ZOOM句会
深川句会(8日/18名)
大谷主宰 選
第一句座
【特選】
君来れけさ掛香をあたらしく 菅谷和子
母の日をよろこぶ母の愛らしく 菅谷和子
筍の穴にたつぷりお礼肥 大場梅子
恋猫の声はかの日の我に似て 園田靖彦
菖蒲湯や恋の病のほか知らず 園田靖彦
田の雨に流さるる蝌蚪残る蝌蚪 越智淳子
ビール呑むためにわが家へ寄りたしと 城田容子
更衣しがらみ重き夫の服 城田容子
飾られて房豊かなる兜の緒 西川遊歩
掌のこの世を渡る天道虫 西川遊歩
白々とアスパラガスの裸身かな 西川遊歩
ばら鮨の箸みじかきも丹後ぶり 篠原隆子
桑の実やなんでも口に入れてみて 篠原隆子
龍門の滝までのぼれ五月鯉 篠原隆子
汗かいて鯛より鯵を好む性 篠原隆子
二人きりパックの鮨と菖蒲湯と 水津房子
【入選】
あをによし奈良の御寺の白牡丹 石川桃瑪
五月晴宗匠頭巾脱ぐ翁 石川桃瑪
噴水や上司穏やかならぬ顔 臼杵政治
特攻が発ちしかの日や新茶汲む 城田容子
どぜう鍋つつき一献傘雨の忌 城田容子
はんざきの知らぬ存ぜぬ裂かれても 大場梅子
歯の弱い母へ鰻を贈るべく 大場梅子
明易し蟻は人より仕事をす 間宮伸子
蟇病みて骨に余せる衣かな 臼杵政治
相模にはもののふあまた鯵を焼く 臼杵政治
揉み合はす手より気合ひの新茶かな 仲田寛子
走りの茶桃源郷に摘みきたり 仲田寛子
東名高速とばして土佐へ初鰹 吉田順子
薔薇満開われの平癒を祝ふごと 吉田順子
肩先の色づきそめし実梅かな 金澤道子
御田植や五十鈴川より水引いて 菅谷和子
ありがたう能登の浜辺に鯉幟 神谷宜行
夕焼や浄土の光こぼれくる 水津房子
土噛んで代田の出来を確かめん 上 俊一
第二句座 席題 (麦の秋 父の日 蜥蜴)
【特選】
子は父の日なぞすつかり忘れゐて 大場梅子
苦手なり原つぱの虫とかげども 水津房子
父の日の大きな湯呑仏壇へ 石川桃瑪
刈る父の見えてはかくれ麦の秋 菅谷和子
手囲ひにしつとり重き蜥蜴かな 金澤道子
縞を着てフランス山の蜥蜴かな 金澤道子
父の日や俘虜の悲しみ言はで逝く 園田靖彦
ほんたうは君は何色青蜥蜴 園田靖彦
はじめてのあからむにきび麦の秋 仲田寛子
【入選】
父の日や俺をピエロにする気かと 城田容子
小満の月はさやかに蜥蜴生る 間宮伸子
父の日や母の写真をそつと添へ 神谷宜行
麦秋やバス乗り継ぎて祖母と逢ふ 神谷宜行
麦秋や父の記したもの開き 仲田寛子
走り出てけふのは小さし瑠璃蜥蜴 越智淳子
麦秋や戦死の父のいとほしく 吉田順子
父の日は父の作法のお茶を汲む 長野いづみ
麦秋の二十四州ウクライナ 石川桃瑪
(篠原隆子記)
東京ウェブ吟行句会(19-22日、夏雲システム、21名)
吟行地:浜離宮庭園(築地~汐留界隈)
兼題:麦嵐、百草を闘はす、袋角
風音に聡くなりけり袋角 金澤道子
麦嵐ゴッホは耳を切りにけり 関根千方
円安の国へどかどかサングラス 大場梅子
たんたんと生涯無名麦嵐 神谷宣行
わが生は名残りの裏へ麦嵐 上村幸三
紺青の十勝連峰麦嵐 神戸秀子
少年の微熱のひと日袋角 石塚純子
看護士はいつも小走り麦嵐 那珂侑子
鮮やかなマグロ解体風薫る 安藤文
眼で問うて眼で即答の鰹糶る 園田靖彦
道長も袖まくりあげ闘草す 藤英樹
あれほどの大角落とし袋角 菅谷和子
三百年の松や涼しき御姿 大平佳余子
惜春や寸の厚さの玉子焼 片山ひろし
君と野に摘む嬉しさよ草合 越智淳子
春雨に湯気ほのぼのと袋角 岡村美沙子
夏日影築地場外狭き路地 石川桃瑪
本棚へはたと現はる銀の蜘蛛 松岡伴子
旧離宮遅れ遅れの緑摘み 原京子
蕗と煮る身欠き鰊や姑の味 服部尚子
闘草や判者に牧野富太郎 臼杵政治
(関根千方記)
鎌倉吟行句会 (5日 英勝寺 5名)
第一句座 (7句出句5句選)
山の水あふるるところ花海芋 道子
教会の屋根越えてゆく夏の蝶 侑子
初夏の旅は鎌倉良き風に 淳子
竹の葉の落つる遅速を見てひと日 美津子
白藤や扇ヶ谷に風通る 和華子
第二句座 (席題 蝸牛/薄暑 3句出句3句選)
ででむしでござりますると縮こまる 美津子
でで虫のところ得顔や青木の葉 淳子
ししむらのむくりむくりとかたつむり 道子
放課後のおしやべりタイム薄暑かな 侑子
帆船の白遠ざかる夕薄暑 和華子
(谷村和華子記)
埼玉句会(26日、埼玉会館、4名)
AIに一句たまはる梅雨入かな 市人
九十歳何がめでたい羽抜鶏
草の戸へぐいぐい迫る今年竹 靖彦
二の腕の太き娘ら薄暑かな
暁の鶏鳴細し羽抜鶏 宣行
薄暑光大谷となりホームラン
戦争はまだまだ続く更衣 ゆき
検診はもう行くまいぞ羽抜鶏
(萬燈ゆき記)
愛知吟行句会(9日 藤前干潟)
あおなみ線の名古屋駅に集合し、のんびり20分ほど電車に揺られ、海へ。この海は、ラムサール条約に登録されており、大潮で、広大な干潟となっていた。風は少し強かったが、気持ちよい吟行でした。高橋すみ子さん初参加。
原つぱは大海原や青嵐 恵美子
田を漁る白鷺いつも一人ぼち 春日美智子
さざ波にコサギ濡れるや無垢な目で すみ子
透き通るからだのなかを若葉風 肇
夏の空ガザにつながる大干潟 尾燈子
夏帽子おさへ鰺刺見にゆかん 楓
ちりちりと干潟の波の夏めけり 正博
コアジサシ空へも海へもつつこみぬ 通江
日にさらす大きな心潮干潟 雄二
(稲垣雄二記)
岐阜句会(23日 岐阜市西部福祉会館)
第1句座 兼題(青嵐、粽、夏木立)
輝いて大きく見ゆる夏木立 沙羅
混乱の地球鎮める青嵐 春日美智子
その蔭に生き返りたり夏木立 上松美智子
青嵐草が音たてたけりけり 通江
青嵐まなこ見ひらく仁王像 恵美子
第2句座 当季雑詠
光の君の庭揺すりしか青嵐 沙羅
柿若葉おほい被さる母の家 春日美智子
サングラス華やぎたるや旅に出る 上松美智子
四歳には一大事なり天タウ虫 通江
ずり落ちるサングラス掛け遊ぶ吾子 恵美子
(梅田 恵美子記)
京都句会
古志京都句会5月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。
5月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(青鷺)、喜田りえこさんのエッセイ「ふるさと歳時記6月」と「季語・五月雨を考える」、そして竹下米花さん作の絵手紙(あやめ&子どもの日)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。16名参加。
新緑の一枝を添えて河鵜の巣 美那子
花あやめ子供が舞へる能舞台 悦子
生と死のもつれてをりぬ蜘蛛の糸 忠雄
子どもの日一茶の冠る紙兜 りえこ
村死して筍は伸びざかりかな みさ子
新緑を貫く一矢騎射の音(流鏑馬) 初男
子どもの日子が来て孫を置いてゆく 雄二
逃げ水やパスワードまたまちごうて 英二
連れ添うて黴たるものも愛ほしく 久美
デクノボー仏のごとき葱坊主 恵美子
ひとしきり忍者の相手子供の日 美恵子
青鷺の冠羽に光る雨の粒 淳子
風炎や能登の瓦の照り返し 佳澄
さみだるる最後の恋の終りけり 杳平
長すぎて巣組みの枝を落としたる 嘉子
告白の始終青鷺聞いてをり 茉胡
対面句会は、5月15日(水)こどもみらい館で実施しました。丁度葵祭の日と重なりましたので、午前中は葵祭の巡行を見ました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座7句出句(席題「虹」「蚊」「茅花流し」「豆ご飯」「蝿虎」「夏めく」「薄暑」)7句選句。7名参加。土佐弘二(俳号・欣也)さん初参加。
古の音ひきつれて葵祭り 佳澄
駅員の指差し真直ぐ夏きざす
かさねより覗く縹(はなだ)の涼しかり りえこ
健やかや子ども食堂豆ご飯
生まれたての五月の風へおやすみなさい みりん
笑ひたくなるほど緑豆ごはん
傘雨忌や賀茂の河原にカップ酒 欣也
きのふよりつばな流しや旅鞄
あやめ挿す風流傘は大路へと 洋子
豆ごはん歌仙いよいよ挙句かな
晴れやかに挿頭ゆれをり加茂祭 いほり
虹立つや訪ねあぐねて君の家
先導は婦警の騎手よ賀茂祭 茉胡
ランチ運ぶAIロボよ夏めきぬ
通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:mako10himu6@nifty.com
(氷室茉胡記)
奈良句会(28日 zoom句会 11名)
赤子の手躱し躱してしゃぼん玉 正子
五月雨やスクールバスに一人だけ まち
一声に思ひのたけを夏鶯 豊
空海の瞑想深く夏木立 りえこ
母に唄ふねんねころいちみどりの夜 久美
羅を連れて野獣の如き夫 まこ
羅に心隠して会ひにゆく 雄二
太古とはこんな貌なり山椒魚 忠雄
羅や贔屓の役者襲名へ 洋子
人力車にビニールシート梅雨入かな 悦子
鹿の子や早も煎餅に頭下げ 淳子
(きだりえこ記)
大阪句会
メール句会(雑詠7句出句、5句選)
焦げの香や新たまねぎをバター焼き 美栄子
沖をゆく白き巨船や春の海 豊
歌仙まく花の名残の土手を来て 百合子
探し物見つからぬまま春ゆきぬ みつこ
故郷を出て五十年花は葉に 陽子
咲き初めしみつばつつじや稚児の列 頼温
卯の花腐し晴らすニュースはホームラン 歌子
初夏の風が開くや全句集 洋子
夏来る檜の湯桶ひびかせて 久美
天翔る善哉歌仙鯉のぼり りえこ
母の日やただただ母のそばに居り 誠
田植機の黙々とゆく水に影 美那子
勅使門入れば青葉浄土かな 茉胡
Zoom席題句会 席題(紫・濁り鮒・粽)3句出句、3句選
春たけてしんとありけり紫宸殿 久美
山藤や一山の靄紫に 歌子
紫の風さざ波に立浪草 美那子
藤の花舞ふむらさきの夢の中 百合子
縁側に足伸ばし食ふ粽かな 豊
粽解くぐるぐる長き香りかな 頼温
ねんごろに作れど三口粽かな 洋子
濁り鮒バケツの底は銀世界 誠
しろがねの影ひるがへし濁り鮒 歌子
濁り鮒雨朦々と分けがたく みつこ
(木下洋子記)
松山句会(25日 メール句会 9名)
兼題:卯月、燕の子、葉桜、薄暑、夏館 5句出句5句選
まだ空の深さを知らず燕の子 陽市
白樺の白の盛りを夏館 真樹子
夏館バイエルハノン漏れにけり まさし
窓少し開けて軽トラ薄暑かな 真奈美
胸元の白さが自慢薄暑かな 紫春
葉桜や緑みどりに仲間入り 博山
竃の火絶やさぬ軒に燕来る 伊都夫
葉桜や背筋真っ直ぐ老ひて尚 夕未子
葉桜より葉桜へゆく乳母車 まこと
白壁の白のまぶしき薄暑光 真奈美
葉桜や葉擦れさはさは拝殿へ 紫春
燕の子無人の駅にけたたまし 伊都夫
葉桜もまこと艶やか吉野山 真樹子
賑やかに親を待ちたり燕の子 夕未子
夏館たまに見かける画伯かな まさし
舟降りて辿る薄暑の狭き路地 伊都夫
板の間の黒光りする夏館 真奈美
薄暑光イルカのショーの水しぶき まこと
(木下まこと記)
福岡句会(25日 大名公民館)
第一句座
言ひたいこと言ふて二人やさくらんぼ 和子
緑陰や歌碑より都人の声 紀美代
花茣蓙に収まるほどの家族かな 民也
朧月危ふき地球灯しけり 久子
泳法は浮いて沈んで水海月 博人
外に出れば時を合わせて郭公啼く 伸一
蓮池や影あるものを動かせり 静子
青葉若葉きのふ模様のありどころ 悠
富士山の遠く映ゆるも清和かな 龍梅
写メールのライラックの花香りくる 真知子
(斉藤真知子記)
長崎句会(24日 長崎平和公園ほか吟行 9名うち3名メール参加)
当季雑詠
初蛙いびき聞こゆる旅の宿 まり子
庭仕事邪魔だと蜂に唸られし 睦美
ドクダミの真白き花ぞ霊居るや 文
なんじやもんじや笑みを溢して宮参り 玲子
日曜の朝の産声聖五月 なおよ
藤の花巨大古木の天地かな 弘美
山ガール沢の飛び石ひょいひょいと 順子
腕白も新茶を入れる歳になり 美智子
雷や追ひつ追はれつ恋激し 瑠衣
題詠:鮎・落し文
落し文あるじの居らぬ門の錆 玲子
拾われし恋も数多や落とし文 美智子
大鮎や竿がつの字にぐいぐいと 瑠衣
慰安旅行鮎の塩焼き前にして 文
鮎釣りや父を偲べば120年 弘美
鮎焼かる目には青葉を映しつつ なおよ
落とし文風のまにまに届きけり 睦美
幼子にも鮎の塩焼き一串ずつ まり子
釣り上ぐる空飛ぶ鮎は弧を描き 順子
(ももたなおよ記)
熊本句会(15日 通信句会 4名)
兼題(時鳥、更衣) 7句出句5句選
更衣電車一気に軽くなり 若松節子
風炉開き今年も沙羅の咲き初むる 北野沙羅
不如帰あまた戦死者殉教者 佐竹佐介
金峰山水系ゆたかほととぎす 加藤裕子
(加藤裕子記)
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