1月句会報告

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大谷弘至主宰選

◎特選

仲人の老友に礼初電話        西川東久
厨まで寒九の水を両天秤       神永秀郎
子に持たすコロッケ二十初厨     北野沙羅
小四に負けて嬉しき歌かるた     西川東久
窓に雪百まで数へひとりの湯     小島楓
初電話新幹線に遅るると       北野沙羅
ちょんと乗る長老喜の赤のめでたさよ 水谷比嵯代
河豚刺やふくれつ面がはかなくも   上俊一
真つ新な地平に出でむ初日記     西川東久
松取りて酒器を納むる具足櫃     加藤妙子
割烹着慌てて外し初点前       北野沙羅

○入選

鶯張り床の軋みも寒の内       田中尚子
若菜摘む井の頭線鉄路沿ひ      伊達公子
吉兆の福笹さげて十日かな      加藤百合子
春待つや春色のセーターひろげつつ  藤井洋子
身幹の目醒むあしたや淑気満つ    梶原夕未子
鴨浮寝とほくを風の吹いてをり    水谷比嵯代
箱あけて故郷の香や伊予みかん    梶原一美    
吾が里はべんがら格子に冬椿     水谷比嵯代
雑炊や土鍋のひびも味はひて     関君子
うつ田姫みちのくの湯に湯治とや   加藤百合子
初吟行すなはち恵方詣かな      小島楓
踏まれてもぴこぴこ伸びる冬草よ   春日美智子
大発会見通しきかぬ雪曇       加藤妙子
大湯気をあげて寒九の飼葉桶     加藤百合子
籠る身に霰の音の憩ひかな      加藤久子
この町にはや五十年裏白採り     北野沙羅
待ちあはす尾張国府の淑気かな    小島楓
除夜の鐘じたばたするも積み残し   関君子
爆睡や朝あたたかき冬の雨      田中信爾
満々の燗酒に口震へたり       上俊一
城の崎の外湯巡ればまた時雨     水谷比嵯代
シクラメン葉かげの此処はまだ蕾   梶原一美

(氷室茉胡記)                   


深川句会(11日 15名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

着ぶくれの肩を掘り出し注射かな   上 俊一
死者にのみ終はる戦争雪明り     石川桃瑪
わが胃の腑三日とろろは古来より   原 京子
迷ひ鯨喰うてやることかなはずに   上 俊一
溜めにため邪気放ちけり大嚏     西川東久
改札をぴぴつと鳴らし初句会     久嶋良子
美しきわが名を愛す筆始       谷村和華子
獅子の笛難所の峠越えてきし     大場梅子
吉日の日の出賜る寒造        神谷宜行
蓬莱に輝く福の一文字        城田容子
誰よりも高き福笹肩車        原 京子
金と銀表裏に畳む屏風かな      西川遊歩

【入選】

一歯とて失ふまいぞ火鑽餅      菅谷和子
一羽きてまた来て仲間冬木立     中田寛子
青首をのつと突き出す大根かな    篠原隆子
成り申す枝葉揺らして成木責め    菅谷和子
早梅や里に采女といふところ     篠原隆子
老いし母を叱りしことも根雪かな   篠原隆子
初場所や塩の竹籠青々と       原 京子
白菜の翼をがばと五六枚       中田寛子
新海苔の香我より若き父の忌に    神谷宜行
皸や蠅のごとくに手をさすり     城田容子
活花の開ききつたる七日かな     久嶋良子
書初や紙波うつて波うつて      篠原隆子

第二句座  席題 (寒牡丹 春隣り 鏡開)

【特選】

鏡割る巴御前は我のこと       大場梅子
開きけりたたらの神の鏡餅      篠原隆子
玄翁といふはゆかしき鏡割      石川桃瑪
はや酔ひて鏡開きの壇上に      西川東久

【入選】

あはあはと光吐くかに寒牡丹     谷村和華子
鏡開我らに無垢の未来あり      神谷宜行
青黴の罅もろともに鏡割る      園田靖彦
かく小さきわが家の餅も開きけり   中田寛子
鏡開小豆は鍋に煮え立ちて      菅谷和子
鏡餅開く阿国や刀舞ひ        篠原隆子
みかんより小さな鏡開きけり     菅谷和子

(篠原隆子記)


東京・神奈川吟行句会(14日、鶴岡八幡宮周辺、9名)

第1句座   (吟行句)

寒の水したたる竹の手水かな      梅子
あたたかな雨の鎌倉旅始め       和子
初旅はいざ鎌倉とロマンスカー     佳余子
上向きの枝に結ばむ初みくじ      和華子   
眠る梅起きよ起きよと梅探る       宣行
春待ちてほのくれなゐの段葛      道子
あらたまの年の湿りが本降りに     はるみ
冬桜よき咲き加減やぶさめの道     京子
幸よあれ源平池に都鳥          侑子

第2句座   (席題  日脚伸ぶ・雀の子・
バレンタインの日)

制服の採寸まぢか日脚伸ぶ         はるみ
神の手に落ちてすくすく雀の子        和子 
一羽出てまた一羽出て雀の子        佳余子
バレンタインデーさびしがりやの夫のため  梅子
ちよこちよこと足踏みばかり雀の子      和華子
仁王門前の日だまり雀の子          道子
庭の木やある日一気に日脚伸ぶ       宣行
バレンタインデー大好きな男かな        京子
バレンタインデー小五のわが子のなつかしき  侑子

(大場梅子記)


埼玉句会(22日、埼玉会館、6名)

この国をどうする総理かまど猫   市人
戦場へとどけよ愛のチョコレート
寒波来る湖は青々大鏡       靖彦
かの国に居座つてゐる寒波かな
駅伝や寒九の水を補給して      宜行
寒波来るいろとりどりのニット帽
初句会こころ澄ませば翁の声    つねお
大寒やマグマを抱く国に住み
侵略のロシアを襲ふ大寒波     すみえ
迷ひこむトドや鯨や寒波来る
セーターはマチスの赤と決めてをり ゆき
永らへて赤きセーター艶やかに
(萬燈ゆき記)


愛知吟行句会(12日 愛知県国府宮神社)

名鉄本線「国府宮」駅改札口に集合。まず、レストランで腹ごしらえをして神社へ。まだ淑気の残る中、お参りする人、お札納めをする人などの間を吟行。

真つ白な伊吹たたへむ初鴉     春日美智子
初吟行すなはち恵方詣かな     楓
天下泰平のぼりを掲げ春を待つ   沙羅
今年こんねんは焦点はづさぬ句を詠まむ   尾燈子
初詣手水を杉で清めをり      通江
大吉を固く結ぶや初御籤      雄二
(稲垣雄二記)


京都句会

古志京都句会、1月はいつものとおり、通信句会と対面句会を実施しました。
来月からも、毎月、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、第3水曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。

1月通信句会は夏雲システムを利用して実施。事前に送った米花さんの文章(昨年古志12月号「原点の一句」)、そして米花さん作の絵手紙(ブロッコリ-)、さらに、プレバト福岡県公認ポスター(中洲)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。13名参加。

咲きついで母ゐるごとく梅の花      久美
煩悩の遊び始めや福袋          忠雄
福寿草子は子の家に帰りゆく       美那子
風花や途中下車して屋台酒        悦子
みちのくの時雨降り込む蕪村の画     美恵子
押しくら饅頭びくともしない妣の尻    和美
近松忌湯屋に二つの出入り口       英二
梅だより蕪村の句より書きおこす     米花
屈強のこころざしありブロッコリー    りえこ
与謝郡寒紅梅に出会ひけり        嘉子
蕪村忌や角屋に残る遊女の香       雄二
ブロツコリー出すママがゐるとサ中州にョ 初男
与謝の地に俳句広げむ四温晴       茉胡

対面句会は、1月18日(日)こどもみらい館で実施。第1句座当季雑詠6句出句5句選句、第2句座席題(「時雨」「火鉢」「淡雪」「実朝忌」「大原雑魚寝」「針供養」)6句出句5句選です。3名参加。

水仙の香へ法華経の木魚かな       りえこ
隆々とわれ一月の菠薐草         いほり
雪霏々と浄土へ続く道ならむ       茉胡
俳諧に倦みて大原雑魚寝かな       りえこ
星明かりかすか大原雑魚寝かな      いほり
大原雑魚寝山越えも厭はずに       茉胡

通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:mako10himu6@nifty.com   
(氷室茉胡記)


奈良句会(24日 夏雲システム 9名)

桜榾さくらのいのちあかあかと     久美
手をつけば密やかな冬木の息吹     正子
寒稽古氷の床に正座して        雄二
三日三晩寒九の水に鰭戻す       悦子
煩悩を呑みて兜太の鮫となり      忠雄
大海原船傾けて鮫揚る         まき
玄宗帝鮫百匹を庭で飼ひ        りえこ
子はそれぞれお宝見つけ初弘法     まこ
推敲は睡魔となりて春炬燵       美那子
朝霜や日本の屋根の美しく       豊

古志会員ならどなたでも参加出来ます。参加希望の方は、喜田りえこ宛で次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。 メルアド:kidarieko@kcn.jp     
(喜田りえこ記)


大阪句会

メール句会 
(雑詠7句出句、5句選)
人住まぬ家に冬日はのびのびと     みつこ
冬晴れや田になお残るかかし三つ    泰子
名物餅に老歯とられし果弘法      美栄子
年ゆくや心の遊行つづきをり      百合子
大三輪やほがらほがらと初明かり    りえこ
新聞のポストはみ出す今朝の春     豊
三声には三声で応え初鴉        歌子
海山の豊かな国や雑煮椀        美那子
にぎやかにマスクはづして宝船     久美
的中の太鼓高らか弓始         洋子
天敵の逝つてしまへり冬銀河      茉胡
シャンゼリゼ闊歩して行く懐炉かな   陽子

席題Zoom句会 
席題(薄氷・太)3句出句、3句選
薄氷やくもり時々晴れの恋       みつこ
かの世でも薄氷踏みゐる句友かな    豊
ぼんやりと見ゆる天国薄氷       茉胡
水草の芽の鮮やかに薄氷        美那子
初明り太古は海でありし山       歌子
吉野杉の太箸香るお元日        洋子
眉太き新小結の初相撲         りえこ
太太と命養へ冬の草          陽子
産土は太き氷柱の竃かな        百合子
春立つやチューバに太き息入れて    久美
(木下洋子記)


松山句会(21日 メール句会 11名)

兼題:去年今年、大旦、恵方、淑気、福寿草  5句出句5句選

大いなる地軸の傾斜去年今年      紫春
ささやかな自適に生きん大旦      崇
御破算で願いましては去年今年     まさし 
町ぢゆうをすずめが跳ねて大旦     陽市
この道は己が決めし恵方かな      薫 
さりげなきふりしてまたぐ去年今年   伊都夫 
海光にかもめ真白や大旦        夕未子 
オホーツク淑気みなぎる怒濤かな    真樹子 
母と見る夜明けの空を恵方とす     真奈美   
我が命今朝も新たに去年今年      博山
日も陰もみなやはらかく福寿草     まこと 
子供らの広げる地図に恵方かな     真樹子
地下壕や身を寄せ合ひて去年今年    薫    
難しき世になりゆくも淑気満つ     夕未子  
大旦ここも地球の地平線        まさし 
金毘羅の森ふかぶかと淑気かな     崇
割烹着の母の笑顔や福寿草       紫春  
福寿草ぽぽぽぽと咲く明るさよ     陽市 
拝殿の巫女朝日受け淑気かな      薫 
語り継ぐ言葉のちから去年今年     まこと 
(木下まこと記)                 


福岡句会(25日 通信句会 12名)

なやらひのとなりのこゑのこぼれきし  國光
余寒かなわが句ばかりが痩せほそり   民也
ひそやかに宇宙に触るる冬木の芽    久子
春節や一家の騒ぐ台所         龍梅
冬灯ずつと空き家と思ひしが      緑
寄せ鍋や男奉行に箸すすむ       和子
浮ぶ実の来し方思ふ柚子湯かな     悠
風呂吹や使ひ果たせし介護休暇     幸子
江戸浪速河で潮吹く大鯨        博人
暮六つに追はるる道の雪明り      伸一
着ぶくれて口は達者よ空青く      充子
どの樹にも思ひ出あまた冬木立     真知子
(斉藤真知子記)  


長崎句会(28日 まり庵 9名、うち2名はメールにて)                   

当季雑詠 5句

屠蘇を受くラズベリー色のマニキュアで 文
正月の餅も刻みて母の椀        順子
青空や鈴きらきらと初戎        なおよ
今生の屠蘇幾度も含みけり       弘美
冬満月粛粛と富士渡りゆく       まり子
初詣末吉も良し友在りて        美智子
眠る山そろそろ起こすころなりや    睦美
門松の雪払ひたる指一本        玲子
ショベルカーそろり掻き出す雪大根   瑠衣

題詠2句(皸・春を待つ)

補聴器でわらべ歌聞く春を待つ     文
荷造りの紐ぎゆつと締め春を待つ    順子
ごみたい肥土に戻して春を待つ     なおよ
歳新た此処を先途の旅の果       弘美
我が亀の首を伸ばして春を待つ     まり子
皸の深くなりゆく夜更けて       美智子
庭土をちょっと触りて春を待つ     睦美
皸や繕ひ物の邪魔をして        玲子
皸やマグマの裂け目あかあかと     瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会(国際交流会館 4名)

第一句座
魂の空っぽの夜の晦日蕎麦       茉莉子
初雪や茶渋残りしマグカップ      茉莉子
雪の花日本のキリン舌伸べて      佐介
悦楽に浸る閑かさ邑深雪        佐介
鶴舞ひて亀の海原お重詰        裕子
焼芋屋暮雪の町に響かせて       裕子
點となる禽の孤独や雪風巻く      榾火
喰積の一つに今も母の意地       榾火

第二句座(席題 猟名残)
ライターは母の遺品や猟名残      茉莉子
四国犬なほも猛るや猟期終ゆ      佐介
絢爛の夢を見てゐる冬芽かな      榾火
(記 今村榾火)

                 

     

          



                   

 

 

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