2015年、古志青年部はネット句会を、4月、6月、9月、12月の計4回行いました。毎回、兼題は3つ、3句出/3句選の互選を行い、大谷主宰の選と講評をいただくかたちでした。参加者は、回ごと多少入れ替わりもありましたが、4回とも十数名の人数になりました。結果は、既に古志青年部ブログのほうにアップされている通りです。ここでは特選入選句のみをご報告いたします。
*◎は大谷主宰の特選、なしは入選。
第1回(春)
兼題「厩出し」「海苔」「鷽」
◎国生みの腥かりし海苔を掻く 渡辺竜樹
◎日浴びよよき子を産めよ厩出し 丹野麻衣子
◎人生を裏に表に海苔炙る 関根千方
おむすびや海苔青々と巻いただけ 藤原智子
とつくりを海苔一枚で干しにけり 吉冨緑
大阿蘇やひづめ一蹴り厩出し 吉冨緑
解けそめし雪に肥えよと厩出し 丹野麻衣子
第2回(夏)
兼題「ハンモック」「氷河」「河骨」
◎なんやかや持ちて乗りこむハンモック 辻奈央子
◎大空を雲は自在やハンモック 吉富緑
◎河骨で遊び疲れし子蜘蛛かな 石塚直子
◎淋しさにこころの氷河そだちゆく 岡崎陽市
◎過去ひとつ青き氷河に置いてきし イーブン美奈子
その中に神の眠れる氷河かな 市川きつね
氷河いま荒ぶる水とならんとす 関根千方
沈黙の塊として氷河あり 関根千方
河骨やこんな短き橋にも名 金澤諒和
笑ひたくなる青空やハンモック 高角みつこ
遠くゐてわが家を思ふハンモック 岡崎陽市
第3回(秋)
兼題「月」「柿」「啄木鳥」
◎きぼうよりながめる月は大きいか 内藤廉
◎山苞の柿は巌のつめたさよ 関根千方
◎月光に守宮の闇の動きけり イーブン美奈子
二三把の青菜とともに柿届く 藤原智子
啄木鳥やまだまだ伸びてゆく大樹 金澤諒和
大阿蘇の噴火一報柿落つる 高角みつこ
旅に出ん今宵の月を供として 石塚直子
月提げて金時山を下り来し 三玉一郎
潰れ柿啄かれて朱のあざやかに 渡辺竜樹
眠りから覚めて啄木鳥また突く 三玉一郎
第4回(冬)
兼題「熊穴に入る」「枯れ蔓」「海鼠腸」
◎枯蔓や凍て付く雪と引ききほひ 高橋真樹子
◎熊穴に入りそこねて雪を食む 丹野麻衣子
◎蔓と蔓枯れて結びのかたきこと 関根千方
おほぞらへ伸びゆくさまに蔓枯れぬ 岡崎陽市
お隣も掻き回し熊穴に入る 竹下米花
熊の子の遊び尽くして穴に入る 森篤史
熊はほほいつぱいにして穴に入る 辻奈央子
熊ひとつあくび残して穴に入る 辻奈央子
なお、2016年も春から年4回、ネット句会を行う予定です(青年部部員のみなさまには、すでに案内が届いていると思いますが、詳細は青年部部長の石塚直子さんにお問い合わせください)。
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