2024年4月句会報告

ZOOM句会


深川句会(10日/18名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

陽光の君はたんぽぽ我はわた     城田容子
朧夜の朧のままに源氏読む      安藤 文
古りにけりあの喜びの鯉幟      菅谷和子
かきくけこのこはころばない老の春  那珂侑子
海神の大きなつばさ潮干潟      篠原隆子
醍醐へと競うてゆくや花衣      大場梅子
子猫はや立派な髭は母譲り      仲田寛子
会釈して顔をちらりと春日傘     石川桃瑪

【入選】

尻据ゑて手漕ぎボートに春惜しむ    仲田寛子
勇んで出せばしわしわの春ショール  長野いづみ
パーカーをぱつと脱ぎ捨て花ひとひら 長野いづみ
膝つきて野蒜抜くにも上手下手     金澤道子
梟雄にして恐妻家烏の巣        臼杵政治
春濤や母の言葉を遠く聞く       臼杵政治
分け入つて毛馬の里へとゆく春ぞ    大場梅子
義仲のごとく暴れよ若駒よ       大場梅子
ハンガーを入れて鳥の巣頑丈に     大場梅子
春の雲悟空が乗つてゐるらしく     安藤 文
げんげんを喰うて反芻こつて牛     上 俊一
弁当の飯離れよし桜かな        上 俊一
点滴の一滴づつの春ならん       園田靖彦
ふるさとの名をもて開くさくらかな   園田靖彦
茶摘み唄うたへば摘む手遅れつつ    菅谷和子
福耳へ貧しき耳へさへづれる      城田容子
納屋の中いつまで子熊居座れる     神谷宜行
囀の大回廊を生き進む         神谷宜行
遅き日の小路に炙りふぐの鰭      篠原隆子
崩えず在れ万の緑の立つ国よ      篠原隆子
青柳や老師とくとく籠井茶      谷村和華子

第二句座 席題( 白子干 鶏合 蜃気楼 )

【特選】

気合入れえいと放すや鶏合      谷村和華子
孔明の術中にゐる蜃気楼        城田容子
白子干おまけは片手ひとつかみ     園田靖彦
小動の浜は我が庭白子干す       金澤道子
笊の目にしの字しの字と白子かな    臼杵政治
さまよへる徐福が船や蜃気楼      菅谷和子

【入選】

籠ぱつと除けて始まる鶏合       石川桃瑪
バンコクの熱きにぎはひ鶏合      仲田寛子
老人はキセルで激を鶏合        仲田寛子
戦なき世界の見えて蜃気楼       安藤 文
蜃気楼突き抜け空母来港す       神谷宜行
勝鶏の抱けばいよよ暴れけり     長野いづみ
初島の沖つ白波白子干す        大場梅子
ひとくちであはれ何匹白子干し     水津房子
カカカカと勝鬨あげて軍鶏たける    菅谷和子

(篠原隆子 記)


東京ウェブ吟行句会(21日 夏雲システム 21名)

吟行地:六義園、旧古河庭園(駒込周辺)
兼題:茶摘、治聾酒、蝌蚪

やはらかき命摘みけり一番茶   石塚純子
治聾酒やしみじみと読む鬼城の句 大場梅子
春の月背山妹山影濡れて     上村幸三
一行の詩歌の国や緑立つ     関根千方
人形焼割れば泣き顔傘雨の忌   神戸秀子
降り立てば躑躅の里よ駒込は   大平佳余子
雪のこる富士までひびけ茶摘み唄 菅谷和子
かたわらに子供が唄ふ茶摘みかな 那珂侑子
感じとる宇宙の電波治聾酒    神谷宣行
川靄に濡れて狭山の一番茶    片山ひろし
茶を摘まん富士が茜に染まるまで 金澤道子
大井川安倍川かけて茶摘せん   藤英樹
さみどりの色かぐはしき菜飯かな 園田靖彦
手から手へ蝌蚪のくすぐり貰ひけり 原京子
治聾酒や明日は小鳥の声に醒む  岡村美沙子
茶摘女の妻よ香りを連れ帰る   臼杵政治
宇治は今四方さんざめく茶摘歌  長野いづみ
治聾酒を酌めば雨音高まりぬ   松岡伴子
ゆるやかにぶつかり合うて蝌蚪の群れ 安藤文
戦争はやはり茶色か蝌蚪の紐   服部尚子

(関根千方記)


鎌倉吟行句会 (7日 腰越漁港 小動神社 7名)

第一句座  (7句出句5句選)
実朝の海へと吹かれくる桜   道子
手水とり心も洗う桜かな    恵美子
甘き湯気打ち広げては白子干す 美津子
揚白子生白子釜揚げと尽しけり 淳子
白子干横から下から扇風機   侑子
チュ-リップ花を覗けば万華鏡 英樹
帆を上げよ私の中を春の風   和華子

第二句座  (席題 若布 花冷 3句出句3句選)
花冷やグレ-の空はやはらかき 恵美子
渤海の風は冷たし和布刈舟  英樹
何よりも元気な子にと葦の角  侑子
谷暮れて吉野しんしん花の冷  淳子
花冷を漉きて一枚吉野紙    美津子
花冷えや長き袂を膝の上    道子
若さとはときにこりこり新若布 和華子

(谷村和華子記)


埼玉句会(28日、埼玉会館、5名)

春の味春の香りを折詰に        市人
花衣ぬぐやたちまちおさんどん
満ち欠けの月に恋せし田螺かな    靖彦
逝く友の男気一本春惜しむ
せせらぎの水が歌ふよ夏来る      宣行
文字曇る位牌卯の花腐しかな
ダービーやAI信じ文無しに       つねお
子は感性親は理性や柿若葉
匂ひたつ筍飯のとき来たり        ゆき
ゆく春や金で継ぎたる志野茶碗

萬燈ゆき記)


愛知吟行句会(4日 名古屋城)

 昨日の雨が嘘のように晴れ、塵一つない空の下、ほぼ満開の桜を城の堀に沿って見て歩く。飲食街「金シャチ横丁」のおいしそうな匂いを抜け、ウィル愛知のビルへ。そこで、ランチを食べ、会議室で句会。今回、三浦肇さんが初参加。 

糸桜やさしくふるる大地かな     恵美子
花浴びぬ肩にかかれば老いはじめ   春日美智子
桜花フレッシュマンは湧くごとし   沙羅
もとほりて名句浮かばず花疲れ    肇 
空壕を侵すものなしたんぽぽ黄    楓
此処に来てまことの花見旅の果    尾燈子
春光をこぼして歩兵連隊碑      正博
まつすぐな目の女たち入学す     通江
金鯱のこれが尾張の大花見      雄二
(稲垣雄二記)


岐阜句会(25日 岐阜市西部福祉会館 4名)

第1句座 兼題(薊、百千鳥、夏近し)

孫熟寝バギーを押すや花薊      上松美智子
夏近し能登の塩田きらめきぬ     春日美智子
あざみ現れあざみ去りゆく美しく   通江
白山の山ふところや百千鳥      恵美子  

第2句座 当季雑詠

初桜娘四十七の誕生日        上松美智子
薮やせて姿見せねど初音かな     春日美智子
なにもかもすぎゆく車窓若葉かな   通江
野あざみを手折りし指の痛みまだ   恵美子
(梅田恵美子記)


京都句会

古志京都句会4月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。 

4月通信句会は夏雲システムを利用して実施。主宰のブログ(大阪)、喜田りえこさんの(ふるさと歳時記4月)、そして竹下米花さん作の絵手紙(チューリップ)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。16名参加。

夢でしか帰れぬ故郷しじみ汁     洋子
仏生も涅槃も桜吹雪きけり      忠雄
うち開く花のテントやサーカス来   久美
茎立や草鞋伸びきる仁王門      英二
春の海離れて一艘また一艘      雄二
空爆を思ふや満目花の下       美那子
やはらかき土の匂ひやチューリップ  恵美子
桃源へ道細くして春の果       りえこ
ウクライナ平原にこそ穀雨あれ    杳平
別れ霜味こってりと親子丼      悦子
大阪人はジンタのテンポチユーリツプ 美恵子
西行の終の庵や花の幽        淳子
花散りて行方は己が意にあらず    初男
千年のさくらが落とす滝しぶき    みさ子
駄菓子屋の婆ちゃん今日も目借時   佳澄
お多福が咲かせし花か八重桜     茉胡

対面句会は、4月17日(水)こどもみらい館で実施しました。第1句座5句出句、5句選句、第2句座5句出句(席題「若楓」「蛍烏賊」「遠足」「田楽」「花馬酔木」)5句選句。5名参加。

春宵や夫婦善哉ほな行こか      洋子
若楓迎へてくれる新居かな
花ミモザためらはず引くアイライン  りえこ
よき風と躙口へと若楓
桜蕊降りて説教長々と        佳澄
田楽や勝手知りたる他人の家
暮れゆきて内より灯る桜かな     いほり
蛍烏賊海の青さに身の透きて
羊みな耳に標識春の風        茉胡
合唱の練習佳境花馬酔木

通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:mako10himu6@nifty.com  
(氷室茉胡記)                    


奈良句会(23日 夏雲システム 10名)

永き日や神経痛と言ふ平和      正子
海峡の空の高みへ初燕        豊
ゆく春や渺々どよむパイプオルガン  淳子
渦潮は大きなゑくぼ海笑ふ      忠雄
黒々と梁ゆるぎなく柏餅       久美
夏めくや風になりたるヨガポーズ   洋子
お品書すかつと変へて夏めけり    悦子
朝練に誘ふチャイムの夏めきて    まち
切り開く自選五百句柏餅       りえこ
柏餅孫が帰ってくるという      美那子

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、きだりえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:kidarieko@kcn.jp  
(きだりえこ記)


大阪句会

メール句会(雑詠7句出句、5句選)

春寒や鉄鍋しんと厨房に       みつこ
余寒ありいつも一人の事務所かな   一爽
紙雛ふたつ重ねて流しけり      陽子
春障子左右に開けて伸びをする    頼温 
朧月母と妻乗せ野良仕事       誠
初蝶やこの世のものきらめかせ    豊
遺跡めく高層ビルや黄砂濃し     歌子
子雀に雨の三日となりにけり     美那子
幼にも挫折ありけり木の芽雨     茉胡
花屋には明日の花束卒業期      美栄子
弁当の大中小や四月来る       洋子
唐船のまぼろしがゆく春の海     百合子
夢殿へ夢を紡ぎに春蚕かな      りえこ
見つけても摘むをためらふすみれ草  泰子
名を知ればたちまち眩し木の芽かな  久美

4月2日、大阪花見吟行句会
大谷主宰をお迎えし、大川端の桜並木を吟行しました。まだ、3分咲きほどでしたが、好天に恵まれ大川と桜を楽しむことができました。対面で指導を受けることができ、充実した句会になりました。

大谷弘至主宰選

第一句座(当季雑詠五句出句・五句選)

特選
遊覧船大きく曲がる花の昼      佳澄
花の巻桜の宮にはじまりぬ      雄二
桜もち濁世なかなかよかりけり    久美
初花や水ほとばしる洗堰       久美
満開の花の浪花にまた来よと     麻衣子
花の句座短冊くばるさざめきも    美那子

入選
これこそよ花の浪花の花句会     洋子
たこ焼きの蛸切る一代花の下     雄二
飛石を迷ふ齢や黄砂来る       茉胡
対岸も桜の列ややや遅し       泰子
義仲寺へと急ぎし舟路桜かな     美那子
一年を大事と思ふ桜かな       美那子
行く人の顔ほころびて桜かな     頼温
頼温(らいおん)てふ句友迎ふる花日和 茉胡
雑居ビル新入社員賑やかに      美那子
つめたさの桜にひびく貝の笛     麻衣子
毎日が誰かの忌日花ふぶき      百合子

第二句座(席題〈鰆・春の夢・春耕〉五句出句・五句選)

特選
永遠に阿修羅は春の夢のなか     りえこ
なつかしき毛馬の堤や春の夢     洋子
春の夢長き堤を帰りゆく       久美
見はるかす毛馬の堤ぞ耕さん     久美
耕せば小鳥の国や山の畑       雄二
蛸を切る春の夢より覚めてまた    麻衣子

入選
故郷を出て浪花に見たる春の夢    麻衣子
耕しやいよよ今年が最後かと     茉胡
母さんと呼ばれて久し鰆焼く     佳澄
腹見せて一機耕す人の上       久美
瀬戸内の島の育ちや鰆釣り      洋子
ゆるみたる鍬をとんとん耕せり    佳澄 
後悔は母恋となり春の夢       美那子
又平と酔うて蕪村よ春の夢      麻衣子
さわら漬けん西京味噌を奮発し    美那子
(木下洋子記)


松山句会(18日 メール句会 9名)

兼題:若布、桜餅、鳥雲に、陽炎、行く春  5句出句5句選

新若布海の緑を朝餉にす       紫春 
かぎろへるものの一つや輪島塗    真樹子
若布汁今日の歩みよ健やかに     博山 
結局は孤独大かげろふの街      陽市
桜餅病妻はひとつ食べきれず     薫
寒村に若布干す婆子ら遠く      伊都夫
夕暮れの郷はさみしく鳥雲に     夕未子
桜餅葉を食べる通食べぬ通      まさし
陽炎や恋はおほかた勘違ひ      まこと 
切なきは死ぬまで女桜餅       紫春 
行く春や友の訃報の多かりし     薫 
懐かしきこと多くなり桜餅      真樹子 
日に風にまかせたままよ若布干す   陽市 
墓石に陽炎ひとつ立ちにけり     薫  
陽炎の向ふへ走者消えにけり     まさし 
鳥雲に平家滅びし海蒼く       まこと   
(木下まこと記) 


福岡句会(27日 9名)

第一句座 

生きたればこそ生き字引昭和の日   民也
蕨餅竹の器に竹の箸         幸子
老桜の盛んや天をかくすほど     伸一
筍をフライパンで焼く娘かな     和子 
夏来たるぐんぐん上がる打球かな   龍梅
美しき最終章や花筏         久子
スーパーのポイント五倍つばめ来る  國光
鞦韆やたをやかにひと唄ひをり    悠
浮かび来て花まみれなる鯉の顔    真知子 

第二句座(席題、メーデー)

メーデーや主義なく列にまぎれ込む  龍梅
メーデーや今も唄える革命歌     國光
電話ボックスよりメーデーの列を見て 幸子
メーデーの列を眺める犬二匹     悠
メーデーや心に波のごと寄せて    久子
乳母車渡りメーデー動き出す     民也
メーデーを不思議な顔で見てゐる子  真知子
(斉藤真知子記)


長崎支部(26日 メール句会 9名)

当季雑詠

花便り会いたき人の声胸に      弘美
花吹雪元気な内に施設入り      文
満開や桜を嫌ふ人知らず       順子
薫風や駄菓子屋のくじはスカばかり  美智子
花筏亀の顔出す池の面        まり子
リラ冷えや犬に聞かせる愚痴話    睦美
春の雷異動の友の長電話       玲子
つばくらや町に帰港の護衛艦     なおよ
春暁に母の現や鬼来しと       瑠衣

題詠 囀り・金盞花

囀りの我を見つむるひよの声     弘美
ひとしきり囀り蒼穹へ発つ二羽よ   文
囀りを指で奏でるコンチェルト    順子
囀りの途切れ途切れに帽子脱ぐ    美智子
囀りや夫に便りを出すところ     まり子
たくさんの小さき太陽キンセンカ   睦美
好き嫌いせず食べ白寿金盞花     玲子
囀りやコールユーブンゲンから始む  なおよ
新仏供花は庭から金盞花       瑠衣
(ももたなおよ記)


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題(長閑、蝌蚪)  7句出句5句選

のどけしやひねもす土手に山羊親子   北野沙羅
君たちはどう生きるのか蝌蚪の紐    佐竹佐介
スキップのまだたどたどとチューリップ 若松節子
空映す蝌蚪の世界や沢一つ       加藤裕子
(加藤裕子記)

 

 

             

 

 

       

  

          

      

  

                                     

                                                            

         

                                                         

       

     

          

 

 

 

 

 

 

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です