2022年2月句会報告

第24回YouTube句会(26日、48名)

大谷主宰選
【特選】
光悦に及ばずながら垣繕ふ    臼杵政治
早蕨ははてなはてなともの思ふ  菅谷和子
鉛筆いっぽんわが身託して大試験 三角逸郎
まつすぐに王道を行くになであれ 間宮伸子
鴬餅つがひといふて二つ食ふ   神戸秀子
鳥帰る空を奪ふな独裁者     喜田りえこ
【入選】
哭くはみな命あるもの涅槃絵図  曽根崇
しらす干す衣延べゆく手際かな  西川遊歩
よきペンを君に贈らん水温む   神戸秀子
どの国もすべて鷹化し鳩となれ  齋藤嘉子
畑打てば旅の小鳥もついてくる  米山瑠衣
囀らぬ大きな鳥が一羽かな    イーブン美奈子
薄氷の大きい方を妹に      久嶋良子
木瓜活けて残りし枝よ只の棒   鈴木榮子
軍靴よ踏むこと勿れ草青む    谷村和華子
春の服鏡の前をひとまはり    斉藤真知子
雛飾る健やかにあれキエフの子  喜田りえこ
白魚網雪のかけらを髭に付け   木下まこと
麦踏みにつき休業とパン屋かな  ももたなおよ
軍靴脱ぎ草萌の野を駆けまはれ  斉藤真知子
帰り来て我が家の梅に惚れ直し  曽根崇
春耕や母の小さき鍬借りて    木下まこと
猫の子のおぼつかなくも軽き足  越智淳子
春泥やどぢやうが覚めて一くねり 上村幸三
束解けば夢は自在やチューリップ 谷村和華子
海山のみえて仏間の吊るし雛   仲田寛子
(丹野麻衣子記)


ZOOM句会


郵便句会

大谷弘至主宰選

特選
老いといふ癒えざるものや実千両   山下充子
川崩れめつきり減りし寒の鮠     北野沙羅
降る雪のしづかな音を漉き込んで   関きみ子
あたらしき軍手一双苗木市      小島楓
散らかして出来上がりけり鴉の巣   山下充子     

入選
海光に野梅の白やペダル踏む     梶原夕未子
浮き雲の少しうごきて梅翳る     梶原一美
御用紙漉きし小流れ梅の散る     北野沙羅
雪霏々と人は墨絵となりて消ゆ    関きみ子
ちやんちやんこ好む昭和の底力    神谷和子
白雲や絵踏の町を訪ねては      小島楓
春炬燵いでず病後を言訳に      梶原一美 
人と犬影も朧に筑後川        山下充子
梅白し十八番の英五唄ふべく     西川東久 
蕗味噌や瓶小さきも好もしく     田中尚子
如月やかざして磨く江戸切子     白石勉 
紅梅を手つなぎ仰ぐ老二人      土筆のぶ子
目白埋む椿の庭の片隅に       北野沙羅
寒む空を擘く力節分草        北林令子
春立つや鏡の中の雲に艶       関きみ子
春めくや胸にずしんと友の訃報    森康子
浅き川蜆拾ひし遠き日よ       梶原夕未子  


埼玉句会報告(27日、埼玉会館、3名)

雛飾る迫りくる闇感じつつ    市人
知らざれば憂きこともなし大朝寝
葉の三枚その名も高し桜餅    靖彦
春愁や一つ満たせばまた一つ
白梅の香とは何といふ冷たさ   ゆき
陽炎となれ侵略の戦車たち
(萬燈ゆき記)


東京Web吟行句会(20-22日、夏雲システム)

吟行地:湯島天神
兼題:魚氷に上る、凧、山笑ふ

暴れ凧骨を晒して凱旋す    神谷宣行
腹ゆすり山が笑ふよ兜太の忌  関根千方
耳成よ香具よ笑はん国は春   上村幸三
白梅や地に着くほどに絵馬の数 神戸秀子
音に聞く壱岐の鬼凧びゆんびゆんと 菅谷和子
春風に歌ひつつ来る乳母車   葛西美津子
いかのぼり車窓にはるか動かざる 越智淳子
天神の梅の香まとひ嫁御寮   持田明子
湯島へと家族総出の受験生   大場梅子
はこべらのかそけき花も光かな 服部尚子
魚は氷に上り子の婚迫りくる  石塚純子
魚は氷に上るビバルディの春にのり 大平佳余子
あかときの夢のかけらか薄氷  萬燈ゆき
生るるもの皆愛らしと山笑ふ  松岡伴子
糸切れてよりの天下ぞ奴凧   金澤道子
するするとほどけゆくなり凧の糸 吉田順子
大凧を曳くや百人声揃へ    片山ひろし
のどけしや上棟式の槌の音   原京子
少年のかの日に戻り凧揚ぐる  園田靖彦
人類のマスク外す日山笑ふ   長野いづみ
手づくりの凧を手に手に河川敷 仲田寛子
親が手を離して一人いかのぼり 那珂侑子
アナログの社会懐かしつくしんぼ 岩﨑ひとみ
安達太良よほんとの空よ山笑へ 鈴木伊豆山

*新規参加者を募集しています。ご希望の方は関根千方までご連絡ください。
(関根千方記)


岐阜句会(24日 岐阜市西部福祉会館 6名)

第1句座 兼題(蛇穴を出づ、黄水仙、春祭)
黒髪をバサッと切るや蛇の出づ     春日美智子
艶めきて土色の蛇穴を出づ       之子
黄水仙わづかに見ゆる芽吹きかな    上松美智子
原つぱの蛇穴を出づあてもなし     通江
父の背より見てゐる子ども春祭     沙羅
穴を出づ蛇のまどろむ日向かな     恵美子  

第2句座 当季雑詠
逸る気を鎮めむスケート刃きらり    春日美智子
雪原に光ひとすじあたたかし      之子
冴え返る夜はことさら喜寿に入る    上松美智子
しづけさや日のなかを春の雪ふる    通江
無気力にならじと思ふ春の雨      沙羅 
春障子少し隔てし世間かな       恵美子
(梅田恵美子記)  


京都句会

 古志京都句会、2月は会場の都合で通信句会のみでした。3月は、通信句会と対面句会の二本立てで行う予定です。対面句会は、原則として毎月第4日曜日午後1時からこどもみらい館で実施予定。

 通信句会は夏雲システムを利用して実施。事前に送った初男さんの写真と文章(奈良石光寺の寒牡丹、石仏等)そして米花さん作の絵手紙(「梅」)からの連想句4句以上を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。16名参加。結果は次のとおりです。

京都より花の干菓子や雪見舞ひ     雄二
東大寺大鐘といふ余寒あり       忠雄
藁苞に世を遠くして寒牡丹       英二
這うやうに耕す翁冬至梅        嘉子
まんさくや當麻の空を明るくす     りえこ
五臓なんぞないならないで春立てり   初男
今日よりは花の七十路水温む      陽子
のどけしや土の中から白鳳仏      美那子
梅固しふりさけみれば日本海      久美
ずるずると深みにはまる春炬燵     幸子
二上山影絵のごとし寒牡丹       まき
小春風欠けたる鼻の白鳳仏       みりん
針供養晶子の歌碑の細き仮名      米花
寒牡丹夢の続きを見てをりぬ      (木下)洋子
心震わす句にあこがれん寒牡丹     美恵子
会心のブレンド珈琲梅日和       茉胡

 通信句会、対面句会とも参加希望の方は、いずれも氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。メルアド:mako10himu6@nifty.com
(氷室茉胡記)


奈良句会(22日 ズーム句会 9名)

料峭に思ひが痛む古い傷       まき
青春より老いは長しや亀の鳴く    雄二
みちのくの花の闇より観世音     りえこ
大和三山草餅三つ鎮座せり      久美
嫁ぐ子に持たす雛を納めけり     茉胡
聞こゆるは生まれし音か春隣      みりん
色匂ふ一刀彫の雛かな         豊
杣の子の面影のこる雛かな      悦子
亀鳴くや遠くに戦争らしき音      忠雄
(上田忠雄記)                           


大阪句会 

メール句会 雑詠7句出句5句選
外套を翻しゆく賢治かな       豊
冴ゆる夜やオーロラの息かんばしき  百合子
牡丹雪口で受け止む幼かな      茉胡
また常のひとりに戻り薺粥      歌子
三年を居座る鬼や福の豆       りえこ
ウイルスに意思あるごとし鬼の豆   洋子
みはるかす唐天竺や梅の花      久美
父母も夫も見ぬ世を梅の花      美那子
ピアニシモで始まる序曲春の水    陽子
地球いまマスクしばりに白泉忌    美栄子
如月や土井善晴のお惣菜       みつこ

Zoom席題句会 席題(冴返る・さくら草)3句出句、3句選
生駒嶺や冴え返りつつ日の光     美那子
並びゐる礎の列冴返る        豊
冴え返る卑弥呼の墓の桃の種     りえこ
待合の一脚隔て冴返る        久美
屹立の雪舟の墨冴返る        百合子
歌声の弾む洗濯さくら草       みつこ
歌声の弾む洗濯さくら草       陽子
あこがれは風に散ること桜草     歌子
いつか来たやうな路地裏さくら草   洋子
(木下洋子記)


松山句会(19日 メール句会 11名)

兼題:梅、春の月、寒明け、蜆、春炬燵 5句出句 5句選
点滴に託せし命梅ふふむ       伊都夫
寂しさや一億人に春の月       陽市
梅ケ香やゆるり連れ立つ共白髪    まさし
春や春月あらば月に語らん      紫春
火のこころ莟に秘めて梅の紅     崇
春炬燵あと幾日の有りし日よ     夕未子
買い出しをするかしまいか春炬燵   和弘
良薬と云われ続ける蜆かな      薫
オホーツク明るをまちて蜆舟     真樹子
白梅ややさしき嘘をつくことも    まこと
戸に迫る潮のさやぎや蜆選る     崇
梅園の蒼天はるか富士真白      まさし
本丸は山の上なり梅の花       陽市 
寒明けや575の踊り出す        紫春
寒明けと知らず待ちをる人見舞ふ   伊都夫
紅梅のつつましきかな蕾の紅     薫
爪切つて日差しの中に春炬燵     真樹子
次々とさざ波生みて春の月      まこと
(木下まこと記)


福岡句会(通信句会)

薄氷の弛びて沼の動き出す      祥子 
憂きことも紐で束ねん大さうぢ    民也 
而してワクチン三回山笑ふ      和子 
春浅し文学館の固き椅子       桃潤 
木の芽どき己の狂気ふと見たり    修 
鳳凰も地鶏となるや涅槃の日     國光 
あをぞらの美しき日や鶴帰る     真知子 
落陽に我ぞ有明むつ五郎       博人 
巣立鳥残る一羽の飛び立てり     充子 
切々と空のフィナーレ春の雪     久子 
戦する国へ白鳥帰るらん       緑
(吉冨緑記)


長崎句会(28日 メール句会 9名)

当季雑詠 5句
菜の花や友は島へと移り住み      あや
目覚めたる山の欠伸か雪なだれ     順子
麦踏みにつき休業とパン屋かな     なおよ
オハヨウと受験の朝はさりげなく    美智子
鳴き真似にひよいと飛び出す春告鳥   睦美
若者はうっせえうっせえと恋の猫    弘美
座布団に二人の時間梅見かな      玲子
靡くまま風の形に木花かな       まり子
寒蜆半日掘つて両手ほど        瑠衣

題詠2句(蛤・東風)より
防潮堤桜東風まで通せんぼ       あや
蛤の我慢の末やパッと開く       順子
お見合ひや蛤汁のよき塩加減      なおよ
マフラーを外して今朝は東風の駅    美智子
東風吹けや大宰府の人に届くやふ    睦美
蛤や蓋身に合はぬドーピング      弘美
花柄のティアードスカート東風に揺る  玲子
蛤や恋の絵巻の物語          まり子
友がきや東風吹くころに便りせむ    瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会(通信句会 4名)

トランプのジョーカー笑ふ春の夜    茉莉子
薄氷や不要になった受験票       茉莉子
縁側の座布団温し猫柳         裕子
薄氷や山寺奥の仏たち         裕子
明け方に雨上がりけり猫柳       佐介
薄氷や目立たぬ生徒転校す       佐介
ほつほつと梅の話や身のまはり     榾火
薄氷やそろりと渡る影法師       榾火
(記 今村榾火)

                 

                  

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