2023年5月句会報告 

Zoom句会


郵便句会

大谷弘至主宰選

◎特選

雨草履違へて帰る風炉開き        北野沙羅
来し方や薔薇見るたびに蘇る       神永秀郎
喉みせて大喝采の蛙かな         山下充子
薫る風今日のギブスに今日のあり     神永秀郎

○入選

山芍薬やつと四年の一花かな       北野沙羅
菖蒲湯や五木で摘みし蓬足す       北野沙羅
踏んでゆく蔭の明るき初夏の街      加藤久子
中央線木香薔薇も色褪せて        水谷比嵯代
山法師咲いて大寺裏鬼門         小島楓
摩耶山に座してしばらく木下闇      加藤百合子
北南むかしさかしま青き踏む       関君子
母の日の電話の声のいとしさよ      土筆のぶ子
雨に出て帰る当てなき蚯蚓かな      白石勉
弥勒仏御身細しや釣鐘草         田中尚子
湖へ梨の花咲く畑を抜け         伊達公子
忌日なり姉の紫陽花咲き満ちて      伊達公子
晴れ上がり八十八夜の花嫁御       加藤妙子
末客は鍾馗の茶碗風炉開き        北野沙羅
夏よもぎ鋸山を低うせる         白石勉
葉桜やここに尾張の腑分けの場      小島楓
孒孒よその魂のありどころ        上俊一
まくなぎよならば顔なぞ呉れてやる    上俊一
ひきがへる声のみなれど初見え      加藤百合子
遠蛙お歯黒壺の耳二つ          水谷比嵯代
箱車筍買ひに母八十路          水谷比嵯代
巻き方をいろいろ変へて春ショール    藤井洋子
空は小降りに囀りはもう待てず      関君子
この野辺に遊ばぬ理由みつからぬ     関君子
小鳥の巣見れば親鳥帰り来ぬ       田中信爾
(氷室茉胡記)


深川句会 (10日/ 19名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

烏賊船もダイヤのひとつ夜景かな  長野いづみ
若楓軽さひときは風のなり      越智淳子
とりどりの色の蜘蛛の子石の上    越智淳子
天神の怒り鎮めて梅は実に     木下まこと
母の日や支へくれたる子等がゐて   吉田順子
柏餅食うて冥途へ元気良く      神谷宜行
炭酸のげつぷはじけて夏に入る    仲田寛子
退屈な脳をあかるく更衣       仲田寛子
時鳥けふも文書く蓮如かな      菅谷和子
円覚寺さんと地続き竹の子掘る    金澤道子

【入選】

薫風や翁と共に旅立たん       吉田順子
菖蒲湯にひたり匂ひの君になり    上 俊一
溝浚へ転校生の母も来て       西川遊歩
近道や蝮注意の暴れ文字       西川遊歩
おさそひは竹の子掘りに来ませんか  金澤道子
匂ひたつ薔薇の門より入り来たれ   萬燈ゆき
仏吹き大雪渓もひと吹きに     丹野麻衣子
翁流上衣は肩へ更衣         西川東久
燕の子戦争の意味知らざりし     西川東久
粽結ふ膝をくつつけ婆さまと     服部尚子
鉋屑飛び交ふ中に三尺寝      片山ひろし
人間は見捨てられしか蛇の衣    木下まこと
南無阿弥のどなたの墓も苔の花    篠原隆子
小鯵ずし島田の酒をかたはらに    篠原隆子

第二句座  席題(鮎、扇、薔薇)

【特選】

薔薇挿せばぴしと目覚める他の鉢    越智淳子
竹の骨硬きを開き舞扇         越智淳子
囮鮎手ばやく竿につけくれし     丹野麻衣子
囮鮎売るよ国道曲がるたび      丹野麻衣子
手練たる恋の扇かまくれなゐ      篠原隆子
能果ててこの世に残す扇かな      篠原隆子
絶望や骨を抜かれし鮎にして      上 俊一
薔薇百本置かれ路駐の座席かな    長野いづみ
白扇やひと拒むにはあらねども     金澤道子
鮎膾五ヶ瀬の水はおそろしき     木下まこと
真紅とは黒より生るる薔薇のこと    菅谷和子

【入選】

扇閉ぢ君は一句を得たらしく      仲田寛子
扇ありて爺の説教さまになり      上 俊一
嫁入りと共に来し薔薇いま満開     吉田順子
詰み筋の見えておもむろ扇閉づ     西川東久
若き手の扇ピシりと盤に置き     長野いづみ
多摩川の武相境や鮎の宿        越智淳子

(篠原隆子 記)


東京・神奈川吟行句会(13日、小石川後楽園、4名)

今年竹雲をつつけば雨来る  宣行
初夏の雨に眩しき草のいろ
雨しづく若葉を弾み大地へと
水すまし雨にまけじと輪を描き  和子 
雨降ればざはざはさはぎ山法師
死期知らぬ我らしぶときどくだみ草
指差してくれて見つけし実梅かな 侑子
リーダーのゐない五月の吟行会
薫風や東京にある竹生島
青鷺の飛翔この園統べるかに   道子
雨粒を置く睡蓮の葉に花に
見ゆるものみな緑なり雨上る

第二句座(蟻、梅酒、夏館)

夫亡くて琥珀の色増す梅酒かな  道子
帆船のステンドグラス夏館
夏館ホルン響ける草原に     宣行
蟻見つめ蟻は俺なり蟻となる
灯点して恋のほのめく夏館    和子
かの首相すわりし椅子や夏館
畳間に椅子とテーブル夏館    侑子
蟻の列垣根をこえて隣家へと

 (神谷宣行記)


埼玉句会(28日、埼玉会館、5名)

俗にゐて俗に染まらず白絣       市人
デジタルの外に身をおく甚平かな
人の世の末こそ大事羽抜鳥       靖彦
快心の一句得たりぞ白絣
衣更へて花の蕾を胸のうち        宜行
白地着て胸の静けさ水のごと
艶よりも艶なるものに白牡丹      つねお
またしてもばらの香りに酔はされて
引きこもる昏き鶏舎や羽抜鶏      ゆき
いやまさか羽抜鶏と呼ばれゐたるとは

(萬燈ゆき記)


愛知吟行句会(12日 名古屋市東別院縁市)

四月は雨の予報(実際当日は豪雨)で中止したので、二か月ぶりの吟行になりました。楠若葉・葉桜の下、薫風に吹かれ、色々な露店を見て回りました。その後、近くのレストランで食事をし、句会。

葉桜やビルの谷間の寺の市      恵美子
刃物屋のおじさんゐねむり若葉風   春日美智子 
山法師咲いて大寺裏鬼門       楓
はつなつの風に吹かれて市めぐり   沙羅
薄暑光ブルーベリーを一つまみ    尾燈子
試し斬りの怨念ありや山法師     正博
宝物探してうろつく初夏の市     通江
金出せばその場で突くや心太     雄二
(稲垣雄二記)


岐阜句会(25日 岐阜市西部福祉会館 5名)

第一句座 兼題(夏服、花菖蒲、蛍)
夏服の目にまばゆきや二の腕出    上松美智子
一本の竹の精なる姫蛍        春日美智子
殿様蛙踏んばつてゐる菖蒲園     沙羅 
明け方の闇色が好き花しやうぶ    通江
バスを待ち夏服ならぶ校門前     恵美子 
 
第二句座 当季雑詠
堆肥穴より足あげ損ね転ぶ夏     上松美智子
渡し来て結びの地なり花しやうぶ   春日美智子
ヒメボタル木々の間より合図せり   沙羅
かたつむり手のひら散歩胡瓜やる   通江
春祭子供歌舞伎の大あくび      恵美子
(梅田恵美子記) 


京都句会

 古志京都句会、5月はいつものとおり、通信句会と対面句会を実施しました。 
 来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。

 
 5月通信句会は夏雲システムを利用して実施。古志誌に掲載された私のまきさんについての文章、葵祭の新聞記事、そして米花さん作の絵手紙(絵手紙)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。13名参加。

蚕豆の笑うてをりぬ箸の先       久美
少納言式部もまぎれ賀茂祭       豊
未来といふ遠き風あり鯉のぼり     悦子
下駄履きて路地の奥より夏来る     忠雄
母の日といふ日溜りをもてあます    美那子
蚕豆や大仏様の薬指          りえこ
豌豆むくポンと飛び出る本音かな    佳澄
残り香の悲しきほどにラ・フランス   美恵子
父よりの紙魚そのままに謡本      英二
立ち眩む牛の歩みや賀茂祭       雄二
絵手紙ははみ出して描け清和の日    米花
次庵の切戸押すはまきさん竹の秋    初男
古里に残る選択柿若葉         茉胡

 対面句会は、5月17日(水)こどもみらい館で実施。第1句座当季雑詠5句出句5句選句、第2句座席題(「蝿叩き」「ががんぼ」「忍冬」「五月」「夏の川」)7句出句7句選です。6名参加。

柿の花米屋の猫の欠伸かな       佳澄
ががんぼやとらへどころのない息子
藤揺るる斎王代の御輿かな       洋子
船揺れて夏の匂のメコン川
やあと声牧野先生夏帽子        りえこ
赤ん坊の言葉の増ゆる五月来る
平安の牛車の音や加茂祭        いほり
ががんぼは足六本で考へる
子育て期わが人生の夏の川       美恵子
会へし人皆意味あらん忍冬
猛る馬宥め祭の列進む         茉胡
スリッパがいつも私の蝿叩き

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:mako10himu6@nifty.com 
(氷室茉胡記)                    


奈良句会(23日 夏雲システム 11名)

部屋に黴育ててゐるか夫と子は   まこ
雷鳴やゼレンスキーの立ち姿    忠雄
機関車の汽笛残れり麦の秋     悦子
故郷の闇ゆたかなる踊りかな    豊
もぎたての豌豆友へ箱一杯     まち
川の上競ひて泳ぐ鯉のぼり     正子
どくだみの花勲章のごと闇に    雄二
糸と針と白シャツと子の背番号   久美
国貧し頃より親し濃紫陽花     淳子
紫陽花に色かすかなり雨を待つ   美那子
軍服も軍靴も捨てて更衣      りえこ 

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、きだりえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:kidarieko@kcn.jp 
(きだりえこ記)


大阪句告

メール句会 雑詠7句出句、5句選
羽根はえて空飛ぶ夢の朝寝かな    歌子
御開帳小さくおはす歓喜仏      豊
なにを視る岬の風に佇つ仔馬     百合子
惜春やこの身くまなく医師任せ    美栄子
夫の句を遺して旅へ春の虹      美那子
味噌汁の少し薄めに夏隣       りえこ
米の名にみづかがみとや夏兆す    みつこ
葉桜やはらからなべて不器用で    泰子
鯉幟心のままに生きてこそ      洋子
あすひらく朴のしづけさ坊泊り    久美
やはらかき針となるまで揉む茶かな  陽子
父と出る初めての漁南吹く      茉胡
夢の中うまく蹴りよる夏蒲団     誠

Zoom席題句会 席題(汗・夏帽子)3句出句、3句選

大役の汗ひとしづく斎王代      美那子
汗ぬぐひ語りつづける地震のこと   みつこ
汗十斗かいて呻吟一句かな      りえこ
あと二人フォークダンスに汗ばむ手  誠
コロナ去り今年の汗のちよと違ふ   百合子
返答に窮して汗を拭ひけり      茉胡
席題に汗いきいきと特選句      久美
母の口調真似てままごと夏帽子    洋子
湧きかへるアルプス席や夏帽子    歌子
はるかへとしきりに誘ふ夏帽子    豊
(木下洋子記)


松山句会(20日 メール句会 9名)

兼題:鯉のぼり、蜜柑の花、夏めく、青嵐、薬玉 5句出句5句選

こいのぼり祖父母の笑顔とこしなへ  紫春  
城山を登りて風の青きかな      和弘
夏めく日杖つき散歩の軽やかさ    博山 
段畑の傾斜は天へ花みかん      まさし  
瀬戸内の島に薫りよ花蜜柑      陽市
目の前に浜名湖ありて花みかん    薫   
空のこゑ土のこゑして夏めく日    真樹子
靴紐を結びし遍路に風青し      夕未子  
トンネルを抜けてトンネル花みかん  まこと 
薬玉の華やぎ垂る京屋かな      夕未子
からからと笑ふ青空鯉のぼり     真樹子
薬玉や吾子も白髪になりにけり    和弘
一番列車蜜柑の花を突きぬけて    まさし
夏めくやマチスの赤が際立ちて    紫春 
永遠も刹那もいとし長命縷      まこと 
(木下まこと記)


福岡句会(27日 小戸ヨットハーバー吟行句会)

帆柱の骨休めたるヨットかな    國光
林立の百のマストや夏来たる    和子
風をよみ潮に乗り航くヨットかな  博人
落雷のごと自販機がビール出す   緑
夕凪やヨット談義の老船長     民也
父の日や無言のままに感謝の日   龍梅
波の音わが青春のヨットかな    真知子
(斉藤真知子記)


長崎句会(26日 メール句会 8名 うち2名は欠席投句)                   

当季雑詠 5句

どこを見て話してるやサングラス   順子
カーネーション届ける夜のドライバー   なおよ
湧き起これ夢の数々青嵐        弘美
橅若葉峰走り山満たしゆく        まり子
母の日や好みの花を知らざりき     美智子
青もみじ池に光れり石の庭       睦美
一斉に川のぼらんと鯉幟        玲子
空ばかり見上げて歩く麦畑       瑠衣

席題2句(立夏・月)

雑草の憎き速さや夏来たる       順子
雨上がり匂ひたつ庭夏来る       なおよ
底抜けに明るき子らよ夏立ちぬ     弘美
坂の上白雲立ちて夏来る        まり子
制服のシャツの白さよ夏来たる     美智子
髪留めは空色選ぶ立夏かな       玲子
仁和寺に和歌の響きや夏立つ日     睦美 
柱だけ残る牛舎や夏立ちぬ       瑠衣 
(米山瑠衣記)

               

   

 

 

 

 

 

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