2026年5月句会報告

ZOOM句会


深川句会(13日/22名)

大谷主宰 選

第一句座

【特選】

卯の花や父の佳き句に祖母のこと    臼杵政治
卯の花や甲斐なくさする母の四肢    臼杵政治
そら豆にふかふかとある山河かな    仲田寛子
田蛙の大合唱も米どころ        小林昌子
さなぶりやここらの鮎を押鮨に     菅谷和子
世はかるく杖を藜の更衣        篠原隆子
み吉野の蓼も添へられ鮎届く      神戸秀子
鼻緒ちよと締めてもらつて神輿所へ  長井はるみ

【入選】

渇き田に小雨沁みゆく杜若       越智淳子
どれ選ぶもも白みどり柏餅       越智淳子
梅干の塩辛きこそ母の味        城田容子
リハビリの一歩大きく夏に入る     城田容子
覚えたての仮名でしたたむ母の日よ  谷村和華子
逆風を上るヨットの見せ場かな     西川遊歩
しづかなる一首のこして春逝けり    三玉一郎
高々と水門は夏通しけり        三玉一郎
背もたれは夫の傾き籐寝椅子      金澤道子
ハンカチの木の花風を待つてゐる    金澤道子
母の忌や黒蜜たんと白玉に       金澤道子
万緑や伊勢へ伊勢へとお木曳を     大場梅子
柚の花の咲いて山蘆に夏が来る     大場梅子
最澄のお山よ永遠に滴れり       大場梅子
ほととぎすひと声ごとに若返る     神谷宜行
決め科白待つてゐました夏芝居     園田靖彦
鳶の笛きくやくちなは一目散      園田靖彦
夏場所の勝負一番扇やむ        園田靖彦
二百年まだまだ続く蟻の道      大平佳余子
すつと抜く押鮨の枠みどりの夜    大平佳余子
日の丸のだらりと休む昭和の日    長井はるみ
駆け出して虹の根元に触れむとす    木下風民
取り寄せてけふは紀の川鮎くらべ    神戸秀子
身に添ふや浴衣も人も古りてこそ    神戸秀子
初夏のこのまぶしさに朔太郎忌     安藤 文
見るも嫌たけのこ責めの三日かな    安藤 文
小綬鶏にやよ耕せとせかされて     篠原隆子

第二句座 席題( 清水 薪能 薔薇 )

【特選】

火の色に母の面影薪能         神谷宜行
真清水や大神の山まろまろと      小林昌子
大佐渡の薪猿楽の古格こそ       篠原隆子
真清水を汲みて銘石洗ひだす     大平佳余子

【入選】

長居せん薔薇の香りに染まるまで    金澤道子
西行庵主なしとて岩清水        園田靖彦
天に月地に荒波の薪能         園田靖彦
常世より鼓打ち来る薪能        城田容子
夜想曲爪弾く君の薔薇の指       臼杵政治
お揃ひの水筒に受け岩清水      長井はるみ
高下駄の脛しらじらと薪能      長井はるみ
清水湧く小蟹のしばしたぢろげり    石川桃瑪

(篠原隆子記)


東京句会(30日/亀戸文化センター /21名)

大谷主宰選

【特選】
人は言ふ海月のやうだ君の子は   花緑青
草むしる母をなくせし故郷かな   わたなべかよ
家の灯の消えて守宮の世界かな   関根千方
かたつむり角は二つの選択肢    安藤文
野の風に振り向くことも五月かな  辻奈央子
泣きじやくる子のほとりにも蛍来て 神戸秀子
ちぬ群れてますます暑くなりますと 丹野麻衣子
守宮落つ畳は海のしづかさよ    関根千方
戦争を起こせば負けよ蝦蛄の殻   関根千方
箱眼鏡乙姫様に見えんと      長野いづみ
空蝉やその懸命の一文字      小林昌子

【入選】
白から茶夏毛の跳ねる蝦夷うさぎ  大場梅子
ハンモック手には地球の歩き方   わたなべかよ
雨光る安房の山河や枇杷熟るる   神谷宣行
迫りくる信濃の山や青蛙      城田容子
もつたいな真白き母の髪洗ふ    神戸秀子
満開の牡丹に風抜けきれず     辻奈央子
更衣足取り軽く句会へと      菅谷和子
本拠地の四万超のこゑ暑く     平野皓大
てつせんや下町気質抜けぬ君    小林昌子
クローゼット一番上の登山帽    長野いづみ
しろがねの軌跡なめくぢ姿なく   石川桃瑪
大藁屋鉄砲百合を楯として     小林昌子
夏座布団五枚譲つて転勤す     わたなべかよ
万能よ十年もののどくだみ酒    神戸秀子
退院や朝香水を少し振る      臼杵政治
夕顔や口を近づけお待たせと    花緑青
吸盤の丸に力や雨蛙        大平佳余子
気持ちよく死んでやりけり水鉄砲  関根千方
蝮札濡れをり風を呼んでをり    神戸秀子
親烏さつととんぼを咥へ見せ    神戸秀子
夏蒲団転がり出でて子はどこへ   城田容子
学会のあとのハブ酒蝮酒      平野皓大
涼しさのもののひとつに黒鯛の鰭  丹野麻衣子
生き抜かん故郷に間なき蟇の声   臼杵政治
紙の家ひきずり歩く油虫      城田容子
揺れ揺れて波なだめゐる浮巣かな  金澤道子
歳とるも悪くはないか籠枕     金澤道子

第二句座
席題「麦茶」「牛蛙」「茉莉花」

【特選】
通夜の客熱き麦茶をかはしつつ   神谷宣行
商談やぶつきらばうに麦茶出す   安藤文
捨てずあり麦茶沸かせし大薬缶   金澤道子
牛蛙牛に出くはし鳴き止みぬ    大平佳余子
牛蛙出水の川に戻りくる      丹野麻衣子
ぐびぐびと麦茶を飲んで円陣を   大場梅子
麦茶ひと口先づ論点を正さねば   小林昌子
牛蛙だいだらぼつちもう寝たか   神戸秀子

【入選】
茉莉花や流るるやうに朝が来て   平野皓大
老婦人ジャスミンの風分け入れて  臼杵政治
牛蛙船笛とほく応へをる      神戸秀子
月の出はまだかまだかと牛蛙    金澤道子
颯爽と茉莉花の香や君来たる    大場梅子
酔ひさめてまた牛蛙聞く羽目に   臼杵政治
茉莉花や日暮れは風の出るならひ  金澤道子
命とはかくものどやか牛蛙     辻奈央子
地底から魏の大軍や牛蛙      臼杵政治

(関根千方記)


東京ウェブ吟行句会(17-20日/夏雲システム/19名)

吟行地:日光(東照宮、華厳の滝など)
兼題:滴り、露台、蛇

石穿つこの滴りの力こそ      藤英樹
蛇の衣女人高野に吹かれゐる    金澤道子
億年の闇より出でて滴れり     原京子
くちなはの走り根のごと横たはる  片山ひろし
滝壺をひらりとかすめ夏つばめ   大場梅子
老木の洞より蛇を吐きにけり    関根千方
鎌倉は大滴りの中にあり      大平佳余子
横浜や宵の露台にジャズ流れ    神戸秀子
戦場ヶ原ユウスゲが咲きズミが咲き 菅谷和子
月よりの使者待ちひとりバルコニーに 神谷宣行
天仰ぐ華厳瀑布の細りけり     上村幸三
滴りが滴りをよび切通し      谷村和華子
今も尚青大将が守る家       那珂侑子
岩に触れ滴りに触れ登り行く    松岡伴子
青大将掴んで回す弟よ       長野いづみ
蛇にある生まれてからの辛きこと  岩﨑ひとみ
鳶の笛きくやあたふたまどふ蛇   園田靖彦
木々乾び華厳の滝の夏痩せて    岡村美沙子
露台から開港記念日の花火     臼杵政治

(関根千方記)


鎌倉吟行句会  (3日 英勝寺 10名)

第一句座  (7句出5句選)
新緑に次々並べパイプ椅子    美津子
店先にはためく古着夏初め    健
若楓黒光りする人力車      大志
そのあぎと吾のものならず藤の花 はるみ
境内は青葉若葉とうぐいすと   益美
うぐいすの声よりはるか春の鳶  淳子
人混みをさけて西口サングラス  侑子
藤の花すこし眠たくなつてきし  道子
春陰の深し憲法記念の日     英樹
熊蜂も寄りて愛でをり藤の花   和華子

第二句座   (白玉/日傘 3句出3句選)
よそ行きの日傘をさして歌舞伎座へ 英樹
鎌倉の道に迷うて白玉屋     淳子
白玉や姉妹四人のみな白髪    道子
日傘もちて一度もささず持ち帰る 侑子
ふり向いてまたねと帰る日傘かな 益美
白玉になぐさめられし夕べかな  美津子
白玉や臍はかすかな影をもち   大志
恐ろしき自動開閉日傘かな    はるみ
あいさつもそこそこにして白日傘 健
手になじむ母の日傘よ色褪せて  和華子

(谷村和華子記)


愛知吟行句会(3日 岐阜県垂井町)

昔、中山道と美濃路が交わっていた宿場町の面影を今に残す垂井町の「曳山祭」を見学。三台の山車の上では、子供歌舞伎が演じられ、その熱演に拍手喝さい。皆、始めて見る豪華な屋台に、子供たちの熱演に感動。

代々の祭りや幼なじみ等と   恵美子 
山車曳きて八重垣神社滴れる  春日美智子 
いく世経て伝はる芝居若葉雨  肇 
奉納の子供歌舞伎や夏来たる  楓 
大見得の白眼に遠く呼子鳥   正博 
駅降りれば祭囃子の中に町   雄二 

(稲垣雄二記)


岐阜句会(28日 岐阜市西部福祉会館)

第1句座 兼題:風薫る、椎の花、水まんじゅう

風薫る相撲の幟はためきぬ    沙羅
むんむんと香り放つや椎の花   上松美智子
椎の花匂ふやはるか光りをり   春日美智子
湧水へざぶんと沈む水まんじゆう 恵美子

第2句座 当季雑詠

椋鳥の子や覚束無気にあたりを見 沙羅
遠来の客を迎へるアマリリス   上松美智子
放し飼ひ鶏の羽ばたく鴨足草   春日美智子
風薫る信濃は白き花ざかり    恵美子

(梅田恵美子記)


京都句会

古志京都句会5月は、予定どおり通信句会と対面句会を実施しました。

対面句会は、いつもの第3水曜日の20日に実施しました。結果は次のとおりです。 
第1句座 当季雑詠 6句出句6句選句(うち1句特選)
第2句座 席題:樫落葉、夕立、蛇の皮、三伏、アイスティー、滝 6句出句6句選句(うち1句特選)参加者6名。来月の対面句会も、第3水曜日の17日開催です。

梵網会墨痕太く兜太の句      りえこ
三伏やホルムズ海峡火だるまに
麦の秋車窓に貼りつく幼かな    佳澄
三伏や家電の寿命次々と
雷や天王山はここにあり      洋子
この城の主らしきが蛇の衣
デッキブラシ日に乾かせば卯波立つ 欣也
転校の机そのまゝ樫落葉
卯月曇黄花詰草しゃんと生く    叡
蛇の皮脱ぎし御身に光あれ
散るときを知らざる花の宰相か   茉胡
一皮も剥けぬ句作り蛇の衣 

5月通信句会は夏雲システムを利用して実施。
齋藤嘉子さんと茉胡のエッセイ「ふるさと歳時記5月」、藤岡美恵子さんのエッセイ(春紫苑)、竹下米花さんの絵手紙(カラー・クールビズ)からの連想句4句以上を含め、1句投句。選は特選1句、入選7句で行いました。17名参加。

芍薬の崩るる音を聞く夜かな    雄二
唐崎の松の広ごり夏燕       英
初夏の風の色なるカラーかな    忠雄
にぎり飯植田に風の吹きわたる   美那子
田一枚植ゑて帰らん子らの家    久美
皆々に役有り与謝の春祭      米花
嬉し涙も悔し涙も葱坊主      美恵子
田水張る棚田五百に月五百(能登の千枚田半分修復) 初男
隠国は牡丹の闇の匂ひかな     悦子
釣り針を抜くとき岩魚噛みつきぬ  みさ子
母からの小包重し更衣       和華子
托鉢の声のくぐもる薄暑かな    佳澄
春紫苑同じ高さに咲き揃ふ     杳平
畔で食ぶおにぎり旨し田植かな   佳澄
十歳の指が結ぶや早苗束      りえこ
月光の水面照るまで田植かな    淳子
形代に書く入院の子の名前     茉胡

来月以降も通信句会、対面句会の二本立てで行う予定です。参加希望の方は、氷室茉胡宛の次のメールアドレス、あるいは古志誌上に掲載の電話でご連絡下さい。メルアド:mako10himu6@nifty.com                    

(氷室茉胡記)


奈良まほろば句会(26日 zoom句会 10名)

時の日や場所間違へてすれ違ふ   悦子
白川や鱧切る音のしゃりしゃりと  忠雄
川風も馳走となりて鱧祭      美那子
時の日や地球に寿命なき如く    りえこ
時の日の村の放送朝七時      まち
招提寺深きひさしを青葉風     淳子
粗塩を波のかたちに夏料理     久美
筍のどこまで剥くの子に聞かれ   まこ
筍の一つが回る釜の中       雄二
新緑の溶ける流れに手を浸す    正子

(きだりえこ記)


福岡句会(23日 8名)

第一句座

薫風や口笛おのづと周航歌     悠 
初夏の触れて冷たき猫の鼻     幸子 
昼飯は駅中酒場の鯖定食      博人 
古暖簾少し巻き上げ浮世をば    紀美代 
子の掌にも小さきくらがり初蛍   民也 
石段も漁船も能古の炎暑かな    龍梅 
更衣白は私の好きな色       和子 
カンバスに描く青空夏来たる    真知子

第二句座 席題:ビール、郭公

郭公や鍬を磨いて田に向かふ    龍梅 
一口のビール今欲し木陰欲し    和子 
缶ビール手に始めたる水掛け論   民也 
とりどりに並びてビールもてあます 紀美代 
屋上の昭和の名残ビアガーデン   博人 
利きビール生黒ラガージャーマニー 悠 
激論の句会のあとのビールかな   真知子    

(斉藤真知子記)


長崎句会(22日 9名)

第一句座 当季雑詠

白靴を清め入らむ石舞台      なおよ
名に酔ひて香りに酔うや薔薇の園  順子
田植かな自ずと踏んばる足の指   美智子
白牡丹花瓶に大きな閑かさよ    まり子 
麦の穂や雨呼ぶ風にざはめける   瑠衣
病院から絵葉書のみの母の日や   文
風青し一段飛ばしで駆け上がる   玲子

第二句座 席題:薫風、早苗月

緑児の光纏ひて風薫る       美智子
村巡るウォークラリーや早苗月   まり子
千枚田に千の太陽五月かな     玲子 
港湾を駆け抜けていく早苗月    弘美
薫風に頬撫でられつにぎり飯    順子
嗚呼あれが天の香久山皐月空    なおよ
風軽く雲伸びやかに皐月かな    文
皐月空朝日もれなく段畑に     瑠衣
幼馴染名をもらひけり早苗月    睦美

(ももたなおよ記)


熊本句会(15日 通信句会 4名)

兼題:桐の花、青山椒 7句出句5句選

桐咲いて血縁の人なき故郷   佐竹佐介
青山椒添へて五木の堅豆腐   若松節子
薔薇園を巡るや蝶の心地して  北野沙羅
山峡の何処からも見え桐の花  加藤裕子

(加藤裕子記)

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