2024年8月句会報告

ZOOM句会


深川句会(14日/14名)

大谷主宰 選

【特選】

西瓜喰ふための縁側種競ふ      長野いづみ
美浦村や馬の嘶く天の川        神谷宜行
山の日やもう履くことのない靴すてて  仲田寛子
あこがれの大きな西瓜買ひにけり    那珂侑子
城端の名の虫干を見にゆかん      篠原隆子
自転車の向かひつ風ああ立秋か     臼杵政治
盆花よまだ開かぬか母の百合      臼杵政治
組み立つる手のとまどひや走馬燈    石川桃瑪
散り菊のあはれ線香花火かな      吉田順子
蕉翁の見やる川面や秋はじめ      金澤道子

【入選】

身を焦がす燈火親しも宮内卿      篠原隆子
枝豆の飛んであの子がチャンピオン   篠原隆子
桃の秋われに二人の母のゐて      篠原隆子
月へ反る指うつくしき踊かな      篠原隆子
出て来ぬ名「あ」からはじめる端居かな 仲田寛子
似た大き耳を寄せ合ひ盂蘭盆会     仲田寛子
レースカーテン蛇腹に洗ひ夏終る    仲田寛子
炎天や句会へゆくも命がけ       城田容子
星の恋十光年をひとまたぎ       城田容子
もう二度と戦争なんか母の秋      城田容子
川風に吹かれに来たり秋はじめ     金澤道子
去年より元気な妻よつくつくし     那珂侑子
サングラス外して選ぶ特価本      西川遊歩
疎開孤児生き残されて敗戦忌      西川遊歩
防空壕在りしあの辺小豆引き      西川遊歩
手のひらに母の霊のせ踊りかな     神谷宜行
母の手のかな文字流る秋扇       神谷宜行
沈むだけ沈めて楽し浮人形      谷村和華子
白むくげあつさり別れてしまひしが  谷村和華子
わが里の石より固き新豆腐       園田靖彦
花火師は忍者さながら闇走る      園田靖彦
我も塵空へ帰らむ水の秋        臼杵政治

第二句座 席題 (稲雀 秋風 榠樝の実)

【特選】

それぞれの意思の形か榠樝の実     金澤道子
秋風や大方丈に一人座し        金澤道子
これからも瑞穂の国に稲雀      谷村和華子

【入選】

稲雀信濃の空はうめきれず       吉田順子
高だかと母の残せし榠樝の実      吉田順子
あの大き実をのど飴に榠樝の実    長野いづみ
句合は格闘に似てくわりんの実     篠原隆子
老年にみなぎる血気くわりんの実    篠原隆子
手に余る庭やごろごろ榠樝の実     神谷宜行
金風や射抜き矢カンと響きけり    谷村和華子
いただいてわが咳止めに榠樝の実    仲田寛子

(篠原隆子記)


東京ウェブ吟行句会(夏雲システム、24名、18-21日)

吟行地:清澄庭園(深川周辺)
兼題:秋澄む、鳩吹く、七節

去りがたし誰か鳩吹く曽良の島  神戸秀子
山の子は七色の鳩吹きこなす   園田靖彦
水掛けて子供神輿に虹かかる   菅谷和子
名石にふるさとの名や秋澄めり  大場梅子
閑けさを両掌につつみ鳩吹けり  上村幸三
戦争に負けて鳩吹く男かな    藤英樹
秋澄むや一汁一菜一人膳     石塚純子
鳩吹いてふるさとの山暮れゆきぬ 谷村和華子
七節のときをり動く静かさよ   安藤文
七節と指さされても枝ばかり   金澤道子
秋澄むや亀は甲羅に天下のせ   神谷宣行
還暦の少年の吹く鳩の笛     片山ひろし
子供神輿水煙のなか泳ぎだす   大平佳余子
ななふしの節を数へてゐるところ 稲垣雄二
七節や悲しきまでに枝まねて   越智淳子
鳩吹いて左右に別れ藪の内    石川桃瑪
子供神輿水を掛くるも加減して  原京子
おい七節棒に生まれて悔ひなきか 臼杵政治
呼び交わし鳩吹く二人山暮るる  服部尚子
秋澄みて嶺あをあをと八ヶ岳   長野いづみ
鳩吹くや凛々しく動く犬の耳   松岡伴子
鳩吹けばふいに鳴き止む森の鳩  岡村美沙子
鳩吹くや山ふところを膨らまし  関根千方
竹節虫を知れば知るほど愛しく  那珂侑子

(関根千方記)


埼玉句会(25日 埼玉会館 5名)

夏逝くやアラン・ドロンを道連れに       市人
やうやくに昼寝も秋となりしかな
新豆腐三国一の白さかな            靖彦
立秋や退任するも一仕事
秋澄むや雲を食みつつ馬がゆく        宣行
火葬場の順番を待つ残暑かな
人の世にでんと居座る西瓜かな        つねお
AIの調子の狂ふ残暑かな
まぼろしの波音聞こえ秋昼寝          ゆき
秋昼寝五七五が離れずに

(萬燈ゆき記)


鎌倉吟行句会(4日 円覚寺 7名)

第一句座  (7句出5句選)
極楽の余り風なり木下闇   道子
水があるところに人もとんぼうも  侑子
なにもかも八月過ぎてからのこと  英樹
谷戸抜ける風に救はる炎暑かな   淳子
見あたらず鳴き声ばかり夏うぐいす 益美
うなぎ食ひ女の一生長かりき    美津子
縞蜥蜴出づあと石のひんやりと   和華子

第二句座 (凌霄花 /蜩 3句出3句選)
蜩や水の匂ひに夜の明くる     美津子
蜩や全方向より山の寺       淳子
墓参りする人もなく凌霄花     益美
かなかなやけふの富士山うつすらと 侑子
かなかなや前髪眉で切りそろへ   道子
凌霄や古くからある洋食屋     和華子

(谷村和華子記)


岐阜句会(22日 岐阜市西部福祉会館)

第1句座 兼題(梨、松茸、秋の夜)

大粒の雨来て香る茸山         春日美智子 
松茸の焼きて香るや家族会       上松美智子 
梨かじるシャリシャリ甘き水かじる   通江 
萩の葉のゆれて秋の夜はじまれり    沙羅
梨を剥く夫の武骨やしたたれり     恵美子 

第2句座

家の中覗きに来たかいぼりむし     春日美智子 
砂糖入れダージリンティー秋の雲    上松美智子 
親友となりし夫なり寿司回る      通江 
晴れてゐて雷雨降りしく敗戦日     沙羅 
蝉しぐれ息のつまりし真昼かな     恵美子      

(梅田恵美子記)


京都句会

古志京都句会8月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。 
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。9月対面句会、第3水曜日の18日午後1時からこどもみらい館で実施予定。

8月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(七夕、夏秋の花など)、喜田りえこさんのエッセイ「ふるさと歳時記8月」、そして竹下米花さん作の絵手紙(茄子・九月来る)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。17名参加。

金メダル槍一投の涼しさよ       忠雄
鰻焼く味染みつきしぼろ団扇      悦子
底紅や橋を渡れば爆心地        りえこ
さやさやときれいな風よ七夕竹     和華子
きらきらと虹まきちらす滝しぶき    恵美子
つくつくし群れの外れに居るあの子   佳澄
峰雲の上に九月の空のあり       淳子
夜の秋延命不要と書き置かる      英二
老いゆくは御坊も我も魂祭       美那子
浪速しどんどこ舟はなほ速し      久美
大夕立被曝の牛の背を流す       みさ子
ひまわりの悶へ苦しむ世となりぬ    雄二
背に杖も乗せて迎へに茄子の馬     美恵子
連絡簿いまタブレット夏休       杳平
今日よりは秋茄子なり煮びたしに    洋子
西瓜つくり匠の爺とおだてられ     初男
退院のやうやく決まり夕化粧      茉胡

対面句会は、8月21日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座6句出句、5句選句、第2句座6句出句(席題「天の川」「薮枯らし」「墓参」「露けし」「法師蝉」)5句選句。5名参加(うち2名ライン参加)。

自販機の釣銭逃げる虫の闇       欣也
産土の椿の垣のやぶ枯らし
消し忘れペディキュア一つ休暇明け   佳澄
新築のベランダ広し天の川
愛しさは愚かに揺るる水中花      みりん
現世はどこも退屈天の川
京なれや大ひと文字の魂送り      りえこ
掃苔や数へて悔やむ親不孝
とろろ汁どちらが先に逝くのやら    茉胡
地に降りて曜変となる天の川

通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。
メルアド:mako10himu6@nifty.com   

(氷室茉胡記)


松山句会(25日 メール句会 10名)

兼題:残暑、夕焼、赤とんぼ、朝顔、各地の盆行事  5句出句5句選

平和儚し赤い色して盆の月       陽市
朝顔日記先ずは種子の絵一ページ    まさし
朝顔の裏側ばかり見る厨        喜久子
二人でよく見た夕焼けをいまひとり   薫
送り火の消えて五山は一つ闇      喜久子
そっときてそっと還りぬ盂蘭盆会    紫春
わが死後もふるさとやさし大夕焼    伊都夫
踏切の向こふの顔も残暑かな      喜久子
秋暑しマニキュア爪をはみ出しぬ    真樹子
赤蜻蛉にらめっこして飛び去りぬ    博山
朝顔の咲きつぐ朝に胸躍る       夕未子
太陽を背負ふて歩く残暑かな      まこと
赤蜻蛉幼なじみも良き老爺       紫春
おろおろとにつちもさつちも秋暑し   まさし
夕焼雲復興急ぐ能登照らす       博山
杖突いて片手で悼む原爆忌       伊都夫
朝顔や路地の軒先ほしきまま      真樹子
赤蜻蛉墓石の上に止まりけり      薫
夜を染めて進む精霊流しかな      まこと    

(木下まこと記)


福岡句会(24日 福岡市中央市民センター)

第一句座

江南や三毛作の稲を刈る        龍梅 
梶の葉を前に思案の筆をとる      紀美代 
孫の夏まさかのスカイダイビング    伸一 
就寝の前月光を身に纏ひ        久子 
拝むとは詫びることとや盆の月     民也 
冷ややかにわが身を包む病衣かな    和子 
流れ星掬ひ取ろうと子等駈ける     修 
新涼や初めての道辿り来ぬ       悠 
ひと晩で籠の鈴虫放ちけり       真知子

第二句座 (席題:馬鈴薯、飛蝗)

馬鈴薯を掘れば子芋も孫芋も      悠 
馬鈴薯や雄大な畑思ひつつ       久子 
ばった跳ね株式市場乱高下       修 
馬鈴薯の話延々ドイツ人        龍梅 
バッタ飛ぶ大草原を我がものに     紀美代 
飛んでくるきちきちはたと巨いなる   民也 
じゃが芋を掘る開拓の土わけて     真知子    

(斉藤真知子記)                    


長崎句会(28日 メール句会 9名)

当季雑詠

ホームラン炎天真二つにぶった切り   まり子
かき分くる花の迷路や夏帽子      瑠衣
爆竹の音寄せて返すや盆送り      美智子
盆支度子等の声まで頼もしく      玲子
送り火を向かふに赤ん坊生まれ来る   なおよ
西瓜だけで生き延びているわが身かな  睦美
ペーロン船銅鑼と太鼓の飛沫かな    弘美
大玉の西瓜は買へぬ独り者       順子
甲子園球児等は去り赤蜻蛉       文

題詠 新米・新涼 

福島の新米旨し住んでこそ       まり子
新米や上棟式に間に合うて       瑠衣
新米や今日の御八つは塩むすび     美智子
新涼や解きし髪のゴムの跡       玲子
新涼の風つかまんと赤子かな      なおよ
ひと粒もこぼすまじこれ新米ぞ     睦美
新米や暑さに負けず重き穂を      弘美
山道に新涼の風一服す         順子
新涼や三部合唱の夜の庭        文         

(米山瑠衣記)


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題(夏の果て、盆)7句出句5句選

濃く淡く墨の香涼し書道展       若松節子
茄子の馬奔馬と化して夜を翔る     佐竹佐介
盆用意一手に仏具磨く祖父       北野沙羅
やり投げの乙女にパリの夏終る     加藤裕子

(加藤裕子記)


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