12 月句会報告

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大谷弘至主宰選

◎特選
お歯黒の壺を持ち去る雪女       水谷比嵯代子
鯨よどんな味する乳ならん       山下充子
亡妻の毛糸編機を掃納         神永秀郎
木枯しや荷台に積まれ疎開せし     西川東久
着ぶくれて元気になりていざゆかん   藤井洋子
数へ日や解きて戻せぬ真田紐      加藤妙子

○入選
ブラボーと新時代来よ冬の虹   春日美智子
オカリナの穴それぞれに冬の音     藤井洋子
隅ずみの未練拭はむ煤払ひ       西川東久
炉咄の山姥いまも存ふや        上俊一
冬菊は祈りのかたちウクライナ     小島楓
仰ぎ見るうすき太陽小雪降る      梶原一美
遍路ゆく寒風に荷をひきずりて     梶原夕未子
百歳の座敷わらしと日向ぼこ      小島楓
鳴海より宮へと千鳥波に酔ふ      春日美智子
檻の鷹いまだ眼光衰へず        山下充子
箱開けて故郷の香やいよ蜜柑      梶原一美
広重のごとく時雨れて遍路道      梶原夕未子
鹿寄せの山に響かすホルンの音     白石勉
難解の書に冬の灯の温みかな      加藤久子
好々爺企業戦士の日向ぼこ       山下充子
くつきりと寒紅をひく顔上げて     山下充子
のびのびとはだか欅は美しき      関君子
粉雪を睫毛に載せて下校の子      神永秀郎
年の暮烏にも顔憶えられ        上俊一

(氷室茉胡記)


深川句会(14日、19名)  

大谷主宰選

第一句座

【特選】
枯芦のなかに枯れごゑ枯れすずめ    丹野麻衣子
詠み人の手を振る舟や都鳥       西川遊歩
わが切りしアジビラ三枚古日記     園田靖彦
薪背負ふ与作も老いし師走かな     上 俊一
役終へて火だるまとなる案山子かな   菅谷和子
貼り足してなほも細字や古日記     園田靖彦
黒髪の生えて癒ゆるや木の葉髪     神谷宜行
伐りつめて揚梅の木も冬支度      金澤道子
八十の春を一句に初日記        園田靖彦
耳にぎり野兎一羽剥ぐところ      西川遊歩
あれもこれも捨ててさびしき海鼠かな  大場梅子

【入選】
餅搗くや瑞穂の国の古代米       神谷宜行
晴れがまし庭の柚子けふ冬至湯へ    仲田寛子
櫃入れに赤子寝かせて菜を洗ふ     上 俊一
赤道を三たび越えては鯨追ふ      神谷宜行
大毬小毬春まで眠るやまねかな     菅谷和子
鋤焼や岩津のねぎをぶつ切りに     原 京子
おもたげに冬川流れ夢の島      丹野麻衣子
のど飴が欲しい欲しいと寒鴉      金澤道子
蓮枯れて日々に弓折れ矢も尽きて   片山ひろし
息止めて帳簿に見入る炬燵かな     西川遊歩
ふるへつつ火事発見の電話かな     菅谷和子
餅肌はむかしのことよ餅を焼く     大場梅子
五町来て雁木尽きたる道祖神      篠原隆子
説教のなくてさみしき火鉢かな     篠原隆子
両の手をすればぬくしよ冬の蠅     仲田寛子   
荒神や稲佐の浜で初すまふ       園田靖彦
落葉焚き遥かなる日の我とゐて     上田雅子
わが膝を竈としたり甘え猫       菅谷和子
雪だるま取り残されて戦場に      篠原隆子
うずくまる盲導犬に小春の陽      西川東久
銀杏割るやつとこ買ひに合羽橋     上田雅子
どどどんと大地踏みしめ舞台始     園田靖彦
門松組む肩に大きなみこしだこ     原 京子

第二句座 席題 ( 冬至梅 門松 焚火 )

【特選】
枯蔦は撥ねて竜虎に大焚火       篠原隆子
手にバケツ急ぎ見に行く子の焚火    臼杵政治
松立てて雷門ぞどんと来い       大場梅子
焚火の火かざす手の丈ときに越え   谷村和華子
顔ばかり熱くて困る焚火かな      上田雅子
行商も交ぜてや珠洲の浜焚火      篠原隆子
すこやかな根曳きを二本松飾り     仲田寛子
 
【入選】
町内は紙の門松ばかりにて       上 俊一
地下足袋でぎしと踏んまへ門松結ふ   上田雅子
松やにの香もめでたしよ飾り松     仲田寛子
金龍の山から伐りて門松へ       園田靖彦
母恋へば冬至の梅の二三輪       菅谷和子
親玉を籠めし土牢松飾る        金澤道子

(篠原隆子記)


埼玉句会(25日、埼玉会館、6名)

言の葉に縛られてゐる寒さかな    市人
眠る山映して湖も眠りゐる
近松のをんな血迷ふ年の暮      靖彦
あらそひの果ての難民去年今年
寒卵われ何者と問ふばかり       宜行
柚子湯して心にさくら咲かせけり
死に急ぐことなかりけり日向ぼこ   つねお
百歳も一歳もゐてクリスマス
今日ひと日サンタとなりし兵士かな  すみえ
イブの夜のサンタとトナカイ屋台酒
渋滞のテールランプもクリスマス   ゆき
もの言はぬマリアとなりぬ聖夜劇

(萬燈ゆき記)


東京・神奈川吟行句会(10日、浅草寺周辺、7名)
外国人観光客も増えて、賑いを取り戻した師走の浅草を吟行しました。

第1句座   (吟行句)

冬桜ひとりぼつちの万太郎      梅子
浅草はいつも縁日年暮るる
小春日やこども忍者のお通りだい  和子
切山椒昔は母と浅草へ   
年の瀬にころがり出たり人形焼    宣行
とは云へどマスク外さぬ懐手
裏道のもつと混みたる師走かな    侑子
ねずみ小僧我を見下ろす師走かな
焼きつくされし浅草の今日寒雀    純子
スポーツ紙にくはへ煙草や花柊
年の暮雪駄ばかりの小商ひ      靖彦
鉢の子にからりりん一つ冬ざるる
紙トンボ冬青空に吸ひこまれ      京子
ひざ掛けに揃ひのコート人力車

第2句座   (席題  火事・都鳥・葉牡丹)

葉ぼたんを植ゑて駅前花時計     和子
葉ぼたんやはや五十年相老いて    梅子
眠りゐし種目覚めさせ山の火事     京子
大火事や一人連絡とれぬ人       靖彦
自転車のカゴに葉牡丹立ち話      純子
飛びうつる炎ほのほや大火の夜    宣行
都鳥スカイツリーの展望台        侑子

(大場梅子記)


鎌倉吟行句会(4日、大路ビル・カルチャースペース鎌倉、6名)

鎌倉駅は大いなる混みようでした。
吟行地は、覚園寺。受付で拝観料を払って渡された封筒には、「一方通行の順路」表示が。そして、それは「マスクを外してもらうための一方通行でもある」と知った時の嬉しさ。薬師堂前で案内人のショートレクチャー。北条義時と十二神将、とりわけ「戌」のそれとの縁りなど。

第一句座:吟行句・雑詠句
冬紅葉だれもどこかに傷を持ち   道子
六根清浄六根清浄紅葉散る     英樹
冬青空皇帝ダリア歌ふなり     美津子 
馬手弓手応へて馬の息白し     はるみ
小流れのここに始まる冬紅葉    侑子
もののふの魂を鎮めん谿紅葉    和華子

第二句座:席題「襟巻」「白」
塩引や塩ざくざくと掻き出して   美津子
極月や磨かれ並ぶショベルカー   道子 
股引は死語となりたり三和土掃く  はるみ
十字架は天の紺突く師走かな    和華子
ふつふつと旅心湧く師走かな    英樹 
うはさの菓子求めて並ぶ師走かな  侑子

(長井はるみ記)


愛知吟行句会(16日 名古屋市笠寺観音)

名鉄本線「本笠寺」駅改札口に集合。冬麗の空の下、六の市を散策。品物を吟味したり、店主と話をしたりして、露店の間を吟行。12時を過ぎていたので、買い物客もまばらで、店じまいも見られた。

寒の水乾く間のなき水かけ地蔵     恵美子
谷汲の柿は高いと売られをり      春日美智子
笠被る観音を背に飾売         楓 
寒菊をぶら下げ市の野菜見る      沙羅
極月や円安ぼやく六の市        尾燈子
年の市バンで乗りつけ商売す      通江
客の愚痴聞きつつ売るや年の市     雄二
(稲垣雄二記)


岐阜句会(15日 岐阜市西部福祉会館 5名)

第1句座 兼題(年用意、冬芽、湯豆腐)
子らを待つ準備万端年用意       通江
年用意老い深まれば人頼り       上松美智子
湯豆腐のかすかに揺るる宴かな     沙羅
石仏の前かけ換へむ年用意       春日美智子
天を突くからくれなゐの冬木の芽    恵美子
第2句座 当季雑詠 
冬日和ていねいな字で母への手紙    通江
木を育て人を育てて年暮るる      上松美智子
かがやきて銀杏黄葉の孤絶かな     沙羅
触れてみし手より暖か枯木かな     春日美智子
青空や風と遊びし綿の虫        恵美子

(梅田恵美子記)


京都句会

古志京都句会、12月はいつものとおり、通信句会と対面句会を実施しました。来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。 

12月通信句会は夏雲システムを利用して実施。事前に送った洋子さんの写真と文章(柚子)、プレバト大阪府公認ポスター、そして米花さん作の絵手紙(寒椿)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。12名参加。

大馬鹿の柚子と余生や冬ぬくし     りえこ
冬至湯や父なき母の三十年       英二
また一羽下りてはなやぐ冬の湖     忠雄
あたたかな命を抱いて浮寝鳥      久美
亡き母の金歯を売つてふぐと汁     雄二
がさつと人攫ふがごとく落葉掻く    初男
かけ算が全部言えたる柚子湯かな    嘉子
病院に半日待つも年用意        美那子
掌の中に母の手帰り花         陽子
木枯やふうふう吹きてきつねうどん   悦子
顔見知りの増える公園日向ぼこ    (木下)洋子
晩年に開く夢あり寒椿         茉胡

対面句会は、12月14日(日)こどもみらい館で実施。第1句座当季雑詠5句出句、第2句座席題(「寒の月」「除夜の鐘」「湯豆腐」「風花」等)12句出句で行いました。2名参加。

野良に生く猫の矜恃や寒の月      いほり
湯豆腐や言葉なくともことたりて    いほり
風花や今も持ちたる恋心        茉胡
煩悩が街を彷徨ひ除夜の鐘       茉胡

通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:mako10himu6@nifty.com

(氷室茉胡記)                    


奈良句会(27日 夏雲システム 9名)

追い越されゆくも楽しや恵方道     美那子
漆黒の宇宙のしづく龍の玉       忠雄
駅伝のつなぐ襷と白息と        まき
冬紅葉白鷺するり漁れる        悦子 
クリスマス雪また雪のしづけさに    洋子
初春や蛸の這いだす魚の店       豊
羊羹や二辺の余る置き炬燵       雄二
震災も戦災も知るサンタかな      久美
初春や四方に海ある大八洲       りえこ

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、喜田りえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:kidarieko@kcn.jp 
( 喜田りえこ記)


大阪句会

メール句会  (雑詠7句出句、5句選)
栗の実のこころの洞に落つる音     百合子
秋晴れに医者の予約も忘じをり     泰子
庭柚子のひとつひとつに月の色     久美
月読の神を称へて牡蠣を剥く      りえこ
家普請音を弾ませ小春かな       豊
サッカーは勝つたか否か冬ぬくし    みつこ
おほどかに飛鳥大仏冬ぬくし      陽子
湯豆腐や夢は大方夢のまま       茉胡
柚子風呂に五躰を伸ばし生きてゐる   美那子
木枯しや街に一軒ジャズ喫茶      歌子
留守番も一つの仕事冬籠        一爽
熱燗や湿布貼ならお相伴        美栄子
戦火なき地球が願ひ冬菫        洋子

席題Zoom句会  席題(沢庵・師走)3句出句、3句選
沢庵や悟りに遠き暮らしにて      りえこ
森閑と沢庵石の沈む真夜        陽子
あの祖母を雄々しと思ふ沢庵漬     久美
引つ越しに沢庵石も入れおきぬ     みつこ
世につれて大きく変る我が師走     美那子
銀輪をかける鼠のごと師走       百合子
山影の遠くなりたる師走かな      豊
茶柱や師走の午後のひと時を      歌子
極月や予定のままのあれやこれ     洋子
(木下洋子記)


松山句会(16日 メール句会 11名)

兼題:柿落葉、冬めく、時雨、鍋焼、ポインセチア(5句出句 5句選)

浮世絵のごとく時雨るる遍路道     夕未子
歓楽のきはまり深紅猩々木       紫春
たびびとも川ゆく舟もはつしぐれ    陽市
ポインセチア燃ゆる憲法九条も     伊都夫
鍋焼や記憶の底に妣のこと       まさし
娘から卒寿の母へポインセチア     真奈美 
手を隠し小走りでゆく冬めける     薫 
繋船のきしめく音も冬めける      崇
冬めくや河川敷には我ひとり      和弘
鍋焼や八丁味噌を舌鼓         博山 
二の鳥居三の鳥居と時雨けり      まこと 
店先の花入れ替はり冬めけり      夕未子
時雨るるや東海道の松並木       紫春  
はらはらとあかるき庭よ柿落ち葉    陽市 
峡谷の先は時雨れてくすぶれり     薫 
甘口の鍋焼ふつふつ里帰る       真奈美 
破れたる恋のいとほし柿落葉      紫春  
鍋焼やさまざまなこと諦めて      まこと 
(木下まこと記)


福岡句会(16日 通信句会 11名)

天井の龍の眼のすす払ふ        真知子 
小春日やゆつくりと押す乳母車     和子 
ひと騒ぎして事もなし鴨の陣      民也  
冬凪や耳を澄ませば海の歌       龍梅 
母の愛膨らむごとく干布団       久子 
冬の朝垣根を透る声美人        悠 
過疎村に静かな活気猟期くる      祥子  
寒紅をひき大股で進みけり       充子 
咳一つしてそれではと始まれり     國光 
土佐路来て時雨を癒す龍馬さん     博人 
ジオラマの町に聖樹をひとつ足す    緑
(吉冨緑記)


長崎句会(23日 メール句会 9名)

当季雑詠 5句
蔦紅葉いまひつそりと検番所      あや
接種券これぞと見する冬の宿      順子
落葉掻き駄句も堆肥になれば良し    なおよ
富士冠雪女独りの天城越え       弘美
雪沓や転ぶも愉し銀世界        まり子
着ぶくれて急ぎくぐりし「湯」の暖簾   美智子
双六の賽の目をふり恋の道       睦美
匙あとも湯気もゆるりと葛湯かな    玲子
中天をわし摑みにや銀杏枯る      瑠衣

題詠2句(年忘れ・花)
桜散り両手に花びら母を待つ      あや
何もかも笑うてしまへ年忘れ      順子
円楽の大喜利を見て年忘れ       なおよ
今生の屠蘇幾度ぞ父母思ふ       弘美
美人湯にまづは浸からん年忘れ     まり子
お開きは校歌斉唱年忘れ        美智子
花となり生きていくらむいつまでも   睦美
故郷や三年ぶりに年忘れ        玲子
年忘れ別れの多き年なりき       瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会(国際交流会館 4名)

第一句座
学校にまだ誰も来ぬ初氷        佐介
数へ日や自転車ならぶ補習塾      佐介
数へ日の大鋸屑に海老動きをる     裕子
けふの雨問はれ時雨と答へたる     裕子
数へ日や欠けたコップに白き花     茉莉子
あさづけや神も仏もゐる厨       茉莉子
数へ日の街の匂は日々に濃し      榾火
推敲の果ての果てなる日向ぼこ     榾火

第二句座(席題 寒雀)
ひと枝にふくら雀の鈴生りに      佐介
塗りたての横断歩道寒雀        茉莉子
少しづつ間合詰めるや寒雀       榾火
(記今村榾火)

                 

 

 

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