけ菊人形    仲田寛子
菊人形翁の手をとる杜国かな    菅谷和子
土の中くすくす笑ふ落花生     大平佳余子
きちきちの飛んですずめに食はれけり 菅谷和子

(関根千方記)


埼玉句会(24日、埼玉会館、5名)

秋めけるホットミルクにシナモンを  市人
痛きまで澄み渡りけり松手入
勝つて泣き負けて涙の相撲かな   靖彦
秋扇ひらきて一句したためん
せつせつと枯淡の風を秋扇      宣行
くびれたる銅うつくしや落花生
ニュータウンは限界集落いわし雲   すみえ
何やるもうまくいかぬ日秋団扇
落花生割つて憂きことなきごとし    ゆき
てにをはの助詞が大切ピーナッツ

(萬燈ゆき記)


鎌倉吟行句会(3日、おんめさま大巧寺から妙本寺、9名)

8月は休会としたので、2か月ぶりの吟行句会でした。

第一句座:吟行句・雑詠句
白粉花母の命日巡りくる     益美
参道も抜け道ならむ秋日傘    和華子
露草は露ひと粒の命かな     英樹
ぱつたりと風のやみけり酔芙蓉  美津子
鎌倉や少しさびしき九月かな   恵美子
青銅の大日蓮像秋あつし     淳子
秋の雲映してしづか滑川     道子
二百十日いまはの蟬のたぢろがず はるみ
夫に家事まかせ出掛ける蓮は実に 侑子

第二句座:席題「敬老の日」「鯊」
敬老の日などと言はれ腹八分   はるみ
艫で五尾舳先で十尾鯊の舟    道子
老々で席ゆづり合ふ敬老日    淳子
赤シャツも青シャツも居る敬老日 英樹 
敬老の日よいつまでも下つ端で  和華子
碁敵の待つた連続敬老日     美津子
まんぢゆうを貰ひてうれし敬老日 侑子
大食ひと大酒呑みの敬老日    益美
夫ごきげん甘露煮楽し鯊を釣る  恵美子

(長井はるみ記)


東京・神奈川吟行句会(9日、お鷹の道と殿ヶ谷戸庭園、8名 )

吟行句の10句より

やうやうに地球は冷めて水の秋 淳子
すいつちよの水欲し水を声高に 
楽すれば楽を覚えていわし雲  侑子
水たまり水のむ虫の露けしや
伽藍さへ包み込みたる白露かな 千方
松虫に寝て鈴虫に起こさるる
乱れ咲く萩や嵐の名残りさせ  宣行
ひるがへす雨の翼や野分あと
青く固くまだ世になれぬ新松子  和子
赤松の皮はがしゆく野分かな
湧水のここにも秋を探るひと  秀子
ばつたんこ鳴りては青のまされるよ
つくつくし國の字のよき國分寺  京子
本多姓ばかりの道や水澄みて
精いつぱい生きて名残りのほたるかな  梅子
数珠玉のはじけて飛んで浄土へと

(大場梅子記)


愛知吟行句会(14日、藤前干潟)

残暑厳しい中、あおなみ線に乗って、海に行きました。ここは、ラムサール条約に登録されている干潟が広がっています。まだ、渡り鳥は多くありませんでしたが、いろいろな鳥を見ることができました。のんびり鯊を釣っている人にも会いました。稲永ビジターセンターで句会。

世に遠く干がたに遊ぶ鴫の群     恵美子
地球いま壊れてしまひ秋出水     春日美智子 
秋暑し泥の匂へる鯊を釣り      楓
つぎつぎに釣れる小鯊や秋干潟    沙羅
朝露を踏んで始まる句会かな     尾燈子
甘露煮は鯊がよろしと竿捌く     正博
草にとび草のふりするバッタかな   通江
また釣れたまた釣れたまた鯊の潮   雄二
(稲垣雄二記)


京都句会

古志京都句会9月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。 

9月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(案山子)、木下洋子さんのエッセイ(月の俳句)、そして竹下米花さん作の絵手紙(新生姜&新豆腐)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。14名参加。

名を持てばいよよ頼もし案山子かな   久美
金継ぎの皿を流るる秋の川       悦子
闇深き方へと放つ籠の虫        美那子
北山の良き水得たり新豆腐       りえこ
秋遍路豊かな国のただ中を       英二
錆鮎の花と錆びたり吉野川       忠雄
秋風や振り売りの声厨まで       佳澄
戦争の隅に冬瓜転がされ        雄二
新生姜つちの光や大地の子       初男
悪妻の名を恣葡萄食ぶ         米花
月読と契りしあかし花茗荷       嘉子
新生姜甘酢に漬けて花の色       (木下)洋子
子と数ふ一から十五良夜かな      美恵子
捨てられて優しき顔の案山子かな    茉胡

対面句会は、9月20日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座8句出句(席題「体育の日」「良夜」「秋深し」「鴫」「秋彼岸」「芋茎」「茸飯」「秋の水」)7句選。4名参加。

存へて太郞花子や秋の蝿        りえこ
残生の胸せつせつと鴫の声
咲き初めし萩のことなど片便り     いほり
ばすばすと芋茎を切りて大鍋に
いきさつは知らぬ存ぜぬ屁放虫     佳澄
肩揉もか娘宣ふ良夜かな
真つ先に吾が入る予定墓さやか     茉胡
消化試合かくものんびり見る良夜

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:mako10himu6@nifty.com  
(氷室茉胡記)                    


奈良句会(26日 夏雲システム 12名)

 案山子ほど真直ぐ立つてみたきかな 久美
 谷から湧き山から注ぐ虫時雨    正子
 リハビリの夫に合はす歩照紅葉   まこ
 百遍の南無阿弥陀仏鯊捌く     雄二
 露の身の露を払ひて闊歩せん    忠雄
 曼珠沙華卑弥呼の髪の赫けり    悦子
 人混みに神輿隠るる秋祭      美那子
 もの想ふ人に戻りし秋の風     洋子
 秋薔薇しょうべん小僧の音軽く   まち
 ほがらかな声があちこち花野風   淳子
 叢に深く沈みて秋の蝶       豊
 栗ご飯豊受姫へまず一膳      りえこ

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、きだりえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:kidarieko@kcn.jp   
(きだりえこ記)


大阪句会

メール句会(雑詠7句出句、5句選)

大の字が畳に三つ昼寝の子      久美
あこがれは花火の見える高層階    みつこ
青年の面影のまま扇置く       りえこ
蝉の声に迎え送られ並木道      泰子
階涼し老いも万歩の永平寺      美栄子
長々と残暑寝そべる大八洲      美那子
闇深く破調にかはるねぷた笛     百合子
やはらかに風まとひくる初秋かな   豊
今更に母の忠告唐辛子        茉胡
面会に笑う母の目白桔梗       誠
戦時下の人を思うてちちろ鳴く    洋子
干あがるも溢るる川も厄日かな    歌子
白雲へ梯子伸ばさむ松手入      陽子

席題Zoom句会 席題(鳳仙花・露・蜻蛉)3句出句、3句選

鳳仙花笑ひ出したら止まらぬ子    歌子
幅跳びは畑の遊び鳳仙花       みつこ
しわの手を握り眺めし鳳仙花     誠
湯殿山露もしとどの行者道      りえこ
露の世や一生懸命生きてきて     美那子
公園を抜けて近道露に濡れ      泰子
決心の行つたり来たり赤とんぼ    洋子
蜻蛉や戦しづめる風起こせ      百合子
行く水に瑠璃落としゆく蜻蛉かな   豊
群青の夢よりさめて蜻蛉かな     久美
(木下洋子記)


松山句会(8日、メール句会、9名)

兼題:帰省子、原爆忌、片陰、空蝉、曼珠沙華 5句出句5句選

語り継ぐ語り尽くせぬ原爆忌     紫春
モンローと帰省するとは知らざらん  真樹子 
炎炎と炎炎炎と曼殊沙華       まさし
片陰や君住む街に憩ふとき      夕未子
片蔭に挨拶交す豆腐売り       伊都夫  
帰省して空なつかしくあたらしく   陽市 
帰省の日やっとかめぶり迎ふ祖母   博山 
片蔭に何度も戻る部活動       薫 
戦死者の報空蝉の累々と       まこと 
風に揺る空蝉の眼はがらんどう    伊都夫 
二階にも灯のかうかうと帰省の夜   陽市  
片蔭に老婆三人魔女ひとり      まさし 
隙間なく青塗りたきや原爆忌     真樹子  
空蝉やそうっと見つけてそうっとして 夕未子
異国より帰省せし子の頼もしく    薫
曼珠沙華ここを始めに風の旅     真樹子
どこまでも影ついてくる原爆忌    まこと 
(木下まこと記)  


福岡句会(23日、油山にて鷹の渡り吟行)

観音の慈顔あまねし鷹わたる     民也
家苞は二枚の紅葉油山        緑
鷹渡るわれの渡りは一度きり     悠
洗濯物よく乾く日や鷹渡る      國光
鷹渡る渋滞もなき青き空       祥子
ジェット機と翼を並べ鷹渡る     龍梅
鷹舞へるまなざしはるかはるかなる  和子
ばつた飛ぶ弾む声飛ぶ展望台     久子
鷹渡る人の暮らしを見おろして    真知子
(斉藤真知子記)


長崎支部(22日 まり庵 参加8名うち2名はメール参加)

当季雑詠
深閑と骨壺坐る秋ともし      なおよ
父ちゃんの服着て案山子仁王顔   順子
休暇明け少し見知らぬ人となり   美智子
リハビリや浦上川の柳散る     玲子
鳴く虫や思ひ思ひの間のありて   まり子
月見草異国の土に還る友      文
彷徨へし魂の標や月の道      睦美
英彦山や去来見送る群薄      弘美

席題:秋の七草・敬老日
鎌倉路秋の七草教えあひ      文
尾瀬歩く秋の七草数えつつ     まり子
飴入れの巾着作るや敬老日     なおよ
秋の七草籐籠を選び出し      美智子
柑橘のハンドクリーム敬老日    玲子
小鳥鳴く誰を呼ぶのか敬老日    弘美
憶良よりうまく唱えの秋七草    睦美
もう誰も渡す人無し敬老日     順子
(ももたなおよ記)


熊本句会(国際交流会館 4名)

第一句座

捨てられし競馬新聞露けしや    佐介
野紺菊小さき国のままが良き    佐介
月青し句座数々の思い出よ     裕子
勇ましき武者返しにも野菊かな   裕子
八月や百円玉のひんやりと     茉莉子
廃線の線路は熱き秋に入る     茉莉子
大家族いまは散りぢり栗ご飯    榾火
鬼つ子も四十を過ぎぬ唐辛子    榾火

第二句座(席題 虫、紅葉狩り)

沖合をクルーズ船や虫の闇     佐介
虫鳴くや網戸の穴はそのままに   茉莉子
思ひつく限りの言葉紅葉狩り    榾火
(記 今村榾火)

              

     

                 

                                        

           

                                                         

       

     

          

 

 

 

 

 

 

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