6月句会報告


第4回YouTube句会(6/27、51名)

https://www.youtube.com/watch?v=ocUY2nplq4M
当季雑詠 1句座(3句出句 3句選)

大谷主宰選
【特選】
瀧殿は絵巻へ還へる朝かな    長野いづみ
波音もともに暮れゆくところてん 篠原隆子
雷干まこといかづち呼びにけり  神戸秀子
虫干やわつさわつさと要らぬもの イーブン美奈子
かき氷崩れぬやうに崩しゆく   谷村和華子
【入選】
鱧旨しこの夏もっとと言ひ遺し  越智淳子
夏とても取らねばならぬ蜆取り  稲垣雄二
変はる世をまっすぐに見よほととぎす 石塚純子
ネツクレス外しただけの涼しさよ 佐々木まき
見つけては見失ふ実よ青梅よ   百田直代
肩に来る蛍弟かもしれず     西貝幸子
緑陰に汲み交はしたる山羊の乳  長井はるみ
しづかさに尾びれ敲くや籠の鮎  園田靖彦
沖縄忌父の未来は絶たれけり   吉田順子
蟻の列地球を捨てて旅立つか   田村史生
デモの如く拳をあげて梅雨茸   澤田美那子
妻も子も眠る深夜の熱帯魚    石塚純子
明易の先越されたる厠かな    臼杵政治
十薬の真白な十字今は好き    西貝幸子
朝焼くる風の中にも恋の鳥    高橋真樹子
ねぶ咲くや隠岐ははるかに夢のなか 木下まこと
見るからに恐ろしき文字虎狼難の夏 大場梅子
(丹野麻衣子記)


第1回YouTube席題句会(3日、15名)

第1句座(席題:瓜番・河骨・蝦蛄 3句出句 3句選)
大谷主宰選
【特選】
瓜番の退屈顔の瓜に似て     佐々木まき
木の枝に靴引っかけて瓜の番   服部尚子
瓜の香のまつただ中に小屋を建て 稲垣雄二
【入選】
檀那寺河骨よけて池さらひ    服部尚子
河骨や金覆輪の影うつし     菅谷和子
河骨や首を左右にかはす波    園田靖彦
落人の血をすすりしか瀬戸の蝦蛄 喜田りえこ
瓜番や瓜はここぞと大いびき   稲垣雄二
鋏鍛冶夜は瓜番の太郎かな    越智淳子
西岸は唐へとつづき蝦蛄を剥く  石川桃瑪
日生港蝦蛄はバケツで八百円   服部尚子
人は皆仏顔して蝦蛄うでて    佐々木まき

第2句座(箱庭・水着・鯰 3句出句 3句選)
大谷主宰選
【特選】
箱庭に母をこばみし娘がひとり  菅谷和子
新記録立てしかの日のわが水着  園田靖彦
箱庭の信号灯はいつも青     服部尚子
鯰なら恋も喧嘩も髭勝負     稲垣雄二
実朝の海や水着のまま熟寝    石川桃瑪
小さき荷に小さき水着とパスポート 久嶋良子
【入選】
ひもすがら水着一丁島の子よ   園田靖彦
底なしの五欲が力大鯰      菅谷和子
箱庭に私の座るための石     金澤道子
梅雨鯰あげくのはては天ぷらに  大平佳余子
さざ波や鯰が笑ってゐるらしく  吉田順子
頑張るぞ喜寿の祝ひの水着きて  吉田順子
(丹野麻衣子記)


第2回YouTube席題句会(6日、13名)

第1句座(席題:田草取・滝殿・鮑 3句出句 3句選)
大谷主宰選
【特選】
張る乳をきりきり巻きに田草取  神戸秀子
滝殿や轟く音も存分に      木下洋子
瀧殿や氷の床を踏むごとく    神戸秀子
【入選】
いつの間に母も並びて田草取   長野いづみ
鮑噛む音のすがしき若さかな   斉藤真知子
滝殿や源氏の君もしぶき浴ぶ   片山ひろし
田草取足入るるさへ怖かりき   原京子

第2句座(水盤・裸・土用灸 3句出句 3句選)
大谷主宰
【特選】
火の山の水盤とせん藺牟田池   篠原隆子
土用灸翁のごとく旅をせん    臼杵政治
水盤や美しき無を湛へをり    イーブン美奈子
【入選】
水盤の伊豆の赤石花となす    片山ひろし
概ねは水でできたる裸かな    田村史生
なんやかや庭から摘んで水盤に  木下洋子
裸子の歓声ホース踊る度     臼杵政治
(丹野麻衣子記)


郵便句会(21名)

大谷弘至主宰選 
特選    
うまれきて粟粒ほどやかたつぶり     北野沙羅   
麓まで色づく杏捥ぎに来よ        北野沙羅   
隈取りをかくも大きく夏芝居       小島楓   
故郷は川音の中天瓜粉          佐藤光枝   
朝顔を蒔けばいよいよ学校ぞ       春日美智子   
這ひ這ひは空への一歩軒風鈴       中西薹子
入選   
かをりよき金木犀のごとき人       福井有紀   
花白しやがてはこれも唐辛子       梅本元子   
ひよどりは苺泥棒今日また来       関きみ子   
我が庭よこれぞ相模の花菖蒲       西川東久   
黴の世に黴を咲かせて芝居小屋       小島楓   
薫風や白帆はじけんばかりなり       関きみ子   
植木屋のよそよそしさよ刈りに来て     福井有紀   
山深く翠微を浴びん落し文        水谷比嵯代   
水がすきびしよぬれが好きはだしの子   神谷和子   
枇杷剥けば故山は遠し香り立つ      西川東久   
紫陽花を叩き叩きて今日の降り      森康子   
蛍や水田の隅で指洗ひ          中西薹子 
滋さんめぐみちやんに打つ天瓜粉     北林令子   
うなぎの骨かりかり噛んでゐて淋し    水谷比嵯代   
草市になつかしきかな幽霊飴       田中尚子   
涼しさは楓のこぼす日の斑かな      梶原一美   
明け方の夢のひかりや蝉生まる      上条多恵               
(斉藤真知子記)


古志ZOOM句会


埼玉句会(6/28 、埼玉会館、6名)

期 日 6月28日(日)
会 場 埼玉会館3B会議室
出席者 6名

緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ不安が残る中、
換気がよく室内面積の広い埼玉会館に6人の侍が集いました。
          
(第1句座)
もう季語といへぬマスクの暑さかな  琅太
白妙の衣干さるる梅雨の明け     靖彦
麨やこの余命いまどのあたり     常之
朽ちながら梔子の花香りたつ     邦紀
枇杷熟るる今年法要とりやめに    四郎
永遠のなかの一刻(いっとき)冷し酒  ゆき

(第2句座)
ウイルスに右往左往やサングラス   琅太
月出でて尾びれさらしぬ山椒魚    靖彦
虹の根はわが故郷のあたりかし    常之
ざつくりと一束の野菜夏に籠る    邦紀
百日紅古典にひたすら学ぶべし    四郎
青空を信じてくぐる茅の輪かな    ゆき

*8月句会の会場は、さいたま市民会館うらわ505会議室です。
萬燈ゆき記


岐阜句会 (25日 西部福祉会館 5名)

第一句座 兼題(花菖蒲 冷奴 水澄し)
傘寿過ぎ今日もいつもの冷奴    誠一
あさぼらけ菖蒲の蕾ほどけゆく   上松美智子
漱石も荷風も食みし冷奴      沙羅
道三のみはてぬ夢や冷奴      春日美智子
尋ねきて雨音楽し花菖蒲      恵美子

第二句座 当季雑詠
夏至の日の夕映え飽きずじつと見る 誠一
やすやすと山の高さを燕こえ    上松美智子
日を浴びて首にさされる夏至の日よ 沙羅
コロナなどふきとばさうぞ草の笛  春日美智子
木々甘く薫りて山の涼しかり    恵美子
(梅田恵美子記)


京都句会(28日 こどもみらい館 3名)

久しぶりのリアル句会を開催しましたが,コロナウイルス禍に対する警戒からか,出席は3名のみでした。第1句座当季雑詠,第2句座席題(「夏木立」「虫干」「ぼうふら」),第3句座席題(「レース」「七夕」「夏痩」),いずれも6句出句5句選。

あぢさゐより淡き産着に包まれて   幸子
今年また箪笥のこやし虫干す
その中に通草の蔓も夏木立
存へてふた世生きたし夕端居    りえこ
捨てられぬ熊のプーサン虫干す
スワトウのレース二枚舌の間夫(まぶ)
先ず恋の火照り冷まさん心太     茉胡
孒孒の浮沈の速さ競ひつつ
夏痩に無縁な妻の頼もしく
(氷室茉胡記)


奈良句会(17日 リモート句会 11名)

流行に乗れぬ晩年枇杷啜る               茉胡
仮名書きのさも旨さうなどぜう鍋   美那子
百年の涼しさに立つ土蔵かな     久美
寿甘藍きざみ瓜きざみ       まき
今年竹補陀落山の御湿り     悦子
ねじ巻いて文字摺草の伸びゆけり   正子
山頭火すぎたる後も滴れり     瑳楓
こころざし懐にして夕端居    豊
滴りや翁の道をたどりゆく    洋子
奥山や神の快楽の滴れり     りえこ
雲の峰日に日に時代改まる     忠雄
(上田忠雄記)


岡山句会(28日 倉敷公民館)

席題は「泉」「虫干」
土用干不要不急のものばかり     崇
百年に一度か終日夏マスク      有里子
ぴかぴかの今朝のキャベツを賜りぬ  一雄
恋文も論文もあり土用干       広
(神蛇広記)


松山句会(13日 メール句会 9名)

題:新茶、罌粟の花、蟻、夏帽子、昼寝
5句出句 4句選
椰子の葉のさわさわと鳴る昼寝かな  梅子
太き掌にひろげ新茶の縒り見よと   一美
ヒマラヤの神の落せし罌粟の花    梅子
罌粟の花ひとつひとつがゆめの中   陽市
二人して風を聴きゐる新茶かな    まこと
疎遠なる隣へ頻り蟻の列       典子
われらみな蟻のごとしよ熊野古路   崇
林業の廃れし村の新茶かな      孝子
のびのびと生きかへるため大昼寝   陽市
ラジオ切り庭師しばしの三尺寝    典子
蟻の列働くことのほかしらず     喜久子
水色のリボン青春夏帽子       紫春
麦藁帽子かぶるあなたもきつと海   陽市
平穏な日々なつかしき新茶かな    まこと
覆い取れば日にきらきらと新茶の芽  一美
なりゆきの風にゆだねて罌粟の花   紫春
(木下まこと記)


福岡句会(20日 あいれふ 8名)

自由題 7句出句5句選
桜の実傘に弾んで地にはづむ     幸子
あの頃の水玉模様更衣        和子
浮いてくる穀象虫をまづ流し     祥子
明日は皆未知の世界や心太      真知子
ジャズ喫茶スウィングしている目高かな 博人
明日といふ何かに向かひ髪洗ふ    久子
白玉や津軽びいどろ和三盆      国光
灯涼し博多の川はすぐ海へ      緑
(吉冨緑記)


長崎句会(26日)

当季雑詠 持ち寄り5句
半夏生てつぺん禿げたか鳥歌ふ    弘美
大薔薇園安達太良山の懐に      まり子
蚊を打つて言ふべきことは言ふておく 直代
雨蛙睨みつくしてぴよんと逃げ    順子
スニーカー青葉の町の母校かな    玲子
籠る日々ねむの花揺れこもり歌    あや
梅雨晴やドクターヘリの峠越え    瑠衣

題詠2句(初夏・清水)
細道や土手の穴より苔清水      弘美
初夏の山五感悉く使ひ切り      まり子
初夏の風着て水色のワンピース    直代
奥入瀬の緑を縫ひて山清水      順子
初恋の初夏の眩しきセーラー服    玲子
窓々にアマビエ貼りて初夏の風    あや
万年をほたりほたりと岩清水     瑠衣
(米山瑠衣記)               


熊本あふち会(16日 メール投句 3名)

当季雑詠
コロナ禍の闇を照らせり大花火    佳代子
白シャツの膨れ自転車通学生     和子
開け放つ料理教室新樹光       節子

兼題(梅雨、涼風、素足、音、伸びる)
とりどりのマスク行き交ふ梅雨の街  佳代子
涼風の抜けゆくソーシャルディスタンス 和子
蛍狩下駄の音する石の橋       節子
(若松節子記)          


大分句会 

進むほど蛍飛びかう滝の径      広美
残されし余生きままに蛍の火
山門を静かに照らす螢火や
蛍には近づけぬ我居たりけり     裕子
生まれたのは蛍の中よと君の言ふ
ラムネ飲むいかつい喉がラムネ飲む
蛍舟水を離れて浮かびけり      桃潤
背に置く我が本棚は片蔭
雲の峰仰ぎてラムネ瓶を飲む
(山本桃潤記)


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