3月句会報告


ZOOM句会


郵便句会

大谷弘至主宰選

◎特選

枯れきるといふは美し野も人も    関君子
船でゆく海津大崎花の帯       水谷比嵯代
雛の酒雛のあられも二人かな     小島楓
見て触れて嗅いで齧れば野蒜かな   加藤百合子
恋猫のがつくり落ちて両の肩     白石勉
春の山近くにありて瑞瑞し      田中信爾
朧夜の鯛ひとかけの御吸物      白石勉
すり切れし地図の折り目や雲雀東風  西川東久

○入選

雨音の静かな中の朝寝かな      関君子
網づくろひ今は花待つ豆州かな    田中尚子
初蝶やエーゲの海に島いくつ     田中尚子
忘れ潮母の添ひ寝の春の歌      西川東久
春なれど地下に避難の人あまた    伊達公子
丘の上の樺の芽吹きを見にゆかむ   伊達公子
見はるかす小舟動かず瀬田蜆     加藤百合子
花の朝今日は眼科かリハビリか    加藤妙子
雛作りくれたる友よ逝きにけり    伊達公子
角曲がるミモザの風に吹かれたく   小島楓
一皿は庭のはこべのおひたしを    北野沙羅
これはこれは土筆は山羊の馳走とは  北野沙羅
(氷室茉胡記)                   


深川句会(8日/15名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

あいさつをするかに笑ふ山と山    城田容子
馬鹿貝が舌出してアインシュタイン  上 俊一
「これが楽」正座の祖母や雛祭    上 俊一
島から島とび石にして春風来     仲田寛子
よく遊び以下同文の卒業子      片山ひろし
母はやせ子熊まんまる穴を出る    大場梅子
種馬と知らず言ふまま曳かれゆく   園田靖彦
叡山を老いてや出でし春の僧     篠原隆子
春風の上に南無阿弥寺御座す     西川東久

【入選】

梅の香やゴッホが恋ひし梅屋敷    西川遊歩
反戦歌うたへよ蛙喉嗄らし      西川遊歩
一山を覚ますがごとく花辛夷    長野いづみ
わが老いに抗ふことを卒業す     城田容子
怠れば梅も咲かずよ学問所      城田容子
検眼表どれもが○や鳥雲に      神谷宜行
栄螺の身醤油がしみて縮こまり    上 俊一
その辺りぽつかり寂し雛納む    谷村和華子
雪解けてわらわらわらべりんごつこ  大場梅子
ぜんまいのくるくるルート解けといふ 大場梅子
栄螺呉るるひよいと舟から板渡し   仲田寛子
蜂の巣の三日見ぬ間の大きさよ    園田靖彦
おひさまを神としたひて鳥の恋    菅谷和子
田楽の串のながきも郷士ぶり     篠原隆子
福島を去る子残る子卒業期     片山ひろし

第二句座  席題 (春田打 水温む 花粉症)

【特選】

水温むいよいよ今日から艇浮かめ   園田靖彦
春田打つ常念坊はまだかいな     上 俊一
ありがたや神なる杉の花粉症     篠原隆子

【入選】

序文より先に進めず杉花粉      上 俊一
水温む虫食ひの歯の舌ざはり     上 俊一
猫の名は姫と決まりぬ水ぬるむ    仲田寛子
木魚の音涙ながらの花粉症      石川桃瑪
またの世もこの田を打たん老夫婦   城田容子

(篠原隆子記)


東京神奈川吟行句会(11日/武相荘/7名)

第1句座   (吟行句)

骨董も男も目利き花ミモザ       宣行
生きて花死して花なり武相荘
スマートに生きて暴れて春田打つ   梅子
無駄のある暮しを愛し木の芽和   
白洲次郎とは一陣の春の風       千方
木の家のよく鳴る春の一日かな
春灯しいまも主のゐる如く        侑子
歩くたび床きいきいとうららけし
ひとひらの解けてたちまち花辛夷    道子
風すこしあるもうれしき春コート
ベントレーが昭和駆け抜け亀の鳴く   和華子
茅葺を支へる大樹春の空
茅葺きの大屋根替へる話かな      佳余子
北窓を開けよとばかり紅椿
 
第2句座   (席題   陽炎・鳥帰る・植木市)

江の電来る陽炎をはらひつつ       道子
苗市は新百合ヶ丘駅の前         千方
かげろうて花となりたる大地かな     宣行
かにかくに陽炎追ひし一世かな      梅子 
みちのくの白鳥すべて帰りしと       侑子
鳥帰る湖にさざなみいつまでも       和華子
故郷へ一直線や鳥帰る           佳余子 

(大場梅子記)


埼玉句会(26日、埼玉会館、6名)

桜もち遠き香りを放ちをり      市人
春ある日囁きかけてくる愁ひ
ひさびさの一筆啓上花の雨      靖彦
オレオレに三度釣らるる四月馬鹿
搦手の堀を埋めたり花の屑       宜行
騙さるることが幸せ万愚節
逝く順序決めるは何ぞ亀鳴ける    つねお
妻デジタルわれはアナログのどかなり
呪文めく漢方薬の名四月馬鹿     すみえ
花の雨侍ロスを如何にせん
恐るべき空の青さよ啄木忌      ゆき
ローマ字で書きし恋文啄木忌

(萬燈ゆき記)


鎌倉吟行句会(5日/逗子市小坪漁港からマリーナ/7名)

第一句座:吟行句・雑詠句
横たへて舟より長き若布刈竿    道子
番屋にひとり春の焚火をなだめつつ 美津子
蜑小屋の軒より高き椿かな     英樹
栄螺籠浜の商ひ量り売り      和華子
モンローの絵を貼る食堂春の潮   侑子
北便りどつさり届きしアスパラガス 恵美子
若布刈舟迎へん下帯りうと締め   はるみ

第二句座:席題「苗札」「目刺」で3句出句、3句選
真つ直ぐに苗札挿して待つばかり  和華子
苗札は孫の楷書や十五枚      はるみ
ほろ酔ひのけふも一合目刺かな   美津子
達筆の苗札友は今は亡き      侑子
苗札とせんカラフルな種袋     道子
目刺焼く恋女房の恋しけれ     英樹
来客や焦がさぬやうに目刺焼く   恵美子

(長井はるみ記)


愛知吟行句会(9日 岐阜市梅林公園)

公園の機関車の前に集合し、風もなく穏やかな公園を吟行。ほとんどの梅の花は満開で、白梅は散り始めている木もあった。その後、近くの百年以上の伝統がある「植東」で昼食、句会。

梅日和マスクをとりて闊歩せり   恵美子
鶯谷梅はまだまだ固きまま     春日美智子
まん中に機関車を据え梅の里    楓 
うららかやツブの田楽コリコリと  沙羅
梅咲くを待たずに逝きし人のあり  尾燈子
ケセラセラ下天のうちを蝶の昼   正博
白梅にあるや静かな花ふぶき    雄二
(稲垣雄二記)


岐阜句会(23日 岐阜市西部福祉会館 4名)

第1句座 兼題(花冷、伊予柑、四月馬鹿)
四月馬鹿からかふ人はあの世へと   上松美智子
花冷や争う鴉黒光り         春日美智子
はろばろと乙女のごとき伊予蜜柑   沙 羅
花冷の母逝きし日やガラス窓     恵美子

第2句座 当季雑詠
咲き満ちる椿ついばむ鳥一羽     上松美智子
どこよりぞ鶯戻り高らかに      春日美智子
大空や木五倍子の花のうすみどり   沙羅
きらきらとコップに揺れる挿木の根  恵美子
(梅田恵美子記) 


京都句会

 古志京都句会、3月はいつものとおり、通信句会と対面句会を実施しました。
 来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。 

 3月通信句会は夏雲システムを利用して実施。事前に送ったAI俳句に関する新聞記事の写真と私(茉胡)の文章、そして米花さん作の絵手紙(土筆&おぼろ)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。15名参加。

白梅にあるや静かな花ふぶき     雄二
噛み合はぬロボの返事や鳥雲に    米花
AIに任せてをけぬ種選び      美那子
夫と摘む土筆夕餉の一皿に      嘉子
鴨川の水の匂ひの土筆摘む      悦子
AI句花無き春のごとしかな      美恵子
太陽と風が染みけん切干大根     初男
三井寺の鐘に跳ねたり初諸子     忠雄
爆撃跡少し離れて菫草        英二
妄想を持たぬAI猫の恋       りえこ
子を下ろす大地に春を置くやうに   久美
鴨川の音を集めて猫柳        佳澄
ささやかな喜びのありつくしんぼ   まき
幸せな娘の春をうたがはず      一爽
何もかもスマホに尋ね春の風     茉胡

 対面句会は、3月15日(日)こどもみらい館で実施。第1句座当季雑詠5句出句5句選句、第2句座席題(「春の興」「蘆の角」「春の興」「桜餅」「寄居虫」)7句出句7句選です。5名参加。

四百年のねねの涙か桜の芽      一爽
三度四度バージンロード春の夢
囀れるここの一樹を宿として     いほり
やどかりの砂紋四方に八方に
フランスパン顎くたぶれて春の昼   佳澄
同窓会病気自慢も春の興
さみどりをぱつと散らして菜花飯   りえこ
君が老い見たくもないわ桜餅
寺社多き哲学の道鳥雲に       茉胡
春の夢私を偲ぶ会盛況

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:mako10himu6@nifty.com 
(氷室茉胡記)


奈良句会(28日 夏雲システム 12名)

さまざまな雲寄り来たる彼岸かな   豊
下草を刈る人のあり花の雲      まち
たんぽぽに国籍のあり皆黄色     雄二
一球に日本の風光りけり       忠雄
桜貝身の無き憂さを虹色に      まき
ただ菫のやうにあるは難きかな    正子
難波津へ川たうたうと桜かな     久美
あつたかや亡父も遠くなりにけり   一爽
波間より島あらはれる磯遊び     悦子
物置となりし子の部屋朧の夜     まこ
言葉てふおぼろを友に一世かな    美那子
ミサイルをバケツいつぱい磯遊び   りえこ

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、きだりえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。  メルアド:kidarieko@kcn.jp  
(  喜田りえこ記)


大阪句会

メール句会(雑詠7句出句、5句選)
脈拍のなんで乱るる雪女郎      美栄子
水仙の寡黙とかたりあふ時間     百合子
日の神も卑弥呼もをんな建国日    歌子
春の雪ほうと見直す紀州富士     陽子
改札に見送りまでの春の雪      みつこ
LINEにて詩歌飛び交ふ梅日和     茉胡
くすくすと笑ひはじめし裏の山    美那子
懐かしき神戸の街や春ショール    洋子
雛祭る百年のちもすこやかに     久美
ストリートピアノ鳴りだす春の昼   豊
風船が四人とアビーロード行く    りえこ

席題Zoom句会 (席題「磯巾着・鳥雲・盗」3句出句、3句選)
したたかな花ひらひらと磯巾着    久美
夢に揺れいそぎんちやくの浄土かな  百合子
鳥雲に芭蕉曽良ゆく陸奥の国     豊
家を買ふ算段甘し鳥雲に       みつこ
どこまでも重なる瓦礫鳥雲に     歌子
鳥雲や我そら見上げ五十年      一爽
旅の無事祈るばかりや鳥雲に     洋子
寄居虫や命の殻を盗まれて      美那子
盗賊の国に向かふな鳥雲に      りえこ
(木下洋子記)


松山句会(18日 メール句会 12名)

兼題:雪解け、雛祭、日永、囀、花  5句出句5句選

山の子は反り身で尿ばる雪解川    崇
この空のこの囀りをとこしへに    紫春 
もう一度集ふてみたき桜かな     真奈美
遊ぶ子のまだ声のして日永かな    夕未子 
厨房に益荒男入りて日永し      伊都夫
花浴びて一人のこらず吉野山     陽市
ゆびとゆび高さをきそふ吊し雛    真樹子  
たちまちに花の国へと大八洲     まこと  
有線が帰宅促す日永かな       和弘  
雪解けや大河の流れたいかいへ    博山 
蒼天にそびえる富士と朝桜      薫   
きのふけふあしたの花の道後かな   まさし
手をつなぎながらはぐれる花見かな  真樹子 
囀りに目覚めよきことある予感    崇
男雛女雛心通すしじまかな      紫春
寒村の翁媼も雛祭り         和弘
萬翠荘雨のち晴れの囀りよ      陽市  
囀りや札所巡りもにぎはしく     夕未子 
囀りの一樹や胸に満もの       まさし
初めてのダンスを披露雛祭      薫  
囀りの音はあの雲に届きけり     真奈美    
故もなくかなしくなりぬ雛遊び    まこと 
(木下まこと記) 


福岡句会(25日 あいれふ)

桜餅買うてほどけし心かな      和子
柿若葉明日疑はぬ人の波       悠
冬物を脱ぎ三月のてのしめり     國光
死んでゐる身には非ずと亀鳴けり   伸一 
春風にすうと乗り込む旅人よ     龍梅
野遊びに出たつきりそもまたよけれ  民也
花冷の薄暗がりに踏むピアス     幸子
朝の窓福の舞ひこむごと初音     久子
短冊や句会の後は春の塵       緑
マスク取り胸の奥まで春の風     真知子
(斉藤真知子記)


長崎句会(24日 まり庵句会 9名、うち5名はメールにて)

当季雑詠 5句
忘れまじパンジーの色ウクライナ   文
堂々とマスク取る日や紅引かむ    順子
ウグイス餅花粉まみれの貌をして   なおよ
入学式赤門くぐり溌剌と       弘美
首伸ばしWBC見入りて亀の春     まり子
春風やカーナビ任せで赴任地へ    美智子
帯高く袴や凜と卒業式        睦美
巣立つ春壁の落書き消せぬ母     玲子
引く鳥も来る鳥もそれぞれに春    瑠衣

席題2句(シャボン玉・枝垂れ桜)
永遠願ふ枝垂れ桜よ桜守り      文
飛び上がる子等の奇声やシャボン玉  順子
シャボン玉飛べど飛ばせど壊れゆく  弘美
シャボン玉空を映して空となり    まり子
はしゃぐ児が静かになりしやャボン玉 美智子
シャボン玉つかず離れず二人旅    睦美
枝垂れ桜触れよとばかり枝伸ばし   瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会(国際交流会館 4名)

第一句座
鞦韆や此の世彼の世と遊びして    佐介
刻々と万物風化鳥曇         佐介
春深む上がり框にたかな漬      裕子
免許更新集ふどなたも春生れ     裕子
しやつくりや苺ミルクは温かく    茉莉子
酢昆布は甘し蛙の目借り時      茉莉子
道なりに川の港や鳥ぐもり      榾火
芽柳の一塊として空揺らす      榾火

第二句座(席題 落し角)
落し角園長室に届きけり       茉莉子
人生の午後に拾ふや落し角      佐介
忘れ角山には山の掟あり       榾火
(記今村榾火)

                 

      

     

           

                          

     

          

                    

 

 

 

 

 

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