2021年8月句会報告

第18回YouTube句会(28日、47名)

大谷主宰選
【特選】
分け入つて利休好みの竹伐らん    仲田寛子
吹き足らぬ敦盛ならんひぐらしは   齋藤嘉子
盆の月戻りし人へ鳩サブレ      田村史生
つぐみ焼く秋繭あげしその夜は    篠原隆子
隠岐本や言葉は露と思へども     齋藤嘉子
三杯目さらさら処暑のひつまぶし   前崎都 
【入選】
敗残やるそん八月十五日       鈴木伊豆山
鳳仙花茎くれなゐに木歩の忌     神戸秀子
そこそこと蝉捕りの子へ声かける   池田祥子
踊笠とりてはじめてその人と     矢野京子
鼈甲の眼鏡を遺しつくつくし     大場梅子
秋の蚊に名残の蚊遣効かぬらし    丹野麻衣子
売りながら秋の日に干す開きかな   西川遊歩
天地のひびを金継ぎいなびかり    仲田寛子
縁先を鯔の飛びゆく浦住ひ      曽根崇
上出来の西瓜ばかりを狸奴が     上俊一
死ぬまでが母の戦後よ百日紅     神戸秀子
(丹野麻衣子記)


古志Zoom句会


郵便句会

大谷弘至主宰選

特選   
乗りおりのコツ得てよりのハンモック 関きみ子   
柿の花たたみしごとくひらきけり   上條多恵   
一列に並んで雨の箒草        上條多恵   
台風の雨がまた降る心ぼそ      梶原一美    
早暁の窓をびびびと法師蝉      白石勉

入選   
平和なれ月に願ひを託すかな     福井有紀   
慎ましやたつた一人の魂祭      梅本元子     
鵜の川のかくも濁りて敗戦日     小島楓     
伐つて来し七夕竹をどさと置く    梶原一美    
戻られよ浅瓜の馬支度せん      田中尚子      
わが里の歓迎会やマムシ酒      北野沙羅   
鬼灯やコロナ禍の恋粛々と      松岡伴子       
ぽつくぽく三仏乗せて茄子の馬    梅本元子     
遠き子の帰れぬ田舎萩の家      梶原夕未子          
車前草の茎しなやかや敗戦忌     松岡伴子   
掃苔の南無阿弥陀仏声揃ふ      原信子    
夢に立つ父はゲートル敗戦忌     北林令子   
稲を刈り夜は文楽の黒衣かな     北野沙羅    
母の忌や一夏ごとに暑くなる     上條多恵    
土用三郎豊の兆しの山河かな     神永秀郎         
(斉藤真知子記)


第18回席題句会(14日、17名)

大谷主宰選

第1句座(席題:盆灯籠、盆の波、芋虫)
【特選】
新盆や船継ぐ君へ大漁旗      西川遊歩
盆灯籠家紋の揚羽舞ふごとし    大場梅子
芋虫や堂々と葉の表へと      久嶋良子
新しき百の切子を風が吹く      齋藤嘉子
【入選】
まみえしことなけれど義父よ盆灯籠 齋藤嘉子
灯籠や黄泉路を急ぎ妻よ来よ    片山ひろし
新盆の白波越えよ灯籠舟      篠原隆子
盆波へ舟出す男盛りかな      臼杵政治
伊賀こよひ切子に火蛾や狂ふころ  篠原隆子
盆波のどしんどしんと島港     曽根崇
狭庭へも光回すや盆灯篭      越智淳子

第2句座(席題:白桃、墓参、落鮎)
【特選】
落鮎や木端の如く流れゆく     片山ひろし
大雨におほいに濡れて墓参     丹野麻衣子
みちのくに洗へぬ墓の幾千ぞ    齋藤嘉子
君が釣る錆鮎もまたうまからん   丹野麻衣子
手に熱き鎌もて掃かん苔の墓    篠原隆子
【入選】
盆の月帰らぬと子の便り来て    臼杵政治
君知らぬ孫らの声や墓洗ふ     吉田順子
一族の墓を拝むや田の真中     篠原隆子
線香にぼうと火の立つ墓参り    西川遊歩
ざんぶりと水飲みたまへ墓洗ふ   大平佳余子
盆の月従姉妹の寝息聴きながら   久嶋良子
(記:丹野麻衣子)


埼玉句会(22日、埼玉会館、2名)

コロナ禍で住み替はる代ぞ穴まどひ  琅太
やみがたき遊行のこころ秋の風
政治家の民を忘るる残暑かな     靖彦
秋出水田舎銀座は水の中            
うつくしき僧の読経に穴惑ひ     ゆき
来世より現世大事と穴惑ひ
(萬燈ゆき記)


東京Web吟行句会(15-17日、夏雲システム、27名)

吟行地:等々力渓谷
兼題:稲妻、鷹の山別れ、鬼灯

山別れしてより空の大きさよ   関根千方
天山を越えゆく鷹の別れかな   大場梅子
谷風に乗りゆく鷹の山別れ    金澤道子
病窓をはしる稲妻麻酔覚む    持田明子
しばし胸吹かるる鷹の山別れ   神戸秀子
まだ青き鷹の目澄みて山別れ   越智淳子
いなつるび火宅の空を駆け回る  葛西美津子
これ以上もう入らぬぞ冷蔵庫   わたなべかよ
つかのまの父子鷹かな山別れ   大平佳余子
空つぽの巣に朝日さす山別れ   石塚純子
いつしんに乳吸ふ吾子よ稲びかり 吉田順子
天上の栓抜かれしか大洪水    仲田寛子
連山の見守る鷹の別れかな    上村幸三
沢蟹を真赤に濡らし水の秋    菅谷和子
せせらぎに笹舟浮かべ夏惜しむ  片山ひろし
あるだけの息ふきこめよ形代に  長井亜紀
鬼灯の揉まれもまれて種を吐く  那珂侑子
渓の秋幽玄境へ迷ひ入る     神谷宣行
鬼灯や姉を真似つつ育ちゆく   松岡伴子
鬼灯や親も知らない遊び方    岩﨑ひとみ
稲妻となりてたらちね諫め来る  園田靖彦
玄室の澤風涼し王眠る      鈴木伊豆山
同行の一人花野の匂いかな    服部尚子
渓谷やしらかし高し天高し    原京子
炎天下走りきったる勇者の眼   長野いづみ
青萱にすいと斬られて向う脛   石川桃瑪
夕闇の紫陽花に雨やはらかし   三田菊江
(関根千方記)


京都句会

 夏雲システムを利用して実施。事前に送った初男さん提供の大文字,下鴨神社,糺の森の写真数枚からの連想句を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。

方丈を畳みて野分やりすごす     忠雄
ゆつくりと恐竜の孵化熱帯夜     久美
弟に少し小さく瓜の馬        美恵子
身一つを方丈に置く涼しさよ     美那子
しづもりてつのる寂しさ大文字    りえこ
夕顔や俤のごと二つ三つ       雄二
爽籟に音もかろかろと牛の絵馬    まき
朝涼や瀬見の小川の小さき橋     初男
生身魂曾孫の名前みな覚え      英二
方丈庵網代の壁に秋の風       幸子
大文字灯らぬ火床からの声      茉胡
(氷室茉胡記)


大阪句会

メール句会(雑詠7句出句、5句選)
碧空や人類生まるる前に滝      りえこ
咲きついで疫病の世の古代蓮     歌子
さみどりの玉つらつらと簾かな    陽子
カメムシの万の尻振る大暑かな    みつこ
白南風や窓辺にひらく解剖図     みりん
川に出て息ふきかへす祭笛      久美
つぎつぎと雲影わたる夏嶺かな    豊
白シャツや吾子それぞれの夢ありて  茉胡
空蝉の肢を愛しむや静心       美栄子
思ひ出すこと多すぎる曝書かな    美那子
雷神の地団駄踏んで大夕立      百合子
祭鱧食べて始まる天神さん      洋子

席題zoom句会席題(稲妻・旱・色を詠みこむ)3句出句3句選
稲妻の力たくはへ稔るかな      百合子
いなつるび細君の尻どかとあり    豊
東山越えては来ずや稲光       みつこ
前髪の透き間にずむと稲つるび    みりん
稲妻や影絵のごとくビルの街     美那子
川底の石も干上がる旱かな      りえこ
山襞の紫深む夕焼かな        歌子
十三年待ち金メダル雲の峰      茉莉
あかあかとグラジオラスの刃かな   陽子
大盥ぶつかり合うて茄子の紺     久美
セピア色となりし遺影や蓮の飯    洋子
(木下洋子記)


松山句会(6日 メール句会 14名)

兼題:天の川、七夕、関係 5句出句5句選

みちのくの綺羅びやかなる星まつり  和弘
手を引いて引かれて渡る天の川    伊都夫
最果ての駅に七夕飾りかな      まさし
ほらあそこ天の川指す母の声     紫春
新幹線なごやおおさかあまのがわ   陽市
寝転びてフルスクリーンの天の川   薫
銀漢の果てより遠き君なりき     まこと
星合ふ夜五輪選手のグータッチ    真奈美
同じ世に生まれあわせし星の恋    真樹子
七夕や世界の平和ただ祈る      博山
赤飯の献立今宵星祭         一美
銀漢に船を漕ぎだす琴座まで     夕未子
七夕や子等の願ひに竹撓む      薫 
世の人の願ひの粒よ天の川      崇 
四条から川端団栗星逢ふ夜      まさし
銀漢や遭いたき人はただひとり    紫春 
小舟にて一服したり天の川      伊都夫 
見送りの母と眺むる盆の月      真奈美 
伐つてきし七夕竹をどさと置く    一美
ほし合ひや犬に添ひ寝のひと夜かな  真樹子
縄文の熱気をいまに佞武多かな    崇
ゼロを生み不可思議を生み天の川   まこと 
(木下まこと記)  


福岡句会(28日)

泡立草大和の秋になじみけり    充子    
総立ちの野外ライブや夏惜しむ   修    
にんげんを柱とかぞへ八月は    民也    
稲妻や良き貫入を入れ給へ     緑 
終戦日地軸は今も傾きぬ      國光
山刀研いで静かに秋を待つ     博人
白桃の月の光を剥ぐやうに     桃潤
風が漕ぐ釣船草は風が乗る     祥子
新涼の揺れ通しなるイヤリング   幸子    
天山の麓を駆ける馬肥ゆる     龍梅
素足なり大地に心深く置き     久子
これからの旅の話を衣被      真知子                               
(斉藤真知子記)


長崎句会(26日 メール句会 9名)

当季雑詠 5句
盆だんご瑞穂の国は水浸し      あや
垂れ込める雲に刃か稲光       順子
青柿やだあれもいない去来塚     なおよ
我を張りて立ち尽くしたり吾は案山子 弘美
「いい奴は皆んな死んだ」と敗戦忌  美智子
来し方を燃え残してや葉鶏頭     睦美
酔芙蓉立ち話みな仕舞ひたり     玲子
夫とゆくいつもの宿や赤とんぼ    まり子
竹伐るや真っ赤な顔に豆しぼり    瑠衣

題詠2句(案山子・流れ星)
金メダル3つもかけて案山子かな   あや
荒れておる地球に涙流れ星      順子
酒瓶を下げて案山子の顔赤し     なおよ
流れ星尻切れ願ひ叶へてよ      弘美
流れ星瞬き一つ永久の夢       美智子
幾万の願ひかけられ流星群      睦美
案山子かと見紛ふ影は軽トラへ    玲子
星走る左右左左左右追ひつかず    まり子
捨案山子雀来たりて遊びをり     瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会(通信句会 4名)

蜩や真白き部屋の起き臥しに     佐介
野西瓜を食み天竺へ旅半ば      佐介
立秋や父の茶碗で食ふご飯      茉莉子
注射器のズラリと並ぶ律の風     茉莉子
鹿肉は舌にひんやり夕蜩       裕子
あさがおの色そのままに裂けゐたり  裕子
骨細き腕をさすれば秋出水      榾火
蜩や時折りひらく手沢本       榾火
(今村榾火記)

                 

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