2023年6月句会報告

Zoom句会


郵便句会

大谷弘至主宰選

◎特選

滴りや利休が汲みしその水も      小島楓
明日葉のすがすがしさや朝の汁     白石勉
戦へば百万本の薔薇崩る        春日美智子
尻上げて下げて親真似からすの子    白石勉
零歳背負ひ一歳抱きし遠き夏      伊達公子
つめすぎて何か飛び出す冷蔵庫     藤井洋子
サングラス意気の上がりし気分かな   梶原夕未子
小町通り一光さんに会へぬ春      土筆のぶ子
ひとつづつ抜けてゆく身や羽抜鳥    梶原夕未子

○入選

ふんばりあつて引く草の根とわれと   関君子
雲海や寝釈迦の鼻の高々と       北野沙羅
黒南風や小舟は浜に伏せられて     上俊一
車前草や老いて野良猫すごすごと    水谷比嵯代
五月闇野天風呂へと野を渡り      神永秀郎
南国の太陽ここにパイナップル     加藤久子
母の日や子等よりチャリのヘルメット  北野沙羅
青蛙花粉をつけて花となり       山下充子
洗ひをりサーフボードもシャワーにて  田中尚子
ほろ酔の君よ早寝よ夏蒲団       山下充子
明易や厠の把手まさぐり出       西川東久
弟と見しことはるか花あふち      伊達公子
煮崩れの鰺をきれいに食ふ女      上俊一
肩先に螢がひとつ君ならん       加藤百合子
春寒き小町通りの人の中        土筆のぶ子
籠められて己が心もさみだるる     加藤百合子
烏賊釣の人より買つて烏賊を割く    土筆のぶ子
わが町の最後の一枚けふ田植      関君子
どの家も紫陽花咲かせ農繁期      春日美智子
万緑の一葉余さず那須の雨       白石勉
モネが好き青水無月と聞けばなほ    小島楓
(氷室茉胡記)


深川句会 (14日/17名)

 大谷主宰 選

第一句座

【特選】

初恋の相談にのる端居かな      仲田寛子
天国に飽きたところや昼寝覚     仲田寛子
ビール乾す隣りに越してきた人と   仲田寛子
さみだれの国に生まれてみどりごよ  篠原隆子
鯵割いて交はりあはき浦と浦     篠原隆子
羽抜けしことさへ忘れ鶏はゆく    大場梅子
するすると蛇の近づく浮巣かな    大場梅子
水馬の水輪に水輪戦なく      谷村和華子

【入選】

あの星の水を湛へよ濃紫陽花   谷村和華子
母真似て笊にごろごろ梅仕事   谷村和華子
龍神様目覚める頃か今年鮎    谷村和華子
生臭き刈藻に染まり刈進む     菅谷和子
逆鱗に殻失ひてなめくじり     菅谷和子
田植機や泥に沈まぬ不思議さよ   西川遊歩
ネギ盛つて部下を励ます泥鰌鍋   西川遊歩
そらまめや好きな子のこと話してよ 仲田寛子
一花一花詩をつみあげ捩花は    仲田寛子
養生の柏槙もあり夏木立      金澤道子
ひなげしや服買ひたしと白寿の恋  神谷宜行
ため息はによきによき梅雨の茸へと 大場梅子
蕉翁の若き日いかに季吟の忌    越智淳子
困憊の果てのよろけや田を植ゆる  園田靖彦
父の日や戦死の父の声しらず    吉田順子
〇△□ハングル語涼し      長野いづみ
年輪を重ね涼しき樹となりぬ    城田容子

第二句座 席題 (夏越の祓 青山椒 父の日)

【特選】
父の日や戦死の父に抱かれたき    吉田順子
端正な文字の色褪せ父の日よ    谷村和華子
父の日の父はいつものパチンコ屋   城田容子
詩の空にぴりと切れ字や青山椒    篠原隆子

【入選】
父の日のあるも知らずに父は逝き   上 俊一
昭和には戦前戦後青山椒      片山ひろし
伊賀人の生きてしたたか青山椒    篠原隆子
わが家の薬代りや青山椒       篠原隆子 
父の日や父が迎へに来てくれて    金澤道子
父の日や贈りし時計いま形見     西川遊歩

(篠原隆子記)


埼玉句会(24日、埼玉会館、6名)

死がありてこその生き物蚊を打てり   市人
石棺の中はからつぽ青あらし
脳天にしづく一滴河童の忌       靖彦
それぞれにお国自慢や冷さうめん
脳に棲む黴の増殖切りもなし       宜行
人生は呆けるが勝ち冷さうめん
ことさらに念を押さるる暑さかな    つねお
元気なり昭和生まれの扇風機
来し方はなべて成りゆき蝸牛
山風に吹かれて啜る冷さうめん
龍太てふ大樹ありけり雲の峰      ゆき
大樹また命をかさね梅雨に入る

(萬燈ゆき記)


東京・神奈川吟行句会(10日、戸定邸、6名)

第1句座   (吟行句)

実梅落つ時代の波にあらがはず     梅子
世が世なら今つつましく吊忍
大座敷開けよ青芝ひろびろと
うたかたの巴里を夢見て明易し      宣行
病みてまた強くなられし虞美人草
変転の宇宙なれども蟻の道
夏雲や槙の齢の測られず          秀子
梅雨茸マグマのいろを誇りたる
青桐の揺れて鳳凰待つばかり
グリーン車に乗つてみたいな蝸牛     侑子
更衣けさはリッチにグリーン車
二三枚ハンカチしかと外出す
腹ごしらへだけはできたぞ濃紫陽花    京子
二葉葵今に残して梅雨の空
美意識や日本家屋に青芝生
涼風や欄間に葵の透かし彫り        和子
ハイカラなプリンス徳川夏帽子
大緑蔭ただひともとの楠大樹
 
第2句座 (席題  水遊び・ サングラス・ 冷酒)

敗戦の国にづかづかサングラス       梅子
大将をねらつて行くぞ水戦
横浜に生まれ育ちてサングラス        秀子
水遊び電車通れば手を振つて
水遊び小さき足に大き声            京子
グリーン車どこにしまおかサングラス
口びるの青くなるまで水遊び          和子
知られてはならぬ恋してサングラス    
冷し酒酌んでのぞくや己が闇          宣行
あの子撃て恋の始まり水合戦
水遊びうるさき婆に当たりけり          侑子
饒舌の父の機嫌や冷し酒  

(大場梅子記)


鎌倉吟行句会(4日、北鎌倉明月院、8名。)

第一句座:吟行句・雑詠句7句出句、5句選
蟻の穴出れば働くほかはなし   益美 
蟻地獄探すこころの地獄かな   美津子 
苔に花咲く山からのしぼり水   道子  
あぢさゐを泳ぐが如く寺めぐる  英樹 
紫陽花の奥また奥へいざなはれ  はるみ
紫陽花につつみこまれし青い服  恵美子
歩いても歩いてもあぢさゐ    侑子   
紫陽花や大和は水の国となり   和華子 

第二句座:席題「玉葱」「雲海」で3句出句、3句選
新玉葱甘く鋭き白は罪      和華子     
玉葱を魔除のやうに吊りしをり  英樹   
雲海の蒼く染まりぬ月の山    美津子    
雲海や展望台に赤ポスト     はるみ 
新玉葱まるごと二つコンソメ煮  益美   
たまねぎの皮を剥くたび涙枯れ  恵美子  
ゆつたりと雲海抱き富士の立つ  侑子  
舟を吊り玉葱を吊り深廂     道子

(長井はるみ記)


愛知吟行句会(8日 名古屋市熱田神宮)

梅雨の日々の合い間、偶然の曇りの中、各自神宮の杜を吟行。12時に拝殿前に集合し、宮きしめんを食べて、熱田図書館へ移動、句会。

空おほふ楠千年の若葉かな     恵美子
神がかる熱田の杜の羽抜鳥     春日美智子 
水無月の二十五丁橋ドッコイショ  楓
宮参りの赤子すやすや花菖蒲    沙羅
梔子一花寄る年のひとりごと    正博
楊貴妃の墓は石塊木下闇      雄二 
(稲垣雄二記)


岐阜句会(22日 岐阜市西部福祉会館 5名)

第一句座 兼題(芭蕉布、梅雨,擬宝珠の花)
芭蕉布の帯締め句会気も新      上松美智子
梅雨入りや太鼓のけいこ始まるよ   春日美智子
梅雨晴れ間奥歯ポロッととれしかな  沙羅
人がらは静かに笑むや花ぎぼし    通江
芭蕉布の風をまとふて媼かな     恵美子 

第二句座 当季雑詠
母と子のまことに似たりさくらんぼ  上松美智子
一枝で籠華やげり七変化       春日美智子
飛ぶやうに白雲行くよ立葵      沙羅
園庭のびは食ぶ砂に腰おろし     通江
朝夕に自慢の青田見廻りぬ      恵美子
(梅田恵美子記)


京都句会

 古志京都句会、6月はいつものとおり、通信句会と対面句会を実施しました。 
 原則として、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定ですが、来月は、前主宰にお越し頂いての祇園会句会がありますので、対面句会はありません。8月以降、対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。

 6月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(5月24日分)と、米花さん作の絵手紙(里芋の葉)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。13名参加。

あをあをと声ゆきわたる植田かな   久美
芋の葉の畔うつくしき八瀬の里    忠雄
丁寧な一人暮らしや栗の花      美恵子
六月の山河荒ぶる大和かな      悦子
妻とゐて涼しき暮らし夕の雲     雄二
はるかなる虹へと麒麟歩みゆく    りえこ
天然の風の音聞く江戸風鈴      美那子
すり抜けし青龍の穴籠枕       陽子
僧坊の長き廊下や夏の足袋      佳澄
夏の川流れし地雷幾万ぞ       嘉子
グラジオラス剣をかけたる恋もあり  英二
泰山木の花の舟漕ぐ夏の夢      初男
バイブルを住処としたる黴の花    茉胡

 対面句会は、6月21日(水)こどもみらい館で実施。第1句座当季雑詠5句出句5句選句、第2句座席題(「簾」「夏痩せ」「三伏」「キャベツ」「泥鰌鍋」「梅干」「片蔭」「三光鳥」)8句出句7句選句です。4名参加。

再会はかなはぬままに梅雨の月   (木下)洋子
三伏の闇銃口の光りけり
天地を押し広げてや百合開く     りえこ
甘藍をほどけば銀の雫して
東山の峰々眺む涼しさよ       豊
白川の瀬音の高きすだれかな
銀閣に今なほ噴井茶を点てむ     茉胡
余生とて紆余曲折や泥鰌汁

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:mako10himu6@nifty.com   
(氷室茉胡記)                  


奈良句会(27日 夏雲システム 11名)

郭公や家の骸を草が呑む      雄二
炎昼のバスのんびりとやってくる  美那子
青葡萄雨をはじいて粒そろふ    正子
亡き夫の靴を履く子と富士登山   まこ
炎昼の大地を跳ねて大鴉      悦子
みずうみの風やはらかに夏料理   豊
炎昼やラジオの音はいづこより   淳子
郭公や山のホテルの電話から    まち
囲まれて水底のごと濃紫陽花    忠雄
大瀬戸の夕凪ぎにけり冷素麺    久美
炎昼の海へと流す汚染水      りえこ

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、きだりえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:kidarieko@kcn.jp 
(きだりえこ記)


大阪句会

メール句会 雑詠7句出句、5句選

帆のごとく袖はためきて立夏かな   みつこ
夏めくや老い溌剌と弥次と喜多    美栄子
タグボートのエンジン音や夏来る   百合子
夏の朝一つの窓に明かりと人が    泰子
薔薇の花眼の高さにや車椅子     誠
麦秋のキーウへつづく空ならむ    久美
遺されて掛香は香を忘れけり     陽子
み熊野の清水でこころ漱がばや    りえこ
山風も川風もきて夏料理       豊
推敲のたびに寝転ぶ夏の風      美那子
青嵐大樹の径をいそぐひと      歌子
ありがたきバナナ年金生活者     茉胡
冷奴言訳なんぞやめなはれ      洋子

Zoom席題句会 席題(冷素麺・裸)3句出句、3句選

庭のもの薬味に刻み冷素麺      歌子
ざくざくと葱は山盛り冷素麺     久美
冷素麵大三輪の水くぐらせて     りえこ
冷さうめん氷浮かべし盥桶      誠
そつと子に分ける索麺流しかな    茉胡
母の家に母居ぬ不思議冷さうめん   陽子
老いははや肩のあたりに裸かな    美那子
海光や裸の子にはやはらかく     みつこ
裸子をやつと掴へ髪を拭く      洋子
(木下洋子記)


松山句会(15日 メール句会 11名)

兼題(五月闇、梅雨入り、羽抜鳥、箱庭、サングラス) 5句出句 5句選

農休の静かなる日や梅雨に入る     まさし 
箱庭を作りし日々のよみがえる     夕未子 
被爆者のこころ届かず五月闇      伊都夫  
箱庭に見慣れぬ青が二つ三つ      和弘 
掃除機のやけに重たし梅雨に入る    真奈美 
国民のながいちんもく梅雨に入る    陽市
箱庭に子らの帰りを待ちにけり     真樹子
この夕日この身に浴びて梅雨に入る   紫春 
碑(いしぶみ)にけかちの記憶五月闇  まこと 
川下をおもんばかる夜梅雨に入る    陽市 
箱庭に置く想ひ出の石一つ       まさし   
羽抜鳥男ひとりの立つ厨        伊都夫   
取り戻したきあの日々よサングラス   和弘 
五月闇千手観音一千体         真樹子 
サングラス海の淋しさ極まれり     伊都夫  
悲しくて仕方ない日のサングラス    真奈美  
箱庭に夕日の落ちてゆきにけり     まこと  
(木下まこと記)


福岡句会(24日 あいれふ)

第一句座
早苗饗やまづ村長が浮かれ出て     民也
とば口を摘んで山盛り桜桃       伸一
金星や吹かるるままの洗ひ髪      久子 
遠き日の水のにほひやほたる籠     和子
二階家の絵すだれ美女を隠すかな    國光
大楠の真中を落つる西日かな      緑
エプロンにずしりと沈む夏蜜柑     幸子
お隣のいびき快調昼寝かな       悠
冷奴笑はぬ父の写真かな        真知子 

第二句座 (席題:夕立、白玉)
白玉や縁側に足ぶら下げて       緑
街洗ふ夕立見てをる東口        民也
夕立の勢ひに乗るシュートかな     悠
夕立晴視野の広がる心地かな      久子
夕立来る佳境へ入る野外劇       真知子
(斉藤真知子記)


長崎句会(23日 まり庵 9名 うち3名はメール投句)                  

当季雑詠 5句

新茶市には元気やったね声が飛ぶ   文
荒梅雨や列車を止めて人の波     順子
翡翠の漁に力を貰ひけり       なおよ
さくらんぼ星になりたる友偲ぶ    弘美
時の日や電池替へつつサファイヤ婚  まり子
扇風機湯上りの子を前に据ゑ     美智子
朝もやの河原の主よ白き鷺      睦美
点滴の滴の先の五月晴        玲子
鳰どりや過ぐれば閉づる菱のみち   瑠衣

席題2句(梅雨明け・髪洗ふ)

断捨離のはかどらなくて髪洗ふ    文
洗ひ髪そのまま夜空浮遊せん     なおよ
梅雨明けや富士の天辺清々し     弘美
梅雨あがるひときは澄みて空の青   まり子
韓ドラを全話見終はり梅雨明ける   美智子
断捨離の終はりは見えず梅雨は明く  玲子
梅雨明けを待ちわびてをりサンダルよ 睦美 
梅雨明けや白より白き雲湧きて    瑠衣 
(米山瑠衣記)


熊本句会(国際交流会館 4名)

第一句座
青梅やお礼参りをやうやくに     裕子
鯰には童謡も無し髭動く       裕子
足跡の一直線や海の家        茉莉子
香水や退職届握りしめ        茉莉子
粥煮ゆる甘き匂ひの梅雨入かな    佐介
鴎外の墓にも参る桜桃忌       佐介
六月の市役所暗く雨しとしと     榾火
高層の一階に棲み梅雨鯰       榾火

第二句座(席題 風薫る、紫陽花)
空つぽの女王の墓や刺繍花      茉莉子
余生なほ覚束なくも風薫る      佐介
風薫る島にひとつの信号機      榾火
(記 今村榾火)

 

               

 

 

 

 

 

      

 

 

 

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