第十九回YouTube句会
*まとめ中です。
古志ZOOM句会
郵便句会
大谷弘至主宰選
特選
座右の書露一玉の光るごと 加藤久子
蟷螂に見えぬ己の首根つこ 白石勉
ひとり来て我が入る墓を洗ひけり 上條多恵
朝露や天女の置きし玉のごと 加藤久子
じだらくももうこれまでよ秋扇 小島楓
雨しとどへたを残して青柿落つ 神谷和子
入選
古切手貼つて投函涼新た 梅本元子
南吉の道をたどれば曼珠沙華 小島楓
漕艇や瀬田の唐橋水澄みて 水谷比嵯代
千年の伊吹ぞ茂る村社かな 梶原一美
ひとりぼつちで逝きし弟よ墓洗ふ 伊達公子
鰯裂き酢にひりひりと洗ひをり 森康子
公民館秋の講座の窓に海 土筆のぶ子
秋茄子や尻たつぷりと色深め 梅本元子
夢に逢ふ人みなやさし吾亦紅 西川東久
誰れかれと恋しき夜やちちろ鳴く 小島楓
洗ひたる弟の墓に鬼やんま 伊達公子
竜胆や手筋にひかりある君よ 神永秀郎
秋風の蜻蛉に大き海ひらけ 関きみ子
栗山の神の恵みや栗ご飯 梅本元子
若冲の絵を抜け来しか青虫よ 北野沙羅
邯鄲や君とふたりの晩年に 小島楓
出来秋や畑のもろもろ宅配す 原信子
水引草終の栖かと決めた家 北林令子
ましら酒南海仙漁御座しませ 白石勉
籠城も良し冬瓜のスープ煮る 北野沙羅
出来秋や猪垣修理丹念に 原信子
老いし身の乙女心や吾亦紅 北林令子
出来秋の品をよすがに便り書く 原信子
曼珠沙華その色をもて楯をなす 小島楓
まぼろしの母くるけはひ万燈会 北林令子
コロナ禍に怠る家事や秋深む 土筆のぶ子
(斉藤真知子記)
埼玉句会報告(26日、日曜日、埼玉会館、3名)
遠き日をたぐりよせたり鰯雲 琅太
悪名は無名にまさる獺祭忌
よき友と句座を囲めば小鳥来る 靖彦
のど仏出でし少年蕎麦の花
肉体はの乗りもの獺祭忌 ゆき
前頭葉枯らしてならず獺祭忌
(萬燈ゆき記)
東京Web吟行句会(17-19日、夏雲システム、27名)
吟行地:殿ヶ谷戸庭園、お鷹の道、真姿の池
兼題:龍淵に潜む、角力、新蕎麦
投句:10句(吟行句+兼題句+雑詠句)
選句:8句(特選1句、並選7句)
新そばを啜りさらりと別れけり 石塚純子
赤松の幹の湿りも秋の色 持田明子
真姿の名も美しき水の秋 菅谷和子
身に入むや人は戦ひ寺を建て 神戸秀子
四股踏んで大地の神を呼び起こす 園田靖彦
秋彼岸烏とんとん屋根を跳ぶ わたなべかよ
秋空に声投げあいて組む足場 三田菊江
ふるさとの誉れとならん相撲取 神谷宣行
輪を描けばたちまち相撲村の子ら 越智淳子
無為一日葡萄をつまむ夕ごころ 葛西美津子
店の名が四股名となりぬ草相撲 大場梅子
飛び入りが二番勝ちたり草相撲 金澤道子
穂に水に秋きらきらと広がり来 関根千方
芋の子のどれも大きく直売所 大平佳余子
銀の鬚ひとなでしつつ龍淵に 石川桃瑪
新そばを石臼で引く峠茶屋 片山ひろし
人声のやはらかにくる薄原 上村幸三
円楽の扇子自在や走りそば 那珂侑子
勝ち相撲その瞑目の一呼吸 松岡伴子
湧水をまたぎ農家に栗を買ふ 原京子
ぶつつりと切れたるもよし走り蕎麦 長井亜紀
事あれば角力で決める金太郎 岩﨑ひとみ
秋桜そらとほき日に逝きにけり 服部尚子
安曇野の風がかをらす走り蕎麦 仲田寛子
るそん深くBC戦犯秋螢 鈴木伊豆山
農捨てて名もなき草の露結び 長野いづみ
ご近所の相撲部屋より力士の声 吉田順子
(関根千方記)
京都句会
夏雲システムを利用して実施。事前に送った初男さんの写真と文章(「気比神社・月」&「多田神社・きりぎりす」)そして米花さん作の絵手紙(「栗」)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。結果は次のとおりです。
落柿舎のうしろ明るき竹の春 忠雄
鷹尾兄へ席空けてあり月の句座 りえこ
寝るまへにいまひとたびの月見かな 幸子
御仏の朽ちて安らぐ水の秋 雄二
秋草の色となりけり大鎧 久美
赤のまま八十にして母を恋ふ 美那子
そぎ落とす言葉の作業栗を剥く 美恵子
好きな本読んで一日の短さよ 英二
コロナ禍や墓地でおちあふ秋彼岸 初男
零余子飯食うてをんなの大力 米花
幾千のアルビフロラや神隠し みりん
次々と風がくすぐり栗落つる 茉胡
(氷室茉胡記)
奈良句会(28日 ズーム句会 10名)
月今宵森羅万象ただならぬ 豊
畦道の曲がるが楽し草雲雀 久美
かるたの句口つく五歳芒取り 正子
柿吊す太古の色になりゆくまで 美那子
柿の実のうるるも待たず逝かれしか まき
チャーシューの厚さ比べる夜食かな りえこ
このビルに灯り一つの夜食かな 雄二
夜食喰ふ間に解けし方程式 茉胡
月の座に思ひめぐらす月の宿 洋子
邯鄲と何の縁か夜食粥 忠雄
(上田忠雄記)
大阪句会
メール句会(雑詠7句出句、5句選)
はや夕べカンナのつぼみあかぬまま 泰子
戦争が頭擡げる黍嵐 茉胡
制服のモノクロ写真梯梧散る 歌子
敗戦忌記憶の底の蝉のこゑ 陽子
肩車した日された日大文字 美栄子
揺れかはす盆舟ふたつ送りけり 久美
すり鉢の胡麻の香りや今朝の秋 りえこ
灯へ翳す指の透きまにけふの秋 みりん
新涼や起伏連なる苔の庭 豊
叡山に夕べの鐘やとろろ汁 洋子
電灯の紐に紐足す夜長かな みつこ
人情はうるさがられて西鶴忌 美那子
秋風や亡き夫とゆく丘の道 百合子
席題Zoom句会 席題(芋・運動会)3句出句3句選
古里のかがやくごとし芋の秋 久美
大鍋に煮汁溢るる芋の秋 百合子
歌ひつつ水車が洗ふ八つ頭 豊
しづしづと揺れては跳ぬる芋の秋 みりん
たそがれの国の片隅衣被 陽子
一家して親芋子芋掘り出しぬ 洋子
自治会の運動会にも心弾む 泰子
大運動会捨てた弁当五万食 りえこ
フライング多少は看過運動会 茉胡
黒猫のタンゴもありぬ運動会 みつこ
運動会敬老席にかしこまり 美那子
運営の総指揮は女子運動会 歌子
(木下洋子記)
松山句会(8月29日 メール句会 10名)
兼題:秋の浜、萩、鰯雲、秋うらら、蜻蛉、秋思 5句出句5句選
秋麗ややさしき眉の太子像 紫春
しろがねの水をこぼして鹿鳴草 真樹子
萩寺や羅漢の耳は皆豊か まさし
なが雨に力抜けたる萩の花 崇
秋の浜声の残りしシーグラス 夕未子
岸壁を触れれば灼けて秋の浜 紫春
来たバスにとび乗れば旅いわし雲 陽市
ジェット機の飛びかふ那覇の鰯雲 薫
父もゐて網を繕ふ秋の浜 一美
雫して縞の生まれし秋思かな 夕未子
幼き日紅色なりしいわし雲 紫春
一閃の手応へ確と蜻蛉捕り まさし
ばつさりと髪を切るひと秋うらら まこと
火をたけば火のしづかさの秋の浜 陽市
秋うららショパン奏でる駅ピアノ 薫
赤とんぼひつそりと混む釣り堀屋 真樹子
波音は波におくれて秋の浜 崇
(木下まこと記)
福岡句会(24日 通信句会 13名)
壱岐対馬唐天竺へいわし雲 博人
仏みな一重まぶたや曼珠沙華 國光
柚子の籠ひつくり返すとき匂ふ 真知子
糸瓜棚ぱつと明るく解かれけり 和子
気が付かぬ振りも度量や放屁虫 桃潤
天高しびりの子やんやの拍手浴び 民也
歯のたたぬ妻の仇や南瓜切る 修
蓑虫や袋に一生詰め込んで 充子
秋日傘陸軍墓地へ消えゆけり 祥子
風に歪む一玉の露零れざる 久子
拾へよと言わんばかりに櫟の実 幸子
焼き秋刀魚夫と元気に古希迎へ 龍梅
曼珠沙華ここが夕陽の捨てどころ 緑
(吉冨緑記)
長崎支部(25日 メール句会 7名)
当季雑詠5句
童歌庭いつぱいの赤まんま あや
秋風が旅の切符を買へといふ 順子
手をいれぬ庭が花野となりにけり なおよ
満月や水面に浮かぶ金の帯 美智子
けふ隣家空き家となるや蚯蚓鳴く 睦美
見はるかす猪苗代湖や稲の波 まり子
萩の花しだるるほどの重さかな 瑠衣
題詠2句(釣瓶落し・蚯蚓鳴く)
キャッチボール子の背に釣瓶落しかな あや
知らぬ街釣瓶落しの身に沁みて 順子
蚯蚓鳴く闇にふたつの眼あり なおよ
海岸に藻屑ひと筋野分晴 睦美
蚯蚓鳴く亀も聞きをり人恋し まり子
野良去つて釣瓶落しの網干し場 瑠衣
(米山瑠衣記)
熊本句会(通信句会 4名)
新涼や日ごと干したる山の幸 裕子
水撒けば隣の墓へバツタ飛ぶ 裕子
白米に沢庵五枚厄日かな 茉莉子
竹林に潜む烏や秋の雨 茉莉子
蚯蚓鳴く地球空洞かも知れぬ 佐介
新涼や斯くも赤子のあたたかき 佐介
露おちる音のとどろく獺祭忌 榾火
新涼や軒で出くはす蛇のかほ 榾火
(今村榾火記)
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