2021年6月句会報告


第15回You tube句会(6月26日、47名)

大谷主宰選
【特選】 
結跏して僧うつくしき裸かな    篠原隆子
ひとひらづつ脱げよ薔薇たることやめよ イーブン美奈子
地に落ちて蟻に戻りし羽蟻かな   大平佳余子
風鈴を吊つて父すぐゐなくなる   長井はるみ
出不精の我をひとつき心太     丹野麻衣子
二上山のいろせ起こせよ青葉木菟  大場梅子
【入選】
甑てふ島の名ゆかし鹿の子百合   池田祥子
ひとつづつ扉閉ぢゆくやうに梅雨  木下まこと
玉砕や窓にべつとり火蛾の跡    稲垣雄二
かき氷たちまち溶けて恋の舌    菅谷和子
アクセルを踏み込む新車緑さす   野村桂久
人間はなかなか面倒冷し瓜     上村幸三
いたづらで尿すりや西瓜花つけん  石塚直子
安産の腹を大事に腹当す      石塚直子
蟻よもし声上ぐるなら反戦歌    喜田りえこ
釈迦の手の蜘蛛の糸切れ昼寝覚   稲垣雄二
白南風や鱗の乾く海人の袖     越智淳子

(丹野麻衣子 記)


第16回席題句会(6月12日、11名)

大谷主宰選
第1句座(席題:大瑠璃、白南風、洗膾)
【特選】
氷鉢見事彫り上げ洗膾かな    上俊一
深吉野の滝水でしめ洗鯉     神戸秀子
姫鱒を洗膾や伊賀の長者ぶり   篠原隆子
【入選】
白南風やマスクはづせる日はいつか 吉田順子
だれも亡きわが古里や瑠璃啼けり 米山瑠衣
洗鯉雨にけぶれる高見山     神戸秀子
シャガールの絵より翔び立ち瑠璃の鳴く 谷村和華子

第2句座(席題:田水沸く、枇杷、蛍籠)
【特選】
螢籠吊れば寄りくる螢あり     神戸秀子
【入選】
枇杷たわわ二階の窓より手を伸ばし 吉田順子
枝折って被るよ枇杷の雨しづく   神戸秀子
熱の子に乳の苦さよ田水沸く    神戸秀子
田水沸く蟇も水鶏もそのなかに   大場梅子
蛍籠ひご広けれど逃げもせず    米山瑠衣
庭の枇杷食べて神戸へ越し行かれ  原京子

(丹野麻衣子記)


古志Zoom句会


郵便句会  

大谷弘至主宰選

特選   
あふれくることば洗ひて更衣    西川東久        
痩せ蛙けふは青葉の色をして    北林令子       
十七の姉かの夏に徴用で      田中尚子       
なれそめもはるけくなりぬ遠蛙   白石勉       
差し掛けてででむしも児も傘の中  水谷比嵯代    
奥美濃や舟を待つ手に水団扇    水谷比嵯代     
昼寝覚稚き吾を置き去りに     白石勉
    
入選    
梅の実や心よ雨に順であれ     加藤久子         
小さき実の真青に落ちて銀杏ぞ   梶原一美         
蟻踏めば楸邨の句の気にかかる   北林令子       
退院の帰り支度やサンドレス    土筆のぶ子        
ふるさとの川のかをりの鮎届く   上條多恵      
五月雨に翼おもたき雀かな     神谷和子        
退院し見回す我が家風涼し     土筆のぶ子       
照り激し日陰さがして葛桜     森康子      
バス停に座る農夫や栗の花     神谷和子                  
(斉藤真知子記)


東京Web吟行句会(20-22日、夏雲システム、27名)

吟行地:大宮八幡宮(和田堀公園周辺)
兼題:御来光、麦茶、枇杷

営業部出払つてゐる麦茶かな   葛西美津子
力石もたげてもみよ梅雨茸    神戸秀子
雨あがり枇杷白銀の毛をたつる  関根千方
早起きや毛虫のかつぐ水の玉   石塚純子
父の日や別れに触れし父の髪   上村幸三
菩提樹の花の塵なる一人かな   大場梅子
真つ直ぐに胸の奥まで御来光   金澤道子
大手術終へたる朝の枇杷すする  片山ひろし
枇杷たわわ小島の隠れキリシタン 石川桃瑪
枇杷たわわ一軒となる町工場   那珂侑子
ムンクの貌で脱いだとみえて蛇の殻 仲田寛子
枇杷の実の押しくらまんぢう育ちいく 長野いづみ
生きていること素晴らしき御来光 持田明子
片陰やほつとおのれをとり戻す  吉田順子
長考の棋士手をのばす麦茶かな  服部尚子
言うなれば麦茶のようなお人かと 岩﨑ひとみ
風鈴のちひさき音の方を買ふ   菅谷和子
夜に濡れて鳰の子眠る浮巣かな  神谷宣行
おむすびと麦茶の旨き汽車の旅  松岡伴子
ぐらぐらと麦茶沸きたつ大薬缶  長井亜紀
円虹やわが影わが身離れけり   越智淳子
遠雷やごろ寝の夫の身動がず   三田菊江
東京のへそつらぬかん今年竹   大平佳余子
家系図の我名食ひゐるきららかな 園田靖彦
姫君の御簾の内よりきらら虫   わたなべかよ
ご来迎帽子を振りて確かめゐ   原京子
副賞の焼酎一樽担ぎ行く     鈴木伊豆山
(関根千方記)


鎌倉吟行句会(6日、カルチャースペース鎌倉、6名)

吟行地:北鎌倉「光照寺」

第一句座:吟行句・雑詠句7句出句5句選
夏安居やものみな濡れて美しき   琅太
つばめの子ほどなく雨も上がるらん 美津子
ここからは胸突き坂やほととぎす  振昌
雨粒の金剛となる浮葉かな     道子
あぢさゐやクルスの門をくぐりけり 侑子
梅雨空やトランク片手パン片手   はるみ

第二句座:席題「蓴菜」「風鈴」「髪」で3句出句、3句選
蓴菜の数へるほどが錫の鉢    美津子
髪たばねあとは祭を待つばかり  琅太
ワクチンを打つてきたわと髪洗ふ 振昌
更衣前髪眉に切りそろへ     道子
口取りは蓴菜膝をくづしけり   はるみ
風鈴の寡黙となりて棚の上    侑子


岐阜句会(24日 岐阜市西部福祉会館 5名)

第1句座 兼題(夏布団 枇杷 紫陽花)
掛けても掛けても夏掛けをはぐ子ども 沙羅
空つつき枇杷かすめむと大烏     春日美智子
草に寝るごと夏の布団かな      通江
枇杷熟るる輝く種の大きかり     上松美智子
あぢさゐや陽射しに眩みこはれけり  恵美子
 
第2句座 当季雑詠
ごり押しのオリンピックや梅雨晴間  沙羅
ゴボゴボと水飲んでゐる日輪草    春日美智子
Tシャツによそいきもあり梅雨明ける  通江
諳ずる御真言を聞く杜若       上松美智子
さめやらぬ荒鵜かなしき鵜籠かな   恵美子
(梅田恵美子記)


京都句会

 夏雲システムを利用して実施。事前に送った岡山県備前市の閑谷学校の写真数枚からの連想句を含め,8句投句,選は特選1句,入選7句で行いました。

青芝や声よく通る四書五経      りえこ
道灼けて閑谷いよよ閑かなり     久美
反逆の一匹出でよ蟻の列       雄二
論語良し昼寝また良し閑谷校     美那子
石垣を登る遊びや雲の峰       忠雄
涼しさや床に映へたる花頭窓     まき
噴水は白き大樹となりにけり     幸子
骨抜きを厭はず母のたたき鯵     美恵子
甍の紋の揚羽とびたつ月夜かな    初男
夏布団夜中の豪雨知らずまま     英二
藩紋の瓦反りたち揚羽てふ      みりん
藩校の講堂円座堆く         茉胡
(氷室茉胡記)                     


奈良句会(29日 ズーム句会 11名)

夏帽子美しく顔隠しけり       美那子
百丈の髭さびさびと氷室守      りえこ
朴の花空に開きて鑑真忌       豊
黎明にくぐもり鳴くや魔王鳩     みりん
七年の大工事なり蝉の穴       茉胡
御陵の濠満満と五月雨        正子
禁欲の五分刈頭合歓の花       雄二
ねむたさを風に預けて合歓の花    まき
まほろばの山うごきたる団扇かな   悦子
さつきまで団扇掛かりし柱かな    久美
団扇もて一つ大きく富士の風     忠雄
(上田忠雄記)                     


大阪句会(メール句会)

新しき隣人来たり聖五月       百合子
どくだみの咲いて5月の半ばかな   泰子
日本の水が躍動田植時        茉胡
耕運機海ゆくごとく代田掻く     豊
粗塩のしぶきを浴びせ鮎料る     久美
仙境は存外近し新茶汲む       みつこ
梅干しは母の勲章まづ褒めん     美那子
茅の輪くぐるサッカー少年その一団  美栄子
目玉だけ残して目高水となる     歌子
婆娑羅絵の水辺より来る風涼し    洋子
母衣蚊帳を親の顔して覗きけり    りえこ
サンドレス水平線の雲を呼ぶ     陽子
「お互いにお一人様ね」パイナップル みりん 

席題Zoom句会報告
席題(今年竹・行水・骨)3句出句、3句選
星屑の歌ひ始むや今年竹       陽子
ひねもすを風と遊びて今年竹     豊
行水や幼はすぐに真つ裸       茉胡
行水や新米ママの水浸し       美那子
行水やともかく膝を折りたたみ    みつこ
行水にひらききつたり吾の器     みりん
行水に恥ぢらひ覚ゆおさげ髪     百合子
夏山やきいてくれない膝の骨     泰子
納骨の墓石の下の暗さかな      歌子
沖縄忌浜に嘆きの骨幾万       りえこ
河骨のひとつ高きはさみしけれ    久美
ほわほわと骨なき自由水くらげ    洋子
(木下洋子記)


松山句会(6日 メール句会 12名)

5句出句5句選 兼題:円座、陶枕、冷し酒、芍薬、虎魚、キャベツ

リモートの電波の繋ぐ円座かな    紫春
亡き父の円座愛犬ひとりじめ     薫
陶枕や「奥の細道」手から落ち    伊都夫
けふまでのゆめのおもさの陶枕か   陽市
陶枕に静かに憂ひ冷ましけり     真奈美
何住むや陶枕の穴ただ暗し      まさし
芍薬の花心残して崩れけり      夕未子
陶枕やリハビリあとの夢の国     博山
逆巻きてしぶきて堰の出水急     一美
冷や酒の酔ひ少しあり父おもふ    崇
陶枕をぬけゆく風や夢の中      孝子
山塊の骨をけづりて出水川      まこと
喜を語り悲を語り夜の冷し酒     陽市
母の忌に古猫膝に冷し酒       薫
鬼虎魚誰か背中をかいてくれ     伊都夫
縁側の円座の位置は揺らぎなく    真奈美
大輪の芍薬陽に揺れ人に揺れ     夕未子
愛用の切子でなくちや冷し酒     まさし
ごうごうと水音暮れゆく出水川    一美 
陶枕や梁山泊に集う夢        紫春 
陶枕に触れて覚めたる白昼夢     崇 
鬼おこぜ音戸の瀬戸に没日燃ゆ    まこと
(木下まこと記)   


福岡句会(26日 通信句会)
  
波がしら蹴つて飛魚荒々し      坂口和子   
リュウグウに水存在の謎多し     加藤久子   
踏んだかも知れぬ槌の子八重葎    高山國光   
凌霄や母を天まで送り来し      周龍梅   
晴ればれと体調もよし冷さうめん   山下充子   
炎昼や遠きボートのエンジン音    大橋修   
同窓会昭和がはじける生ビール    山形博人   
女房の理不尽にたへ水を打つ     山本桃潤   
藍浴衣はじめてうなじ見せにけり   吉冨緑   
紫陽花の暗がり猫の目の険し     北条幸子   
鉄瓶も灰もそのまま英彦夏炉     坂本祥子   
青笹に埋もれて鮎の届きけり     斉藤真知子          
(斉藤真知子記)


長崎句会(25日 まり庵 9名)

当季雑詠5句
カサブランカ雄蕊切られて間抜け顔  あや
夏服を窮屈に来て声変はり      順子
オラショといふ祈り田植唄もまた   なおよ
古書の山愛に悩めるきらら虫     弘美
初物や甘き西瓜に行き当たり     まり子
柔らかき若葉食みたし四時限目    美智子
端居する犬の領土の邪魔をせむ    睦美
紫陽花の青は涙やシーボルト     玲子
そこだけがさざ波立ちて植田かな   瑠衣 

題詠2句(風鈴・昼寝)
風鈴の七色の風陶の里        あや
この子らも風鈴の音知らぬらし    順子
自転する星に貼りつき大昼寝     なおよ
寝坊して目覚めぬままの昼寝かな   弘美
計算の解けないままや昼寝覚     まり子
風鈴や江戸下町の風運ぶ       美智子
昼寝する子は幼子に戻りけり     睦美
ロッキングチェアーに昼寝の遠き祖父 玲子
風鈴の疲れも見せず今日の風     瑠衣
(米山瑠衣記)


熊本句会(通信句会 4名)

この山の蛍の夜をさ迷へる      裕子
どくだみを引けば一本長々と     裕子
亡き人の席にレースのコースター   茉莉子
宝くじ発表の日や夏大根       茉莉子
カルタゴもローマも亡び蛍かな    佐介
蕺菜や路地裏にある泌尿器科     佐介
十薬や家には家のものがたり     榾火
スカールの子に炎天の大歓声     榾火
(今村榾火記)

                 

           

      

    

     

     

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