12月句会報告


東京句会(15日、亀戸文化センター、24名)

席題「柚子湯」「鳰」「冬の蝿」
◎主宰特選
冬籠とは庭さへがおそろしく    皓大
 →中七を「庭へ出るさへ」に。
夜の鳰もぐり疲れし夢いかに    順子
 →上五を「鳰(かいつぶり)」に。
雪沓の踏みしむ音や一茶来る    明法
 →上五中七を「踏みしむる雪沓の音」に。
巻き癖の戻り来てをり古暦     京子
ボコボコの一山の柚子よき湯かな  節子
 →「わが山の柚子はボコボコよき湯かな」
これよりは令和の地層散紅葉    直子
 →下五を「熊眠る」に。
○主宰入選
餅つき会明日や臼に水張つて    節子
 →「臼に水張つて明日は餅つきぞ」
凩が叩き落としてゆく星ぞ     直子
湯豆腐や敵にまはせば剛な奴    幸三
鳰は子を鈴のやうなる声で呼ぶ   伸子
義仲の兜のしづむかいつぶり    梅子
 →中七を「しづむ兜や」に。
冬の蠅熱き地球に死にそこね    ひとみ
 →「熱き」→「寒き」
ファックスが雑事吐き出す師走かな 俊一
颯爽と風によぢれてコート来る   いづみ
洞穴の隠れ念仏山眠る       祥子
枯野人どこかに向かう家がある   皓大
 →「向かう」→「向かふ」
臨月の腹に乗つたる風呂の柚子   直子
 →「乗つたる」→「遊ばす」
柚子湯して柚子湯美人となりにけり 梅子
冬の蠅一匹なれどこうるさき    明子
 →「なれど」→「にして」
師走の夕捉へて放つ指揮者の手   いづみ
 →上五を「ゆく年を」に。
死んだふりして生きのびよ冬の蠅  明法
 →「冬の蠅死んだふりして生きのびよ」
山茶花や吉良の屋敷はこのあたり  梅子
煤掃きやづかづかとわが心まで   幸三
華に似る畢りの一字日向ぼこ    幸三
 →下五を他の季語に。
鮭の骸なほ遡る夢の中       和子
高千穂の峰をはるかに柚子湯かな  祥子
人の子にカラマーゾフの氷柱かな  ひとみ
冬の浪千の兎が乱れ跳ぶ      美沙子
かたづけてまたちらかして日短   明子
懐手足も入れたる達磨かな     千方
(関根千方記)


深川句会(28名)

(第1句座、自由題、5句出5句選)
◎特選句
茶の花やあの日だまりに母のゐる   道子    
あーうーは歌のはじめや龍の玉    寛子
愛の人悴む人の輪の中へ       怜       
ひらひらと鮃は砂となりにけり    和子
元気でゐよと無理難題を寒卵     純子
葱きざむえつちらぎつちら麻痺の手で ひろし
○入選句
赤松にしぐれは息を吹き込んで    寛子
冬晴やのらくろの見た同じ空     節子
八百屋の子葱むいてから登校す    伸子
十二月八日地球儀に赤き日本     道子
熱燗やせめて東京五輪まで      四郎
寒鰤を一気に捌く男ぶり       和子
抱き上げて子に頬ずりを木の実降る  純子
灯台は大根畑のその向かう      俊一
大綿のふくらみちぢみかくれんぼ   秀子
風呂の柚子返せば鳥の食ひしあと   宣行
蟹の宿丸ごと蟹の匂ひして      逸郎
心音の遅速を聴くや懐手       怜
池普請かみつき亀も出できたる    道子

(第2句座,席題「初氷、鍋焼、目貼」3句出、3句選)
◎特選句
目貼して歌仙の小町ひとり占め     秀子
鍋焼きの継ぎも見事な蓋ならん     遊歩
鍋焼を食うて真赤ぞ金太郎       宣行
教室に初氷ある一限目         尚子
〇入選句
赤ん坊の見るもの熱し初氷       寛子
目貼してふつふつわかす煎じ薬     伊豆山
目貼して鯨の胎にゐるごとく      秀子
目貼してすぐに子猫にやぶられる    明子
これなんの切れつ端かや鍋焼きに    直子
(鈴木伊豆山記)


東京・神奈川吟行句会(28日、浅草界隈、23名)

あらたまの年をまたぐや大草鞋    靖彦
風神も雷神も来よ年忘れ       梅子
皮ジャンのうしろ姿は其角かな    邦吉
スカイツリーそこに立たせて飾り売る 寛子
君も煤逃げラーメンの湯気の中    美津子
煤逃の誰かに似てる人形焼      ひろし
ふくらんで赤き実つつく雀かな    和子
落葉して乳房あらはの大銀杏     道子
闇汁の闇より深き人の闇       一郎
柚子ひとつ役者が吾に返る風呂    伊豆山
舞扇買うてととのふ春仕度      琅太
ばつさばつさ大門松の立ち上る    光枝
マフラーを締め直すここよりは下馬  京子
仁王より大き門松立ちにけり     千方
凍て土や文学語る連れ小便      碩
大草鞋履いて何処へ初の旅      美沙子
北風や凶のみくじを強く結ふ     菊江
業平の歌を枕ぞ浮寝鳥        宣行
中指を噛んで皮手袋をはづす     純子
極月のかすれがちなるボールペン   ひとみ
ごつごつと力瘤つけ大枯木      明子
猿遣ひ鳩が代りにをりにけり     四郎
水洟や恋にならざる汝と吾      菊子
(大場梅子記)


鎌倉句会(十五日、深沢学習センター、二十一名)
席題=人参、焚火

長谷川前主宰特選
虫食ひの枯葉いちまい木を守る 宣行
大空の枯れてゐるなり青きまま 宣行
海を呑み海に呑まるる鯨かな 一郎
牡丹焚く骨のぬくもるほどならず 秀子
何焼べて一人の守る焚火かな 光枝
刈り刈りてアンゴラ兎風邪ひくな 靖彦
風花は南天売を連れてくる 福
いまさらの会話もいらず焚火かな 益美
一山を揺らし辛夷の花香る 邦紀
濁流にながされしもの夕焚火 英樹

入選
人参はちよつと細めの千六本 美津子
墓守は落葉を焚いてゐたりけり 美津子
人参の葉のうつくしや壜にさす 美津子
からからと笑ふ青空大枯木 美津子
痛きまで京人参の紅さかな 美津子
夕日落つ人参赤く人黒し 光枝
黒々と人の集まる焚火かな 光枝
一匙の人参スープ寿 光枝
己が身を焚火に焼べて一生終ふ 光枝
ぴちぴちと猫が水飲む花柊 光枝
伏して待つ犬の目にある焚火かな 秀子
すつぽんのこれはどこやら土瓶蒸 秀子
人参の赤やなますの一の味 ひろし
流木をもつて加はる焚火かな ひろし
かくあれば世にひきこもるマスクかな 玲子
どの町もみな同じやう大枯野 玲子
呼ばるるを待つてゐるごと日向ぼこ 福
うらやまし蛇絡み合ひ眠るとは 福
しぐるるや兜の中の念持仏 道子
好きな種てんでんばらばらおでん煮る 道子
レシートでふくらむ財布十二月 侑子
人参百本炊き出しのカレーかな 益美
真白な闇ひろげたる屛風かな 宣行
極北のことばの海へ砕氷船 遊歩
永らへて土鍋と語る霜夜かな 英樹
※三月の鎌倉句会は八日午後一時から深沢学習センターです。
(藤英樹記)


鎌倉吟行句会(1日、長寿寺)

 第一句座 10句投句5句選 
冬ざるるものの一つに茶杓あり   振昌
禅寺の石となりけり日向ぼこ    道子
冬ざれや螺鈿の筥に虹たちて    秀子
絵はがきの中の紅葉は見頃なり   琅太
あうあうと烏の声も小春かな    博
方丈は冥界となり照紅葉      宣行
木枯や背のうしろから背を分けて  はるみ
お昼には小春日和となりにけり   侑子

 第二句座 冬至、梟、座
山茶花やけふを限りの句座にをり  侑子
南極は夏の盛りの冬至かな     宣行
ラガーらの車座に影のびてくる   道子
梟や君の笑顔を忘れまじ      宣行
漆黒の闇に色あり梟鳴く      琅太
(那珂侑子記)


金沢句会(17日 慶覚寺 9名)

兼題(「冬の星」「記」)当季雑詠
水の星百万本の大根畑       薫
冬銀河植村直己の橇        きよみ
喝采のあとの鎮もり冬銀河     こまち
再会の帯に仕立てん冬銀河     まさみ
凍星や亡き父母ともに能登の人   徹
年忘れ星のかたちのイヤリング   早苗
灯火管制の街冬の星降る      妖子
冬銀河音を浴びつつ眠らんか    きよみ
想い出に辿りつきたる返り花    こまち
枯木立ゴッホの目には百の色    薫
望遠鏡はずして星へ大嚏      妖子
足下怒涛凍れる北斗能登金剛    繁
冬菊の枯れゆくまでのものがたり  徹
なかなかに暗記手強しすきま風   まさみ
方丈記しるせし里や冬ざるる    早苗
記述してこそ人の態受験生     淳
(花井淳記)


静岡句会(14日 静岡県総合福祉会館 15名)
駿府城公園内の東御門・巽櫓、発掘現場、紅葉山庭園を吟行

第一句座 10句投句5句選句
◎大谷主宰特選
発掘やかつてここより鷹狩りへ   麻衣子
金屏に富士の高嶺も描き入れん   麻衣子
富士の雪流れ流れて鯉のもと    千恵子
城なんぞ壊してなんぼ虎落笛    千恵子 
冬欅賢者はいつも市中に      竜樹 
冬の水何にも触れずありにけり   一郎
退職の新たな吾に日記買ふ     克実
まぼろしの天守となりて冬ざるる  桂久 

○大谷主宰入選
踊り狂ふ枯れ葉の中をずんずんと  竜樹
大御所の安見せし富士真つ白に   竜樹
金箔の吹き落とさるる寒さかな   竜樹
やかましや鶴を見てゐる人の群れ  空
君がゐて林檎を描く台所      空
お手植の蜜柑こぼれて小ささよ   麻衣子
鷹狩の空よ金屏広げては      麻衣子 
家康の生れ変わりが日向ぼこ    一郎  
 →かの人の  
お手植のみかん小さし酸っぱからん 楓 
 →みかんのまこと小さきこと
掘り出されし石へ知らぬ世の冬日  まさ子
短日や天下の石が地中より     ちよこ
土深く闘志丸めて眠る藷      美智子 
石垣の中に石垣帰り花       桂久                 

第二句座(席題 おでん、冬銀河) 2句投句2句選句
◎大谷主宰特選 
人間をお化けとおもふおでんかな  竜樹
冬銀河ゴッホの夢にあらはれし   空
三日月が口笛を吹くおでんかな   一郎  

○大谷主宰入選
あの星はじいちゃんといふ冬銀河  美智子
発掘を了へておでんに温まれ    麻衣子
魂も夢も流離ふ冬銀河       千恵子
 →おでんかな
冬銀河弾き手なきままコントラバス 尾燈子
乗り過ごし知らぬ駅にも冬銀河   克実
(野村桂久記)    


愛知吟行句会(5日 白鳥庭園)

名鉄名古屋本線・JR東海道本線「金山」駅の市バスセンターに集合、バスで白鳥庭園へ。真新しい雪吊りの下、冬の庭園を吟行。今度、古志に入会する高井尚子さんもベビーカーを引いて初参加。

雪吊の天辺白きかもめ立つ      恵美子
亀石を動かしてゐる鴨の群れ     春日美智子
凩に首をすくめし赤ん坊       沙羅
我れ先と急げ冬鳥はぐれるな     尚子
凩や称名念仏悪太郎         尾燈子
ベビーカー落葉の径をずんずんと   楓
太陽の色をうばひて冬紅葉      通江
鯉の上鯉の乗り来る寒さかな     雄二
(稲垣雄二記)


岐阜句会(19日 西部福祉会館 7名)

第一句座 兼題(日脚伸ぶ、熱燗、枯木)
第二句座5句出句5句選  
寝崩れて話を聞くや報恩講      上松美智子  
一歩一歩あゆむほかなし日脚伸ぶ   沙羅  
日脚伸ぶひとりぼつちの遊具たち   春日美智子  
いさぎよし一夜あければ大枯木    恵美子  
大枯木雲より迅き雲の影       誠一
霜の朝枯木きりりと引きしまる    之子
母生きてゐるありがたさ冬の月    通江
(夏井通江記)


京都句会(22日 こどもみらい館 主宰出席で参加者15名 吟行先は京都市植物園と陶板名画の庭)

第1句座 10句出句5句選
第2句座(席題「納め句座」「山茶花」「おでん」)3句出句3句選。

主宰選は次のとおり(特選○)   

第1句座 
○落葉搔き真つ最中の道に出る     みつこ 
○冬桜犬とて家の中が好き       みつこ 
○いきいきと生きる予定の日記買ふ   洋子 
○落葉踏み音の彼方へ行かれしか    雄二 
○懐手解くや最後の審判図       茉胡
○北山や春まで続く蜷の道       麻衣子
○室咲きの花より青く熱帯魚      麻衣子
○葉牡丹の渦に迷へるごとくあり    幸子
○冬さうび花の芯まで冷えきつて    麻衣子
○み熊野の空にしめ縄かけ申せ     嘉子
くつきりと苗札見ゆる落葉かな     美那子
ヒマラヤ杉ふくら雀のごと球果     初男
大根を提げて海見る女かな       陽子
冬薔薇吾が内のユダ顔を出し      茉胡
山茶花の道によく知る人に会ふ     麻衣子
金明てふ笹にもよき名枯れながら    まき
その名よき子福桜や冬に咲く      美那子
ひとつかみ杉の葉くべて師走風呂    幸子 
補陀洛の話聞かせよ枯流木       陽子
空に鳴るせんだんの実や久女の忌    嘉子
くろぐろと冬眠の蜷転がれる      麻衣子
閉め切りて襖の汚れ気になれり     幸子
太陽光パネル着せられ眠る山      陽子
北おろしカラタチの棘研ぎ上ぐる    嘉子
一口にポインセチアと言ふけれど    幸子 
詩の絶ゆることなき国や木の実落つ   雄二
生まれ出る詩歌の音や落葉道      雄二
えんやらや枯れ葉の舟で補陀洛へ    雄二
    (補陀洛へ枯れ葉の舟でえんやらや) 

第2句座
○うまさうに那智黒なめて納め句座   麻衣子
○納め句座帰りはちよいと先斗町    洋子
○来てみれば善男善女納め句座     まき
○こちこちの頭叩きて納め句座     みつこ
歩き初めさざんくわ散り敷くその中を  嘉子
山茶花咲く休むことなく五十年     初男
黒飴を噛みくだきたり納め句座     陽子
わが畑の大根が美味しおでん酒     初男
おーいお茶君が主役や納句座      りえこ
(氷室茉胡記)                  


奈良句会(14日 奈良県文化会館 7名)

忠犬の碑に吠ゆる犬雪催          茉胡
数へ日や後ろ歩みに日は落つる      瑳楓
大和より夕陽のやうな柿届く       洋子
歳晩やいつもの道を句会へと        美那子
冬草の青みゆく土手蕪村の忌        豊
美吉野の雪しんしんと行者道      悦子 
これやこの厄払いなり冬至柿        忠雄 
(上田忠雄記) 


大阪句会(7日 吹田さんくすホール 8名)

十二月になると気ぜわしく感じられます。師走が実感できる中での句会でした。

第一句座 雑詠七句出句五句選
一日にひとつの用事花八手       美那子
恍惚のリズムとなりて毛糸編む     美那子
冬ごもり父の時計の音がする      久美
膝の子の行つてしまひし榾火かな    久美
堤防にかもめ一群れ開戦日       歌子
冬の夜や影絵のやうに人急ぐ      歌子
露店にて使ふpaypay冬日和       茉胡
縁結びの絵馬の触れ合ふ音冴ゆる    茉胡
信号を走つて冬の子が来るよ      みつこ
明日のことあたためてゐる布団かな   みつこ
寒紅やまだまだやれることのある    洋子

第二句座 席題五句出句三句選【大雪(たいせつ)・開戦日・牡蠣。水洟・隙間風】
大雪や一日かけて豆を煮る       美那子
大雪や広場に鳩と献血車        可 奈
大雪や突如舞ひ込む訃の報せ      茉胡
大雪の薄き日ざしを急ぎけり      歌子
開戦日危うきことの多き中       泰子
しみじみと見上ぐる遺影開戦日     茉胡
大釜で炊くや漁師の牡蠣の飯      洋子
親孝行させてもらへず牡蠣すする    久美
水洟や軋みて止まる湖西線       久美
水洟や賽子振つて事決めて       可奈
人一人欠けたる部屋のすき間風     美那子
落柿舎の隙間風てふゆかしさよ     洋子
(木下洋子記)


岡山句会(22日 倉敷平翠軒館)

席題は「鯛焼」「水鳥」
葉に力花にも力寒椿         有里子
単線のレールを隠す落葉かな     一雄
火の匂ひさせて男や年の暮      広
(神蛇広記)


広島句会(21日)

第一句座 当季持ち寄り 
歩くたび背高のつぽ雪の下駄     忠保
英霊は静かに牡蠣を太らせり     秀也
大地との力比べや大根引       京子  

第二句座 題詠 (クリスマス 冬の梅 日向ぼこ)
日向ぼこ常連顔の猫二匹       忠保
日向ぼこ確かに猫に乳首あり     秀也
日向ぼこ百年のちもまたここで    京子
(矢野京子記)


松山句会(22日 ホテルサンルート松山 10名)

兼題:ポインセチア、古暦、懐手、浮寝鳥
席題:雪催、餅搗
6句出句 5句選

ポインセチア数式ならぶ紙の上    星
前へ前へ我に前あり古暦       紫春
古暦仕舞ふスイスの山仕舞ふ     喜久子
花よりも赤きポインセチアかな    和弘
雪催通勤列車沈着に         米鶴
雪催空を眺めつ身支度す       典子
一家してわらつたはての古ごよみ   陽市
餅つきや大釜に湯気立ちのぼる    一美
初めての句座のランチや雪催     圭子
雪催ふ美しき名の赤子かな      紫春
江戸明治写真のなかのふところ手   陽市
老犬の病状記すや古暦        典子
給油所の昼煌々と雪催        喜久子
懐手ピース燻らす父が居て      圭子
船はみな水脈残しゆく古暦      まこと
(木下まこと記)


福岡支部(21日 あいれふ 11名)

第一句座(自由題 7句出句7句選)
置いとくぞ大根一本厨口       桃潤
夕暮れて煤逃げのまだ帰り来ず    真知子
ジングルベル口ずさんでる和尚かな  博人
金星を楽しむ冬のごみ出し日     久子
冬帽の耳垂れてをり跳ねてをり    幸子
引つ込みのつかぬ抽斗初しぐれ    祥子
どこ行くも長居は無用十二月     和子
おはようと北京の朝の息白し     龍梅
雑炊や幾度生まれかはりても     緑 

第二句座(3句出句3句選)
席題「時雨、綿虫、暖房一切」
時雨来て刻々変はる海の色      和子
綿虫に転がされたる大男       桃潤
古唐津の碗の草木のしぐれけり    真知子
回航のキャビンの中へ初しぐれ    博人
暖房車津軽訛のやはらかく      修
暖房や爺の頭が好きな鳥       幸子
壁炉照りタイムスリップの旅に出る  龍梅
中村哲氏の生き方や冬暖       久子
綿虫のごときかるみを欲しけり    緑
(吉冨緑記)


長崎支部(25日 メールによる)

当季雑詠 持ち寄り5句
牡蠣食へば鐘の鳴る島天主堂     弘美
時雨るるやパパ様の手のあたたかき  まり子
あの山を追はれこの小屋熊眠る    直代
力こめガラポン回しポトリ白     順子
縁側の編みもの陽を追う冬至かな   玲子
晩白柚ごろりその香に脳休む     あや
影のごと托鉢僧や暮の市       瑠衣

題詠2句(年賀状・そら(空・宙・そらなど自由に))
年賀状貰ひて寂し齢かな       弘美
急かるるや七百枚の年賀状      まり子
年賀状ミッキーマウス見得を切る   直代
年賀状今年の厚みまた減りて     順子
明け方の空に産声冴ゆる風      玲子
茜雲冴える空には一番星       あや
年賀状余白の足りぬ無沙汰かな    瑠衣
(米山瑠衣記)          


熊本句会(21日 国際交流会館 4名)

第一句座  
霜柱牛の御産の終はりけり      裕子
階の着ぶくれの影踏まれけり     戌彦
墓守は犬の土偶や冬の星       茉莉子 
歳末やツリーの下のまくらやみ    榾火

第二句座  席題(炭、湯冷め)
類なき音の軽さや炭をつぐ      裕子
湯ざめしても一人と言ふてみて独り  戌彦
眉墨を落とし忘れし湯冷めかな    茉莉子
湯ざめして衿かきあはす坊つちやん  榾火
(今村榾火記)


熊本あふちの会句会(17日 三城宅 4名)

第一句座【当季雑詠】
足音を立てぬ看護師霜の夜             節子
娘採る母なき庭の柚子たわわ        和子 
家古りて終と云ひつつ畳替へ         沙羅
時雨るるや小半日居るブックカフェ     佳代子

第二句座【兼題 懐炉、箒、年用意】
懐炉して流星群を待つ岬              沙羅
年用意増えし家族の膳を出す          和子
年用意一人居の午後豆を煮て         節子
仏壇に小さき手箒冬日差す        佳代子
(三城佳代子記)


大分句会

顔を上げ手の平上に玉霰        裕子
霜やけは友のごとくやさすりをり    裕子
玉霰赤子のほっぺで弾みをり      裕子
登校の子ら弾みをり玉霰        桃潤
ミシン針すすむ早さよ日短       桃潤
生命の生まれて尽きる布団かな     桃潤
(山本桃潤記)

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